20201120
新型コロナ禍で景気の停滞・後退が世界のいたるところで問題となっている。この状況で、生活維持に直接的なダメージを受けるのが貧困層であろう。
格差社会とは「構成員の特定の基準から判断して隔絶された階層に分断された社会、特に所得・資産面での富裕層と貧困層の両極化と世代を超えた階層の固定化が進んだ社会としている。この格差の相続は経済や所得だけに留まらず、資産や教育、情報といった様々なものを受け継いでいく。
そこからの脱出はなかなか難しい。古くからシンデレラストーリー等の階層社会を超えた婚姻や飛び抜けたスポーツ能力の発揮、ビジネスでのサクセスストーリー等取り沙汰されるくらいである。
OECDの調査によると、日本の相対的貧困率(世帯所得が可処分所得の中央値に満たない世帯の割合)は15.7%(2017)で加盟国で米国に次ぐ2位だそうだ。ピント来ない数字だが、貧困層が多いと言うことらしい。
また、国立社会保障・人口問題研究所の2017.7の統計では、ひとり親世帯で食料に困窮した経験があると答えた比率は36.1%に達している。更には、親と同居している20才から64才の未婚の世帯は男性世帯で4人に1人、女性で3人に1人が貧困となっている。
良く理解できなくなってきたが、資本主義の到達点の一つであるバブルとその崩壊以降の経済を立て直すにあたり、経済はもとより社会の仕組みまで資本主義国家は皆ゴールのテープを切って同化した感がある。
シュンペーターは資本主義は成功するが自ら崩壊すると書き残している。「資本主義の実態は好景気循環の軌道を外れ、賃金を抑え込む反面で消費を求めるという矛盾が常につきまとう。それ故に、偏った金は実態を伴わない投資による利殖へと向う。こうして、資本主義の健全な成長力は衰退する。また、環境破壊による砂漠化、中間層の没落、地方の疲弊、人心の荒廃が蔓延し、世界的な貧困格差と憎悪の深刻化、海外市場の衝突、戦争危機を拡大させることで資本主義の存立を危うくして行く」
まさしく、今起きていると思われる。資本主義は自由主義だけではない社会主義でも同様だ。やはり、適切にコントロールされた資本主義で無ければ継続して行けないのではないか。
今こそ、各論ではなく明確な目指す国家・社会のあり方を皆で共有し、それに向かって進むべき時がとうに来ている。