👔営業職が不人気な｢現代版｣の事情

事務職とは対照的にすこぶる採用難の職種が営業職です。
ぶっちゃけ事務職とは逆に景気の好不調を問わず不人気職種ですが、なぜ営業職が不人気かって言ったら、まず単純に「キツいから」です。

そして、少なくとも営業職こそパートタイマーは積極的に活用すべきであると言うことを過去の記事で書きました。

フィールドセールスならいざしらず、インサイドセールスはパートタイマーでも充分可能ですし、フィールドセールスでも会社から片道４０分以内とかであれば、１日１件は行けるでしょう。
営業職の採用が難しい時代である以上、働かせ方の変革は必要です。

それにしても単純に「キツい」だけが不人気理由なら、ＩＴエンジニアなんて超絶な不人気になっても良い筈です。
勿論エンジニアも人手不足ですが、しかし中年からのＲｅキャリアでインフラエンジニアなんかは意外と人気がある分野であり、実際問題としてＷｅｂデザイナーのような人気職等と比べても「地味だけど安定して稼げる仕事」かと思います。
そんな中で「何故営業職が不人気なのか」って言うのは「昔ながらの理由」に加えて「現代版の事情」も加わる気がしてなりません。
今回はそこを書きたいと思います。

🏫｢専門知識が不要｣という落とし穴

さて、営業職に必要なスキルって何でしょう？
営業職は業種によってやることが結構違うんじゃないかと思いますが、どんな業種でも共通して必要なスキルが「人に好かれること」です。

逆に言うと、ソレだけあれば他は何も無くても売れてしまいます。
学歴も不要ですし、資格も要りません。
極論から言って、最終学歴が小卒でも勤まります。
そして、前の会社で社内公表されていた所持資格一覧においても、営業職はすこぶる資格を持っておりませんでした。

所持資格０個とか当たり前にいます。
逆にエンジニアで所持資格０は殆どいません。
基本情報しか持ってないエンジニアはいっぱいいましたが、それでも資格０って言うのはあんまりいない。
なんならトップエンジニアはＩＴストラテジストやらＩＴサービスマネージャーを含めて１０個以上の資格を持ってます。

言ってしまうと「学問を修めた人ほど営業職はやりたくない」んですね。
これは得意先の知的水準にも影響される要素はありますが、基本的に「学問やシステムなどの高尚な話」ができるより「芸能・スポーツ・競馬・異性」などの低俗（庶民的）な話を出来る方が、まだ需要はあるわけです。

ただでさえ高学歴化が進み、資格試験も充実するようになって来て、学問を修めた人からすると「なんで私が（専門知識も必要ない）営業職なんかやらなきゃいけないんだ」という感情が湧くのは自然なことなんじゃないかと思います。
これが「現代的な不人気理由」です。
ここに「昔ながらの不人気理由」や高齢化による人口減少も加わった相乗効果で営業職が不人気になるわけです。

💫人に好かれるという｢よくわからない｣スキル

「営業に必要なスキルは人に好かれることだけだ」と言いました。
しかし、この「人に好かれる技術」というのは「よくわからないスキル」だったりします。

例えば大谷翔平と同じ言動を出川哲郎がしたとしても、世間からは許されないわけですよ。
これはＡＳＤグレーゾーンを言われた身からの目線ですが、人間関係に色々と不文律が多く、人から好かれるスキルと言うのは不文律の塊なんです。
言ってしまうと、統計学なんかより遥かに難しい。

いま品質管理検定２級に向けて統計学を履修中ですが、統計学は出題のされ方が変わっても計算方法って言うのは１個です。
だって公式で決まってるから。
例えば相関係数の求め方はSxy÷Sxx×Syyの平方根です。
母平均の検定も最近覚えましたが、いわゆる基本の型って言うのが学問にはちゃんとあります。

一方、人から好かれるスキルって言うのは非常に曖昧なものです。
この曖昧さが営業職を敬遠したくなる要素でもあるわけです。
極端なこと言うとＳＱＬ覚えるより人から好かれる方が難しいかも知れないわけです。

最近の若い人は真面目な人が多いと聞きますが、実は営業職をやる場合に真面目さがマイナスに働くことは多いです。
悲しいかな、人との距離を詰める時には一定の不真面目さも必要で、真面目な人は基本的に他者と距離を置くからです。
得てして学問を修める人と言うのは社交的な人より内向的な人、不真面目さより真面目さが強い人が多く、自然と他者と一定の距離を置きたがる傾向が強いんじゃないかなと思います。

そうした要素があって、営業職はなお不人気になり、採用難になっていったんじゃないかなと、そう邪推しているのですが、皆さんの会社はどんな営業マンが多いですか？