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離職を減らすためには「職人志向」からの脱却が必要だ

自社で製品を開発しているIT企業には優秀なエンジニアが在籍していることはままあります。まぁ別に自社開発企業じゃなくても優秀なエンジニアはいるのですが、今回はSESエンジニア向けの記事ではないので、ここでは触れずにおきます。
自社で製品を開発しているIT企業の場合、コード以外の仕事が多岐にわたることがあり、エンジニアリング以外の仕事をやるケースもままあります。

SESのように資料作成に追われるエンジニアもいますし、SESとは異なりマーケティングやユーザーサポート、或いは展示会やセミナーの開催をエンジニアが主体になって行う企業だって存在します。
どんな企業、どんな部署に配属されるかにもよるのですが、エンジニアとしての経験を積んだ人が「コード以外の仕事」をあてがわれる可能性というのは、自社開発のIT企業でもあることです。

さて、一度「コード以外の仕事」に就くと、今度は「コードを知らない人達と一緒に働く可能性」もまた、当然に存在します。
で、エンジニアがエンジニア以外の人達と働くことになった場合、恐らく躓くことになるであろうことがコミュニケーションです。

🏢エンジニア語は日本語へのコンパイルが必要

ITに限ったことではないかも知れませんが、ベンチャー企業というのは最初はパワフルな職人集団によって支えられてるんじゃないかなと思います。
ちょうどイーロン・マスクがツイッターを買収して「ハードコアな働き方」なんてのが話題になっていますが、正に今のイーロン・マスクは、ツイッターを職人集団の会社に戻そうと言うのだと思います。

で、IT企業の場合、やはり最初はエンジニア同士で集まりますから、いわゆる「エンジニア語」で話しているわけです。
ところが自社の製品が売れて成長しだしてくると、今度はエンジニアだけで仕事を回すって言うのが出来なくなってくるんですね。
そこで非エンジニアリング業務は非エンジニアの人に委譲していく必要が出てくるわけですが、ここで一つの軋轢が生まれます。

コミュニケーションでね、いわゆる「エンジニア語」を「日本語」に上手く変換出来てないことによるトラブルが多発しだしてくる。
ここで後から入ってきた非エンジニアの人間がエンジニアとの軋轢に耐えかねて、離職してしまうんです。

💻ITツールは仕組みなのにエンジニアの気質は割と職人

IT産業は「ある仕組みを作る産業」ではあるのですが、IT土方なんて言葉があるように、産業システムは建設と似た部分は多くあり、ITエンジニアの気質も少なからず建設職人と近しいものはあります。
意外と働き方は原始的な要素も多くあり、職人として優秀なエンジニアの多い会社ほど「業務の仕組み化」は出来てなかったりするんですね。

要は職人として優れてる人というのは「わかって当然」の世界でやってきてますから、業務が標準化されてないわけです。
この「標準化されてない状態」ってのがなかなか怖くてね。
後から入ってきた人は全体が何も掴めず、取り合えず経験だけ積んで覚えるということが起きています。
その中で「仕事遅ぇよ」とか言われると、まぁ辞めてしまう人も続出するというもの。新しく入った人が育つまでに掛かる時間も長くなるし、誰がやっても品質が違うので、良い事無いんですよね。

だからまぁ、改めて思うのですが、少子高齢化時代、入社した人を辞めさせないための一歩として、職人志向からの脱却は必要なんじゃないかなと思います。
「見て覚えろ」とか「とにかくやれ」では通用しない時代になってきてて、まずは業務を「見える化」して、仕事の進め方を仕組み立てるというのが、入社した人を長続きさせるのに必要なことなんじゃないかなと、最近思う次第でありますね。

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