千慶烏子『やや あって ひばりのうた』解説
天使との格闘──。本書は千慶烏子の二番目の書物である。230ページ余り、彼の本分とする長編作品である。まずは本書の出版に至る経緯について整理しておきたい。本書の最終稿は、彼の処女作『ねじふりこ』が出版された1996年の終わりにはすでに完成を見ていたという。しかし、本書を出版するに当たって、まずは書籍に先行するような形で、雑誌を刊行しようということになった。収録予定のテクストは編集され、モンタージュされ、これまでの詩誌にはなかった視覚表現が大胆に取り入れられ、雑誌は極めて美的に