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無人島に持っていきたい新宿

無人島に持っていきたいもの。

という質問には、いつも「新宿」と答えている。無人島に持っていきたいくらい、私は新宿が好きだ。

なぜ好きなのかと問われれば、理由はよくわからない。とにかく好きなのだ。強いて言えば、あの雑多なのに一定のルールで整頓されている感じがいいのかもしれない。猥雑で洗練されている。

ビジネス街があり、歌舞伎町があり、伊勢丹があり、2丁目があり。同じ新宿駅なのに大江戸線と丸ノ内線は恐ろしいほど遠く、でも新宿駅と新宿三丁目駅は別にした理由がわからないくらい近い。新宿タカシマヤは渋谷区。東新宿駅も西新宿駅も南新宿駅もあるのに北だけがない。

「新宿で食事」となると、何を着ていくべきか迷う。三丁目ならヒールで行きたい。思い出横丁にワンピースでいる人はなんか浮く。

歌舞伎町のお好み焼き屋ではどこか海外からの観光客がチンチロをやってテキーラを飲んでいたりする。お好み焼きと賭博とテキーラが日本文化だとアンディーは帰ってから誰かに話すだろうか。

マルイの2階のトイレと伊勢丹の3階のトイレが好き。

地下を歩くとみんな左側通行を守っている。新宿の地下はものすごく広い。隅々までアメに濡れず移動することができる。西口エリアは地下を歩いていたはずなのに突然地上になって「1階」の概念がわからなくなるのもいい。丸ノ内線の四ツ谷が好きな人はきっと好きだ。

最近上京した友人が「新宿は人が多すぎて歩けない」というので、新宿を歩くコツを教えておいた。姿勢をよくして、前方をまっすぐにらみながら、大股早足で歩く。そうすると人モーゼになる。強そうな顔をしているとぶつかりオジサンにもあわない。

ヒールじゃない、化粧もしていない、服も地味な日は、ぶつかりオジサンにあう。あいつらは弱そうな人間を選んでやっている。新宿の唯一嫌いなところ。

私の無人島には、できれば来ないでほしい。

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