東京楽しいですけど?って顔で帰省するために、美容院へ行く。

正確には「行った」だけれども。



家族の在り方が人それぞれ多様なように、同じ数だけ、実家へ行く(帰る、と表現する人もいる)ときの気持ちも人それぞれだろう。

コロナ禍で久しぶりに家族と会えるのが楽しみな人も。親戚の子どもと遊ぶ約束をしてる人も。結婚だ子どもだと急かされるのがわかっているから気が重い人も。

自分はどちらかというと、気が重い方。ではあるが、結婚だ子どもだとせかせか言われるフェーズはとうに抜けてしまった。



「親族の何やってるかわからない変な人」ポジションを獲得したからである。

親族が皆生まれた地元に残る環境のなかひとり東京へ行き、定職に就かず結婚もせず、趣味もなく交友関係も不明だと、こうなる。

まあなんか、予想はしてた。なんなら、望んでそうなった。みたいなところすらある。

ゆえもはや、自分の生き方についてアレコレ言われることは激減したのだが、代わりに発生したことがある。



「変わり者っぽく」あり続けなければならないことだ。

地方の人の思う「東京っぽい」(あくまで「っぽい」が大事)服装をし、標準語で喋り、東京ばなな…ではなく伊勢丹で買った化粧品なんぞを持って帰る。そして、お金には困ってない風情でいる。

これが江戸しぐさってやつだね!TOKYO2021!!!

顔をつくり、爪を磨き、東京っぽい髪型(東京っぽい髪型って何なんだよ)にしてもらう。東京楽しいですよって、全部固めないと。そういう武装をしなければ、実家とはうっかりケガをする場所。

ほんで仕上げに正気を失うために、空きっ腹に缶ビールをあおれば完成。

もうすこしで飛行機も着陸する。ロング缶にするべきだっただろうか。

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