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ウクライナの芸術家シリーズ

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ロシアの芸術家と思っていた人の大半が,実は現ウクライナの出身だったりして驚いてます。その芸術家が生まれ育った当時はソ連の一部だったりしたわけですが,それにしてもウクライナはロシア…
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#リヒテル

【ダヴィッド・オイストラフ(1908-1974, ウクライナの芸術家シリーズ22】

20世紀を代表するヴァイオリニストの一人ダヴィッド・オイストラフ(David Fyodorovich Oistrakh, 1908-1974, 写真左)はロシア帝国オデッサ(現ウクライナ)のユダヤ系の商人の家庭に生まれる。5歳の時にピョートル・ストリヤルスキーの元でヴァイオリンとヴィオラの勉強を始め,同門だったナタン・ミルシュタイン(1904-1992, 過去記事はこちら)とも随分仲が良かったらしい。 1927年にモスクワに移り,1934年にはモスクワ音楽院で教職に就く。弟

【Sviatoslav Richter, 1915-1997🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ2】

20世紀最高のピアニストの一人と言われるリヒテル(1915-1997)はジトーミル(ロシア帝国,現ウクライナ)で生まれ,幼少期をオデッサで過ごす。オデッサ育ちのギレリスの1歳年上なので,同時期にオデッサに住んでいたわけだが,この時期に交流があったかはよくわからない。 父親がドイツ系ピアニストで,基本的な手ほどきは父親から受けたようだが本格的に習ったわけではなく,独学で腕前を上げてリサイタルを開くようになった。ちなみにだが,父親は第二次大戦直前にドイツのスパイ容疑でソ連当局に

【Emil Gilels, 1916-1985🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ1】

20世紀の名ピアニストのエミール・ギレリス(Emil Grigoryevich Gilels, 1916-1985)はオデッサ(ロシア帝国,現ウクライナ)生まれ。両親は共にユダヤ人の音楽家だったとのこと。妹のエリザベート・ギレリスはヴァイオリニストで,レオニード・コーガンと結婚している。見出し写真はエミールとレオニードだ。 「鋼鉄のタッチ」と呼ばれるテクニックの持ち主で,どちらかというとルバートは控えめな一方,端正で緻密でありながら強烈な音量のコントロールによる表現が魅力的

【Heinrich Neuhaus, 1888-1964🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ3】

リヒテルやギレリスを育てた名ピアニストのゲンリフ・グスタヴォヴィチ・ネイガウス(Heinrich Gustavovich Neuhaus, 1888-1964)はロシア帝国エリザベトグラード(現ウクライナ,クロピヴニツキー)出身のドイツ系ピアニスト。母方の伯父は名ピアニスト・作曲家のブルーメンフェルト(Felix Brumenfeld),従兄弟に作曲家のシマノフスキ(Karol Szymanowski)がいる。子どものスタニスラフ・ネイガウス(Stanislav Neuhau