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LE-9タイプ1Aエンジンのスロットリングや、H3ロケットの30形態などについて

 LE-9タイプ1Aエンジンのスロットリングや、H3ロケットの30形態などについて、ぶら下がりで伺ったことをまとめました。

Q:今号機でスロットリングの飛行実証を行うことになった経緯は

A:スロットリングを行うことはLE-9の標準仕様だった。タイプ1でも技術的には(ハードウェア的には)にはスロットリングは可能だったが、試験機1号機を早期に打ち上げるため、スロットリング機能については試験や認定を行わなかったので実施しなかった。
試験機2号機は、試験機1号機の飛行プロファイルを踏襲して飛行実証することが目的だったこと、またタイプ1とタイプ1Aを混載していたので実施しなかった。

Q:LE-9は63%のスロットリングが目標となっているが、今回66%なのはタイプ1Aだからか
A:そのとおりで、タイプ1Aの液体水素ターボ・ポンプは、タイプ1と同じく0の矢(剛性の向上、減衰力の強化)の対策をしたものを使っており、タイプ2で導入予定の恒久対策仕様ではない。そのため、共振を避けるため運転領域に制約を設けている(ため、63%まで絞らない)。

Q:タイプ1Aでスロットリングが可能ということは、タイプ1Aを3基装着する形でH3-30形態の実現は可能なのか

A:可能である。いままさに、タイプ1Aを3基で30形態を実現するべく、開発を進めている。
30形態の実現のためには、ひとつには推力が重要だった。固体ロケットブースター(SEB-3)をもたないので、推力が十分でなければ飛び立てない。その点、タイプ1Aは十分な推力が出せている。

Q:ただ、タイプ1Aはタイプ2より比推力は劣ると聞いている。タイプ1Aで30形態にした場合、打ち上げ能力は計画より落ちるのでは

A:そのとおりで、打ち上げ能力は若干落ちる。最終的にはタイプ2エンジンの開発完了をもって完成ということになる。
(筆者注:タイプ1Aを使用する場合、おそらくコスト面も、巷間伝えられている「H-IIAの半額」、「50億円」といった目標の達成は難しく、タイプ2の完成が必須と思われる)

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