ビデオゲーム史:『テニス・フォー・ツー』
ビデオゲーム史について,作品ごとにまとめたメモを書き残していきたいと思います。今回は『テニス・フォー・ツー』(Tennis for Two) を扱います。
概要
最初のビデオゲームとされることが多いです。1958年に開発されました。開発者は,アメリカのブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)に所属していた物理学者のウィリアム・ヒギンボーサム(William A. Higinbotham)です。アナログコンピュータを使用して開発したといわれています。
テニスを表現した2人でプレイするゲームです。オシロスコープをディスプレイとして用いているのが特徴です。ボタンと回転するダイヤルからなるコントローラで操作します。
作品メモ
以下のWebサイトが『テニス・フォー・ツー』についてよくまとめてくれています(英語です)。動画もあります。
https://www.bnl.gov/about/history/firstvideo.php
(ブルックヘブン国立研究所のWebサイトへのリンク)
開発者のヒギンボーサムは,原爆の制御装置やレーダーの研究を行っていたといわれています。ブルックヘブン国立研究所では,地域住民に原子力研究への理解を深めてもらおうとして,毎年秋に研究所を一般公開していました。しかし,住民は機材や写真などの展示にあまりよい反応を示していませんでした。
そこで,ヒギンボーサムは,研究を楽しみながら理解してもらえるように,同僚の研究者であるロバート・ボブ・ドボラックとともに,5インチのオシロスコープディスプレイを用いたこのゲームを,3週間で開発したといわれています。1958年10月に一般公開されたとき,とても評判が良く,たくさんの人に楽しんでプレイされました。初めて一般人がプレイしたという意味で,最初のビデオゲームだといわれるようです。
実物は残されていませんが,2015年に開催されたビデオゲーム展示イベント「あそぶ!ゲーム展」では,レプリカに触れてプレイを体験することができました。
アナログコンピュータを用いているため,「デジタルゲーム」とは呼べないという指摘もありますが,細かい話はさておき,ブラウン管で表示されるということで,まさに最初のビデオゲームと呼べると思います。今後も「ビデオゲーム史シリーズ」ということで,少しずつ続けていこうと思います。
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