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ビデオゲーム史:『ヘッドオン』

 ビデオゲーム史シリーズとして,作品ごとにまとめたメモを書き残しています。今回の作品は『ヘッドオン』(Head On) です。


概要

 車を走らせてコース上のドットを消していくアーケードゲームです。1979年に稼働を開始しました。開発元はセガ・グレムリン (Sega/Gremlin),発売元はセガです。

 プレイヤーの目的は,黄色の車を操作して5車線からなるコースを反時計回りに走行し,各車線上にある全てのドットを消すことです。4方向レバーで走行する車線を変更することができます。ひとつのドットを消すごとに5点のスコアを獲得します。時計回りに走行する敵の赤い車と衝突すると失敗となるため,敵の車と衝突しないように走行する車線を選ぶ必要があります。

 また,ボタンを押すことで高速走行に切り替えることができます。通常の走行では2車線まで変更可能ですが,高速走行では1車線しか変更することができません。全てのドットを消すと面のクリアとなり,敵の車は2回クリアするごとに1台増え,最大で3台まで増えます。敵の車がドットを赤色に変えることがあり,このドットを消すとより高いスコアを獲得することができます。

 最初の「ドットイートゲーム」とされていますが,海外では迷路ゲーム (maze game) というジャンルに分類されています。続編として,Uターンゾーンが追加され,敵の車が4台まで増える『ヘッドオンⅡ』(Head On 2) が同年に発売されています。


作品メモ

 以下は,YouTubeにアップロードされている動画へのリンクです。

https://www.youtube.com/watch?v=vbVib8LSUsY

 この動画では縦長の画面になっていますが,最初に発売されたアップライト筐体では横長の画面になっていて,検索すると横長画面のバージョンの動画も多く見られます。当時はテーブル筐体が普及していたこともあり,縦長画面のバージョンも少なくなかったようです。

 『パックマン』より前の「ドットイートゲーム」として有名ですが,このジャンル分類自体が海外では一般的ではないようです。海外で用いられる「迷路ゲーム」というジャンル名称もありますが,コースが迷路と呼ぶほどの構造になっていないので,この作品に関してはこの名称もあまり適切ではないように思われます。ジャンル分類というものは捉え方次第であって,ドライブゲームとみなす場合もあるようです。

 なお,細かい話ですが,『ヘッドオンⅡ』のフライヤーには「ヘッド・オンⅡ」,「セガ・ヘッド・オン・パートⅡ」,「HEAD-ON PART II」といった表記も見られます。ゲームのタイトルに関しても,どれを表記すべきかということについて迷うところではあります。フライヤーに「ヘッド・オンⅡ」という表記が見られることと,文献(赤木, 2005)に『ヘッドオンⅡ』という表記があること,『ヘッドオン』が「・」を抜いた表記で示されることが多いように見受けられることなどを考慮して,この記事では『ヘッドオン パートⅡ』とはせずに『ヘッドオンⅡ』と表記することにしました。


 以上,ビデオゲーム史シリーズの18作品目でした。最近はナムコのゲームの紹介が続いてきましたが,今回はセガのゲームでした。名作の陰に隠れてしまいそうですが,デザインのアイデアを見る限り,触れておくべき作品だと思われました。


文献
赤木 真澄 (2005). それは「ポン」から始まった―アーケードTVゲームの成り立ち―  アミューズメント通信社

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