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ビデオゲーム史:『ブレイクアウト』

 ビデオゲーム史について,作品ごとにまとめたメモを書き残していきたいと思います。今回は『ブレイクアウト』(Breakout) を扱います。


概要

 1976年に稼働を開始して「ブロック崩し」という種類のゲームを確立することになったアーケードゲームです。世界的にヒットして,類似したゲームが日本国内で大量に作られました。現在に至るまで数多くの同種のゲームが発売されています。開発・発売元はアタリで,日本では中村製作所(1977年にナムコ(Namco)へ社名変更)から発売されました。

 プレイヤーは左右に動かすことができるパドルを操作して,画面上を跳ね返りながら移動するボールを打ち返し,画面上部に並んでいるブロックを消します。ブロックは最初に8列に並んでおり,2列ごとに色が異なっています(下から順に,黄,緑,オレンジ,赤)。黄色のブロックが1点,緑色のブロックが3点,オレンジ色のブロックが5点,赤色のブロックが7点に設定されており,これらのブロックを消すとスコアが増えるというルールになっています。

 ボールが画面下部に落ちると失敗となり,1回のゲームで3回まで続けて挑戦することができます。『ポン』と同様に,ボールがパドルに当たる位置によって,ボールの反射角が変わります。ボールを4回打ったときと12回打ったとき,またはオレンジブロックか赤ブロックを消したときに,ボールの移動速度が上がります。また,ボールが画面上部の壁に当たると,パドルの幅が小さくなります。このように,進行するにつれてゲームの状態が変化するのが特徴です。基本的には1人プレイのゲームですが,交替で2人プレイにすることもできます。

 breakoutには「脱獄」という意味があり,アーケードフライヤーのタイトルのロゴには囚人が描かれています。アップル社を創業したスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが開発に関わっていたことも知られています。また,タイトーは,テーブル型筐体を開発して喫茶店を中心に設置し,新しい市場を開拓したといわれています。


作品メモ

 アタリの『ブレイクアウト』は,1万1千台も出荷されたといわれています。以下は,YouTubeにアップロードされている動画へのリンクです。

https://www.youtube.com/watch?v=AMUv8KvVt08

 のちにゲームメーカーになる会社がたくさんの種類の「ブロック崩し」ゲームを作って,ゲーム市場に参加していったことは有名な話です(日本でライセンス生産したのは,タイトーとナムコだけです)。「ブロック崩し」の魅力のひとつは,ルールを少し変えることで新しい遊び方が可能になるという点でしょう。無断コピー品,正式なライセンスを得た作品,続編など,現在に至るまで様々な種類の「ブロック崩し」が生まれてきたということからも,ひとつのジャンルを確立したといえます。

 もうひとつ注目すべきは,タイトーが開発したテーブル型の筐体の普及です。喫茶店に「ブロック崩し」がプレイ可能なテーブル型筐体を置くことによって,店側はゲームと飲食代の両方から売り上げを得ることができました。喫茶店の風景を変えたという意味で「ブロック崩し」の影響は大きかったといえます。


 以上,ビデオゲーム史シリーズの9つ目の作品でした。今では,Googleで「atari breakout」と入力して検索すると,「ブロック崩し」をプレイすることができます。ゲーム市場を拡大させ,ひとつのジャンルを確立したビデオゲームの影響力の大きさが,このようなところからも伝わってきます。

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