ビデオゲーム史:『ポン』
ビデオゲーム史について,作品ごとにまとめたメモを書き残していきたいと思います。今回は『ポン』(Pong) を扱います。
概要
最初に大ヒットしたアーケードゲームだといわれています。1972年に稼働を始めました。2人でパドルを操作してボールを打ち合う,卓球を表現した対戦型のゲームです。類似したゲームや大量のコピー品が作られたことでも有名です。
開発・発売元はアタリで,アラン・アルコーン (Allan Alcorn) がデザインしました。スコア表示と効果音があり,ボールがパドルに当たる位置によって,ボールの反射角が変化するようになっていました。
アタリは,初期のビデオゲーム業界を代表するアメリカのゲームメーカーです。この社名は囲碁の「アタリ」という用語に由来するといわれています。創設者は『コンピュータースペース』をデザインしたノラン・ブッシュネルです。
作品メモ
パドルで打ち合いを続けて,跳ね返すことができなかった場合に相手側の得点になるというルールになっています。15点先取した側が勝ちになります。以下は,YouTubeにアップロードされている動画へのリンクです。
https://www.youtube.com/watch?v=fiShX2pTz9A
最初にカリフォルニア州サニーベールのアンディ・キャップスという名前の酒場(Andy Capp's Tavern)でロケテスト(ロケーションテスト; 開発中のアーケードゲームを営業施設に設置して行う実際のプレイ状況の観察)が実施されました。このときは1ゲーム25セントでプレイすることができました。
あっという間に評判になり,酒場の開店を待って行列ができるほどになったといわれています。アルコーンが酒場の店長からロケテスト機修理の依頼を受けてやって来たところ,コイン入れが25セント硬貨であふれていて,これが故障の原因だということがわかったという逸話が残されています。稼働後も圧倒的な人気を博すことになり,コピーを含めると全世界で約10万台の売り上げがあったといわれています。
以上,ビデオゲーム史シリーズの4つ目の作品でした。『ポン』とアタリはあまりにも有名で,初期のビデオゲーム産業を代表する新時代を切り開いた作品と会社だといえます。実際にプレイしてみると,非常にわかりやすく,その面白さが伝わってきます。個人的には,ボールがパドルに当たる位置によって,ボールの反射角が変化するというルールのアイデアが秀逸だと思います。エポック・メイキング(epoch-making)とは,『ポン』のような作品を指すといえるでしょう。
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