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ファイアーエムブレム風花雪月プレイ&考察まとめ13-魔斧アイムールに宿る獣の紋章石の理由

5月から記事を書き始めた本noteですが、おかげさまで5000ビューを超えました、という記事を書こうと思っていた間に6000も超えてました!ありがたや!(しかしこのサムネぴったりだと思っていたのに...( ;∀;)

気の赴くままに不定期に更新していますが、予想よりも多くの方に見ていただき大変嬉しく思います。発売から一年経ってしまいましたが、これからもなにか面白い内容を思いつき次第更新したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。また試しにマシュマロ作ってみたので、もし匿名でコメント入れたい方いらっしゃいましたらこちらからよろしくお願いいたします。

さて本記事では、アイムールとブルトガングを中心に、英雄の遺産に含まれない紋章武器を中心とした考察をまとめます。(最終追記 02/26 空竜の証によるアイムール適合に関する議論を追加)


※DLC含めた全ルートに関連する盛大なネタバレ祭りです!


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英雄の遺産と竜の名前の対応

英雄の遺産は女神の眷属の心臓に由来する紋章石と彼らの骨を元に、闇に蠢くものたちの技術により作られ、英雄戦争でその力を大いに奮った武器です。対応する紋章を宿した人間は特別な戦技を使うことができ、それらの名前はブルトガング以外の武器において、紋章アイテムの竜の名前と対応しています。これらの戦技は効果は様々ですが基本的に竜に有効であり強い威力を持ちます(ちなみに竜に特攻がある武器はドラゴンクローのみ)。以下が本編で登場する戦技を持つ英雄の遺産です。

時計回りに→打ち砕くもの:砕塵、ルーン:震炎、アラドヴァル:無惨、フライクーゲル:劫火、破裂の槍:裂空、ブルトガング:獣牙、雷霆:雷迅、フェイルノート:落星(+天帝の剣:破天、覇天)

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この中で、ブルトガングの戦技「獣牙」は獣の紋章の名前には対応していますが、唯一嵐竜に関連する名前が入っていません。これは果たして意図的なのでしょうか?

↓ブルトガング装備のマリアンヌ

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魔斧アイムール

本編ではブルトガング以外にもう一つ、獣の紋章石を宿した武器アイムールが登場します。二部からエーデルガルト専用武器として使うことのできるアイムールは、設定資料集から獣の紋章石がつけられていることが明記されているそうです。打ち砕くものの戦闘ビジュアルで紋章が間違っていたりとグラフィックには間違いがある可能性もありますが、アイムールは資料集とOPにも登場します。

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アイムールの説明文には「エーデルガルト専用の紋章石改造武器 戦技「狂嵐」を使用可能」、英文では「エーデルガルト専用に作られた紋章石武器 彼女が戦技「狂嵐」を使用可能」(A Crest Stone weapon designed to Edelgard's specifications, allowing her to use Raging Storm.)と書かれています。

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このエーデルガルトだけが使える戦技「狂嵐」、こちらには嵐の名前が入っていますこちらの戦技も竜に有効です。そして同時に「英雄の遺産"アイムール"」と書かれています。

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獣の紋章を持つマリアンヌや先生では、アイムールは適合反応を見せません(紋章持ち以外が持った場合は武器部分も暗くなります)。このことから、本物の紋章石が内蔵されており、かつエーデルガルト本人(もしくは炎の紋章とセイロスの紋章の組み合わせ?)にのみ適合するようアガルタの民たちによって紋章石自体が改造された武器であろうと予想されます。人間で例えれば血液型ではなく個別のDNAを認識する、といったところでしょうか。

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過去記事で議論しているように、フォドラでは同じ紋章に対応する複数の紋章石が存在し、また本編で登場するよりも多くの英雄の遺産が存在することが示唆されています。このことから、ブルトガング・アイムールが共に獣の紋章石を持つことは十分ありうることだと思われます。闇に蠢くものたちは外伝「許し難き行い」で描かれるように失われた英雄の遺産を収集しており、得られた獣の紋章石の武器をエーデルガルト用に改良した可能性があります。少なくとも修理に必要な要素が英雄の遺産と同じダークメタルではなくアガルチウムであることから、製作(or 改良)時期は近年になってからだと思われます。

参考:他小紋章あり

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参考:紋章なし

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08/25 追記:マシュマロでアイムールの戦技に関する情報をいただきました。紋章アイテムのうち空竜の証(セイロスの紋章)を用いると、アイムールの狂嵐が利用可能になるそうです。ちょうど英語版になっていますが、Raging Storm=狂嵐です。

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紋章アイテムはクリア後特典として使えるもので本編中で本来登場するものではありません。また、紋章アイテムを所持していても戦闘中の外見上では適合反応は見せず、正規の手法で適合しているという訳でもなさそうです。設定上単なるセイロスの紋章適合であればそのように説明される気がするので、他に改造された紋章武器がない&セイロスの紋章持ちのプレイアブルキャラもいないので、利便性で選ばれた可能性もあるかなと思います。ただ炎の紋章やエーデルガルト限定の適合かは紋章アイテムからは確かではありませんが、少なくともセイロスの紋章はアイムールの紋章石への適合に大きな役割を持っていると考えてよいのではないかと思われます。

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02/26 追記:エーデルガルトの狂嵐は武器消費が4になっていますが、これは小紋章での英雄の遺産の武器消費量と一致していることがわかりました(大紋章 3、小紋章 4、紋章アイテム 5)。このことから、エーデルガルトはアイムールに対して小紋章に対応する適合レベルと推測され、ここからも炎の紋章よりもセイロスの紋章がその適合に大きな役割を果たしていることが示唆されます。一方ネメシスの戦技の武器消費は3であり、こちらは炎の紋章による大紋章での適合と考えられます。

アイムールとブルトガングの由来

アイムール・ブルトガングなど各武器は現実にある伝説や神話に由来して名付けられています。アイムールは「撃退」という意味の棍棒で、「追放」を意味するヤグルシ(ュ)という棍棒と対になっており、地中海を中心とした地域で信仰されていた嵐を司る神バアルが用いた武器です。海の神ヤムから配下となることを求められたバアルは、その棍棒を用いて彼を殴り殺します。このヤムは竜の姿をしていたとされ、本編でアイムールによって白きものを打ち倒すことと対応している可能性があります。またバアルは異教の神として聖書で批判の的になることも多かったそうです。

一方ブルトガングは、ドイツ周辺の伝説に由来します。ゲルマン民族の伝説の英雄ハイメが、リスペという名馬とともに所有しているのがブルトガングです。これがマリアンヌの馬好きや彷徨える獣の周りに魔物が集まっていることにつながっているのでしょう。またハイメは日本語wikiによると、龍殺しをしたことがあるとも言われているそうです。ただし嵐に関連するような項目は特に見当たりません。

アイムールが嵐の神に由来する武器である一方、ブルトガングが嵐との関連性が見られないということを鑑みると、武器の由来に関してもアイムールの方が嵐竜とのつながりが強い武器であると考えられます。

アイムールは初代眷属に由来する武器である?

獣の紋章石を持つ武器が複数あった、ということはおそらく獣の紋章を持つ竜も複数存在したということになります。セテスの子供であるフレンは緑髪のナバテアの民であり、竜化できるかは不明ですが紋章石をその身に宿している可能性があります。このようなソティスに作られた初代眷属以外にも、その子孫であるナバテアの民や彼らの眷属であるものたちが竜形態と紋章石を持ち、英雄の遺産の材料とされた可能性があります。

そしてこれまで述べてきたように、アイムールとブルトガングでは、アイムールの方にのみ多くの嵐のモチーフがあらわれます。このことから、ソティスに作られた眷属である嵐竜がアイムールの(もしくはその紋章石の)材料であり、一方ブルトガングは嵐竜の眷属である別の竜が元になっており、嵐竜の特性が薄れているのではないかというのが個人的な推測です。

女神の眷属の血を飲み長命かつ大紋章持ちであった十一傑の一人モーリスは、彷徨える獣として現れますが、彼の魔物化はブルトガングにはめられた紋章石が中心となっていたものでした。すなわち女神の眷属に血を受けただけでは、例え大紋章持ちであっても人間は紋章石を宿していないのではないでしょうか。一方、銀雪の最終章でレアが血と紋章石の欠片を与えた白きものの眷属たちも白き獣という竜の形態をとります。ただし彼らが持つのはレアから受けた聖なる紋章石の欠片で紋章石丸ごとは持っていませんでした。ただ彼らは人間であっても「女神の眷属・それらに連なるもの」とされレアの咆哮にも共鳴するなど、強い竜の力を宿していました。もしかすると長い年月経てば紋章石の欠片を持つ眷属であれば、元人間であっても紋章石を体に宿す可能性もあるかもしれません。少なくとも現段階では彼らのような元人間が武器にされた可能性があるかは明らかではありません。

フォドラ解放戦における闇武器

さらに地上に蘇ったネメシス・十傑と戦うフォドラ解放戦でも、英雄の遺産とは異なるが紋章石を持っているように見える武器が登場します。彼らは基本的に生前使っていた英雄の遺産を模した武器を持って登場します。

ネメシスが持つ天帝の闇剣は、「2つの紋章石の力を得た、闇の魔剣 炎の紋章のみ戦技「崩天」を使用可能」とあり明確に紋章石が埋まっていると書かれています。また剣に埋まっている紋章石は、ムービーからノアとティモテの紋章石であることがわかっており、人工紋章石とも書かれていないことから眷属由来の紋章石と思われます。しかし、武器自体に対応する紋章はその二つのどちらでもなく炎の紋章です。先生は炎の紋章石を持ちますが、天帝の剣以外の遺産に適合することはないため、アイムールのようになんらかの改造が施された武器であることは間違いありません。

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本編中ではノアとティモテの紋章石は他に登場しないので、おそらく過去あった眷属由来の二つの紋章石を利用して天帝の闇剣が新たに作られたのだと考えられます。実際オーバンの紋章石に対応するドローミの鎖環が宝杯の儀より前に造られダグザへ渡っていることから、四使徒たちはオリジナルの眷属とは別のものであった可能性が高いと考えられ、闇剣にはまっている紋章石もオリジナルの萌竜と闇竜のものである可能性があります。入手タイミングとしては英雄戦争時・英雄の遺産収集時・または聖墓から盗んだ、ということが考えられます(私はいつも報酬目当てで全部取り返してしまいますが)。

しかし、なぜ天帝の闇剣は二つの紋章石を持つのでしょうか?炎の紋章石や神祖の血は、他の眷属たちとは比べ物にならない力を持ちます。しかし、煤闇で登場した始原の宝杯は異なる4つの紋章石の欠片を組み合わせることで、神祖をこの世に呼び戻すほどの強い魔力を帯びることを可能にしたのではないかと過去記事で議論しました(参照)。また二重紋章の実験では、寿命と引き換えに高い魔力をリシテアが獲得することからも、このような複数の紋章や紋章石の組み合わせは、本来の何倍にも強い力を得ることを可能にできることを闇に蠢くものたちは発見したのではないでしょうか。

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そして戦技「崩天」は天帝の剣の戦技「破(覇)天」に類似した名前であり、こちらも竜に有効です(これが使われるのを見たことがないのですが、天帝の剣と同様に伸び縮みするので同様のモーションでしょうか)。その一方で、その他の十傑の武器や装備の説明においては遺産を模した武器であるとしか書かれていません。

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実際に拡大モードで見てみると、十傑の模造武器は紋章適合しておらず、英雄の遺産や天帝の闇剣のように光を見せません。十傑自体は紋章を保持していますので、紋章石自体には十分適合するはずです。おそらくこれらの武器は天帝の闇剣とは違い本物の紋章石を保持していないため(もしくは死者=操り人形であるため?)適合反応を起こさなかったのではないかと考えています。

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紋章の適合反応に必要なもの

紋章と遺産との適合のためには、対応する紋章石と使用者の紋章が同じである必要があります。適合には実は紋章石ではなく武器の骨の方が重要なのでは!?と考えもしましたが、骨の部分は紋章の種類に関係なく紋章持ちであれば適合反応を見せます。またドローミの鎖環やラファイルの宝珠など、骨が使われていなさそうな装備品もありますので、紋章石と紋章の一致が真の力を引き出すのに必要であることは間違いないと思われます。異なる紋章でも持っていればダメージを受けずに使うことはできるため、紋章に関して近い条件を持つほど、その真の力を引き出せるのではないかと思われます。

英雄戦争の段階では、闇に蠢くものたちはネメシスに情報を与え、ネメシス・十一傑に眷属たちの血を飲ませて英雄の遺産を使わせていました。このことから、その当時は紋章石と異なる紋章を宿す使用者に力を引きださせる技術は持っていなかったはずです。しかし炎の紋章石は他の紋章石と違い確実に一つしかないため、他の紋章石に適合させる技術を獲得することはアガルタの民たちにとって長年の課題だったかと思われます。

本編中では闇に蠢くものたちが聖廟を襲撃しセイロスの棺をあさったことから、エーデルガルトに適合させることのできるセイロスの紋章石を探していた可能性があります。またレア様が帝国に囚われたルートでは、彼女の持っていたセイロスの剣をエーデルガルトが度々使用している様子も見られます。このことから、闇に蠢くものたちは一部において炎の紋章石を宿した天帝の剣・セイロスの紋章石どちらも発見することができなかった結果新しくアイムールをエーデルガルト専用に作り変えたと考えると、アイムールの登場時期(2部)や修理にアガルチウムを利用する新しい武器である事実とも一致します。もしこの仮説が正しかった場合、エーデルガルトの兄弟やパトリシアの失踪はアイムール製作よりも、むしろその前段階で彼女の二重紋章獲得のために利用された可能性が高いと考えられます。

一方で天帝の闇剣は炎の紋章適合であり、アイムールほど特定の個人に適合するような特異性の高い武器ではありません。ともするとアイムールが天帝の闇剣よりも新しい技術で作られたか、またはエーデルガルトが炎の紋章と別の紋章(この場合セイロス)を持っていることで、より特化した武器を作ることができた可能性などがこの二つの武器の性能の違いの理由として考えられます。

アイムールの戦技「狂嵐」は一ターンで複数回の行動を可能にするなど時を操ることのできるまさにチート武器で、天帝の闇剣よりもずっと高度な能力を持っています。もしこれがセイロスと炎の紋章という複数の紋章の力を組み合わせると本来のものよりもずっと強大な力を発揮できることによるのであれば、エーデルガルトはネメシスと比較しても圧倒的な力を持つまさに「最高傑作」と言えるのではないでしょうか。

異なる紋章の紋章石に適合させる技術とは?

闇に蠢くものたちが実際どのように異なる紋章石を、炎の紋章持ちに適合させる技術を手に入れたのかは完全に謎に包まれています。先ほど炎の紋章は紋章石が一つしかないため、異なる紋章石への適合が求められていたのではないかと議論しました。しかし本編中で最終的に異なる紋章の紋章武器を使えているのがエーデルガルトとネメシスのみである(他の十傑は改造武器を持っていない)ことを考えると、逆に炎の紋章を持つこと自体が異なる紋章石に適合するための必要条件であった可能性もあります。またエーデルガルトとネメシス、どちらも体を切り刻まれたり血を抜かれている可能性も高いため、本人から得られた血や魔力を武器の製作の際に利用することが必要なのかもしれません。

獣の紋章関連は謎が多く、マリアンヌの両親や本編で描かれないパトリシアなどがアイムールの作成や獣の紋章石への適合に利用されたのではないかという考察をよく見かけます。EP8のイベントでのタレスのセリフからも、ダスカーもアンヴァルも炎帝が力を得るためにやったことという発言があり、何かしら炎帝のために利用されたことは間違いありません。ただし、炎帝だけでなくネメシスもノアとティモテの紋章石に適合できることから、アガルタの民は少なくとも親族などの実験体が存在しなくとも、炎の紋章を持つものを他の紋章石に適合させる技術を持つと考えてよいのではないでしょうか。このことからも、親族の実験体はアイムール作成よりも、炎の紋章や覇骸能力の獲得など、紋章付与の改造工程で利用されている可能性が高いと考えています。

魔拳ヴァジュラ

次に考察する武器ヴァジュラは英雄の遺産ではない謎の遺産です。シュヴァリエの紋章に対応する魔拳ヴァジュラは、クパーラの里に伝わる武器であり、「英雄戦争よりあとに遺産を真似て造られた武具」で一族の秘宝のようなものであるとバルタザールの支援で語られます(後ろから見守る先生)。

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説明文には「謎の遺産(シュヴァリエの紋章) 紋章一致で戦技「魔拳」を利用可能」とあります。この説明からもヴァジュラは闇に蠢くものたちによって英雄戦争の際に作られた武器ではないと考えられます。ただし修理に用いるのは遺産同様にダークメタルであるため、英雄の遺産を研究しその当時の作成技術を模倣して作られたものだと考えられます。もしかするとアビスの書庫にあった英雄の遺産を研究していた人とも何か関係あるのかもしれません。

また、ヴァジュラは両方の手に装着するようになっている武器であり、二箇所に紋章石のような丸く光るものがついています。しかし、ヴァジュラを装備し魔獣化してしまったオックス男爵のステータスでは、シュヴァリエの紋章石はたった一つしかなく、単数形で書かれています

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入手時の画像では左手用の一つしか描かれないので、拳だからと便宜的に二つつけてあるのかもしれませんが、これを説明できる要因に関してはまだ浮かんでいません。一つの紋章石が半分半分にはまっている可能性もありますが、紋章石は歪んだり尖ったりした場合には魔獣化や暴走化しやすくなる傾向があるのではと考えているので、その説の可能性は低いのではないかと考えています。

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例えば双子の眷属で二つで一つの力を持つとか?と思い立ちシュヴァリエの紋章に対応する「雪を降らす竜」に関して調べていたところ、ケルト神話にFriuchとRuchtという雪を降らせる二人の竜という伝承があるという質問トピックがひっかかりました(英語だとこちらの方が読みやすいと思われます)。ざっくり説明すると、姿を変身させることのできる二人の豚飼いが、様々な動物に変身しながら力を比べ合うというもので、その中で竜になりお互いの国に雪を降らせる描写がでてきます。眷属たち四聖人の名前はケルト神話に由来していますし、シュヴァリエの紋章が描かれたベガルタ・モラルタも対の剣ですので、雪竜に関するものが二つ存在することはこちらのケルト神話のお話とも何か関係しているのかもしれませんね。

戦技は紋章石ではなく骨に由来する?

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さて紋章石の個数の謎は置いておいてこのヴァジュラ、紋章一致で使える戦技は「魔拳」です。この戦技にはシュヴァリエの紋章に対応する雪竜の名前がなく、竜有効もありません。おそらくヴァジュラ本体は里の防衛が主目的であり、竜を倒すことを目的として作られていないからではないでしょうか。他の英雄の遺産のようにピクピクと動くことがない(といってもモーションで動くのは破裂の槍とアイムールぐらいですが)ので、そもそも眷属など竜の骨ではなく何か特別な金属で作られている可能性もあると思います。しかし、他の紋章持ちが装備すると適合反応自体は見せるので、むしろ雪竜以外の竜の骨は使われているが竜に特別有効になるような作りはしていないだけという説の方が可能性が高いのではないかと考えています。

参考:小紋章あり

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参考:紋章なし

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先程天帝の闇剣について紹介した際、その戦技ははめこまれた二つの紋章石どちらでもなく、適合する炎の紋章に対応するものでした。一方アイムールは獣の紋章に対応する嵐竜にまつわる戦技が使用可能になります。適合する持ち主の紋章でも武器にはまっている紋章石でも戦技名との関係性を説明することはできません。これらをうまく説明する共通項を考えると、もしかすると戦技が対応する竜の名は、紋章石でも適合する紋章でもなく武器に使われた骨の眷属に由来するのではないかという仮説が浮かび上がります。つまり、天帝の闇剣=ソティスの遺骸、アイムール=嵐竜の遺骸、そしてヴァジュラは初代眷属の雪竜以外の竜から作られていれば、それぞれの戦技が素材の竜と正しく対応させることが可能になります。ただし通常骨と紋章石は一致する必要があると思われるので、この場合でもやはりノアとティモテの二つの紋章石を持つ天帝の闇剣は特殊例とする必要が出てきます。

英雄の遺産・紋章石改造武器・失われた遺産・謎の遺産

さて、これまで出てきた武器に加えて、DLCで追加されたオーバンの紋章に対応する遺産「ドローミの鎖環」はそれぞれ明確に異なる説明がつけられています。具体的には、アイムールはアイテム欄で「紋章石改造武器」戦技で「英雄の遺産」、天帝の闇剣は「闇武器」、ヴァジュラは「謎の遺産」、そしてドローミの鎖環は「失われた遺産」とされています。一部のバグや誤りはこれまでのアップデートで訂正がありましたが、この説明には変化がなく、かつこれらの武器で明確に書き分けがされていることからも、アイムールは過去獣の紋章に対応する英雄の遺産であった可能性が高いのではないかと考えられます。

ただもしこの仮説が正しかった場合、他の十傑たちはみな竜の名前の戦技をもつ遺産を用いているのに、なぜモーリスだけ嵐竜の力が強くないブルトガングを用いていたのか、という疑問が出てきます。眷属は女神に近いほどより強い力を持つことが示唆されていることからも、初代眷属の竜由来の武器の方がより強い力を発揮できると考えるのが自然だと思われます。

もしアイムールが、セイロスが秘匿しており本編中に聖墓で奪われた紋章石で新たに作られた武器であるならば、モーリスは当時それを使うことはできず当然ブルトガングを使うのもうなずけます。しかしもしアイムールも英雄の遺産だった場合、アイムールは斧でブルトガングは剣であるので、戦争当時両方存在したとしても単純に自分に適性があった方を選んだのかもしれません。もしくは、十一傑たちは子孫を残しておりマリアンヌの外伝からもモーリスの子孫が存在した(その後粛清された)ことが示唆されていますので、モーリスの子供たちが当時アイムールの方を使っていた可能性も考えられます。

ヴァジュラの名前の由来

ヴァジュラはバラモン教・ヒンドゥー教におけるインドラの持ち物であり、仏教では帝釈天の名でも知られています。本編で出てくる武器であるインドラの矢も、このインドラが敵と戦った武器や地上に落としたりした雷に由来すると言われています。

ヴァジュラの作成に関してWikipediaによると、工巧神トヴァシュトリによって作られた雷の力を宿す法具と言されています。素材はダイヤモンドのような硬い材質のものであるとされますが、ダディーチャという仙人の仙骨を利用して作られたという神話も残されています。ただし元のヴァジュラ(=金剛杵)は特にナックルのような見た目のものではなく、どちらかというととても小さい握れる棒のような形のものが多いようです。

さらにヴァジュラは各言語においてかなり名称が変化している武器でもあり、言語間での訳の開きがかなり大きい武器でもあります。中国語では封神演義にでてくる降魔杵と表記されているそうで、また英語版では戦技「魔拳」も「Eviscerate(骨抜きにする)」となっています。

四使徒シュヴァリエとはどんな人物であったか

シュヴァリエは他の四使徒たちと違い、DLCの発売前から本編中で何度もその紋章や名前が登場していました。まず紅花の最終戦でフェルディアに放たれたゴーレムのうちの一体がシュヴァリエという名前を持っています。また、ベガルタとモラルタの剣の断面にもシュヴァリエの紋章が刻まれており、マクイルとともに神聖武器の制作に関わるなど、工作が得意だった可能性があります

参考:Twitterで武器の詳細なビジュアルまとめを公開してくださっています

さらにシュヴァリエは宝杯の儀の絵においても中心に位置し、魔導に長けたノアに次いで中心的な役割を担っていた可能性があります。このようなことから、ヴァジュラ作成のための技術を伝えたのもシュヴァリエ本人の可能性が高いと考えられ、これがシュヴァリエとヴァジュラのモチーフの作成者トヴァシュリとの類似点と考えられます。

ヴァジュラを作成したトヴァシュリについてもう少し詳細を調べてみますと、彼はインドのヴェーダの宗教における創造主であり、人類や動物の肉体の形成者でもあります。本編でレア様は血を分けて12人の人間の肉体を作り上げ女神の器として育ててきました。その作成方法は謎に包まれていましたが、このシュヴァリエがもしかするとその作成技術をレア様に伝授した可能性もあるのでは!?というのが個人的な妄想です。

おわりに

今回は謎の多い武器アイムールとヴァジュラについて、雑多ではありますが考察をまとめました。本記事では、アイムールの紋章石と本体は、初代眷属の嵐竜により作られた英雄の遺産であった可能性が高いのではないかという仮説について議論をまとめました。

何か新たな情報がわかり次第、追記予定です。何か質問やご批判などありましたら、コメントお待ちしております!


おまけ:その他最近のつぶやき

魔獣の歯の本数問題:このツイートから始まるフォロワーさんとの一連のやり取りで、はぐれ魔獣の歯の本数が32本、彷徨える獣が28本、黒き獣が26本と人間が元になっていそうな魔獣は歯の本数が人間の歯の本数と近いのではないかという観測結果があがってきました。一方自分では未確認ですが巨狼では42本、白きものはゆうに40本以上ありそうなので、魔獣とその他の魔物の歯の本数を明確に変えている可能性があります。

ルミール村の井戸問題:ルミール村入り口から向かって左奥に井戸を発見しました。実験のためにフレンちゃんの血を飲ませた可能性があるという考察を以前していましたが、この井戸に混ぜれば村人たちに一気に広げることができるかもしれません。

支援S指輪の種類まとめ:金色のゴージャスな指輪があること気付いていませんでした、計3種類各人の財政状況により選ばれている説が濃厚です。


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