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ファイアーエムブレム風花雪月プレイ&考察まとめ20<前編>−同盟の月隠に走る亀裂と黒き野望の結実

_人人人人人人人人人_
> 春だーーー!!! <
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皆さま色鮮やかな花粉舞う季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は国外逃亡の唯一の利点である()花粉の種類の違いにより、お陰様で束の間の平穏な毎日を送っております( ´ ▽ ` )

さて今回は記念すべき第20記事目として、報告書の燃えさし+闇に蠢くものたちのフォドラ史のまとめ完結編をお送り致します。これまでの人生で長文のブログは三日坊主になりがちなのですが、ここまで続けられたのもコメントやツイートで日頃絡んでくださる皆さんのおかげです!今回は総括編として前編で報告書の燃えさしと闇に蠢くものたちによるフォドラ崩壊計画について、さらに後編では闇に蠢く者たちが描く青写真とそれに協力するエーデルガルトの本音と建前について議論する予定です。

毎回恒例ではありますが、真偽不明のモチーフや参考になりそうなもの、また多分に妄想が含まれておりますのでご注意ください。(2021.04.23 最終追記 "先代の公爵"の解釈について) 


※DLCとほぼ全ルート+外部情報に関連する盛大なネタバレが含まれます!


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1. 報告書の燃えさし

本記事では報告書の燃えさしの最後のページ、ゴドフロアの暗殺事件についてまとめます。これまで報告書の燃えさしでは王国分裂・同盟分裂・王国トップ襲撃事件に関する情報が含まれていましたが、今回は同盟トップ襲撃に関する話題です。以前の記事に、報告書全体と本記事以外のページのまとめをのせてありますので、そちらも適宜ご参照ください。今回も「闇に蠢くものたちの暗躍を教会の人物の視点からまとめた文書ではないか」という仮説を念頭に内容をまとめていきます。

4P目 - リーガン公オズワルドの嫡男一家事故死事件

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報告書の燃えさしで最も直近に書かれたと見られる五十一項の六、かなり数字が大きく不穏な事件の急激な増加を感じさせます。内容はリーガン家嫡子のゴドフロアの事故死に関する噂についてで、グロスタール伯の関連が騎士団の中でも疑われたが、それが別の何者か(具体的には闇に蠢くものたち)の仕業だったのではという主旨と考えられます。

グロスタール伯の疑惑に関しては騎士団で"も"疑いが持たれたとされていることから、世間的にもグロスタール家の関与が疑われていたように読みとれます。そのため当然のごとく現リーガン公にも疑いを持たれたことから対立が深まり、同盟内での内紛へと発展しかけましたが、オズワルド公爵が病に倒れたことで同盟分裂の危機は回避された模様です。被害者が"一家"とされていることから、妻や子供が同時に亡くなった可能性もあります。

またこの事件の時期は明確には書かれていませんが、報告書の並び順的にダスカーの悲劇(1176年)後の事件だったと推測されます。さらに「先代の公爵に続いての事件」だったということから、リーガン家では不審な死が続いていたことになると思われます。英語版では、先代の公爵=「the previous successor」、事件=incident(イベント・事件)と表現されています。

リーガン家の家系図複雑すぎる問題

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まず十傑のリーガン家の家系図に関して軽くおさらいしておきます。1180年時点においてリーガン家の当主かつ同盟の盟主を務めていたのは老齢のオズワルド公爵、その子供で事件で亡くなった嫡男のゴドフロア以外に、ティアナという一人娘が確認されています。ティアナはクロードの母親で、彼女の配偶者はパルミラ王であるとされています。ティアナがフォドラを去ったのはバルタザールが8歳のとき=1162年頃だと思われます。またオズワルドのさらに祖先には、とある貴族への手紙に登場したクローディア、月の騎士と薔薇公の両者も血統に含まれていると考えられます。

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クロードが持つフォドラの常識にとらわれない気風は、ティアナとパルミラ王の下で"ミックス"として育ったことも大きく影響していると考えられます。個人的にフォドラは三国に分かれた現在でもいまだに人や物の往来が自由に行われているユーロのような集合体で、クロードの言うほど閉鎖的ではないのでは...?とも思うのですが、異なる信仰体系を持つパルミラからすると、同じ宗教を信仰だけでかなり画一的な共同体に見えるのでしょうか。ただ少なくとも人種への理解や文化交流という面で閉鎖的という評価に関しては(他国も同様の状況だとは思いますが)クロードの求めるレベルには達しておらず真っ当かと思われます。

クロードは自身の出自を「分家の生まれだ」とバルタザールには濁していますが、名簿には「母はリーガン公爵の娘」と明記されており、ヒルダとの支援Bでも明かされるなど確定情報となっています。紅花ハンネマンによるとリーガンの紋章持ち自体は他にも存在するようですが、リーガン家が断絶の危機にあったというクロロレ支援、クロードが現れるまで嫡子が発表されていなかったというクロバル支援からも、リーガン家や傍系の分家内で他に正当な(紋章持ちの?)嫡子候補はいなかったものと思われます。

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ちなみにリーガンの名前の由来と思われるリア王にオズワルドという人物は出てきますが、ゴドフロア(Godfrey)やティアナ(Tiana)は該当する人物を見つけられていません。ゴドフロアに関しては十字軍指導者のゴドフロワ・ド・ブイヨンを由来候補としてあげておきます。ティアナはプリンセスを意味する一般的な名前で、有名どころだとプリンセスと魔法のキスのティアナでしょうか。

先代のリーガン公=ゴドフロア or オズワルドの先代?

この現リーガン公オズワルドの嫡男の事故死に対して本編に登場する事件、具体的にはイグナーツ・ラファエル外伝およびクロード・バルタザール支援で語られるのが「先代のリーガン公の事故死」です。

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イグナーツ・ラファエル外伝:外伝「不穏な死の連鎖」内で同盟を商いの場としている商人が、噂話として先代のリーガン公の事故死についての情報を語ります。彼によるとリーガン家に対抗しているグロスタール伯が、美術品の取引を持ちかけて屋敷に招待し、その際に呼ばれた目利きの商人と先代のリーガン公が命を落としたとされます。

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この目利きの商人にあたるのがラファエル両親です。この事故は本来グロスタール家が長年用達にしていたイグナーツの実家ヴィクター商会が同行するはずでしたが、代わりにラファエルの両親が推薦され事故に巻き込まれたという事情が二人の支援で明かされます。このことから、美術品の取引が予定されていたこと自体は間違いないように思われます。

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クロード・バルタザール支援:こちらではクロードの正体を探るバルタザールが「事故で亡くなった先代のリーガン公に、男子がいたという話はなかったはずだ」と話し、先代のリーガン公はクロードの父親でもおかしくない年齢とも示唆されています。男子はいなかったとわざわざ言及するということは女子はいたのかもしれませんね。同時にオズワルドは老公と呼ばれており、クロードと親子と呼ぶには年齢が離れすぎているようで、年齢としては60-70かそれ以上でしょうか。

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まとめると本編の「先代のリーガン公」はクロードの父親くらいの年齢で、ラファエルの両親と同時に魔物に襲われ亡くなり、グロスタール伯が事故の黒幕として疑われていたことになります。そしてこの事件は、ラファエルの名簿から1177年に起きたことがわかります。

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これは報告書の燃えさしにある「ゴドフロアが1176年以降に事故死」し「黒幕はグロスタール伯だと世間では噂されていた」ことと合致します。このことから、本編での先代の公爵はゴドフロアを指すと見るのが、報告書の燃えさしと最も整合性が高いと思われます。ただし、本編と報告書の先代のリーガン公を同一人物とすることも一応不可能ではなさそうです(↓参照)。ともあれその場合であってもゴドフロアの事故死自体はラファエル両親の亡くなる1177年からクロードが嫡子となる79年の間に起きたと考えられ、同様に直近の事件と考えられます。

1. 先代のリーガン公@本編=ゴドフロア:ゴドフロアはリーガン公爵になったが事故死し、彼の死後オズワルドが再び空席の公爵の位についた。報告書が書かれたのはそれ以降のことで、わかりやすさのためにオズワルドを中心として嫡男=ゴドフロア先代の公爵=父や兄などオズワルド以前の公爵(そして時期的には少し前に疑惑の死を迎えている)を指している。ゴドフロア自体は公爵であった時期が短かったために、公爵と表現されなかった背景もあるかもしれない...?
2. 先代のリーガン公@本編=先代のリーガン公@報告書:この場合考えうる時系列は、オズワルドよりも若い公爵が1177年にラファエル両親とともに事故で死ぬオズワルドが公爵に→クロードが嫡子となる1179年より前にゴドフロアが事故で亡くなる。一応ありえなくはないですが、オズワルドよりも若い公爵が亡くなり、その後釜としてゴドフロアでなくオズワルドが公爵を継ぐというのは奇妙です。またリーガン家でここまで立て続けに人が亡くなっているのであれば、本編でも流石に何かしら言及されそうな気がします。

04/23 追記 :クロード・ヒルダの支援Bにおいて"事故で死んだ先代=クロードの叔父"と明言されていました。すなわちゴドフロアが直前に公爵位にあったことは確定と言い切っていいと思われます。このことから、報告書内での"先代の公爵"はゴドフロア・オズワルドとはまた別の人物を指すものであり、ゴドフロアの事故の結果オズワルドが公爵位に戻ったことから(おそらくはわかりやすさの観点から)ゴドフロアは公爵にはならなかったとみなした視点から文章が書かれているようです。

リーガン家と対抗関係にあるグロスタール家

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(ラファエルいいやつ)

次に事件への関与が噂されている、ローレンツの父グロスタール伯に関する情報をまとめます。グロスタール家は十傑の血筋かつ英雄の遺産を保持する名家であり、同盟の五大諸侯の中でもリーガン家に次ぐ発言力を有する家です。伯爵の人柄としては同盟よりも自領の利を一番に追求すると息子に評された通り、開戦の際にも帝国に侵攻されないよう領地に近接する帝国に従属の意思を表明します。一部の後日談では(対メルセデス)ローレンツが連れてきた相手が平民出身であることにはじめ難色を示すなど、貴族の家同士での繋がりを拡大することにも意欲的である様がうかがわれます。

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また伯の個人的なステータスに関して、翠風の章では(貴族の処世術としてではあるかもしれませんが)敬虔なセイロス信徒であるという顔を持つこと、鷲獅子戦の節のローレンツの会話からグロスタール伯自身も若かりし頃に金鹿の学級に在籍し鷲獅子戦で勝利したことが語られます。以前はグロスタール家に伝わる英雄の遺産魔杖テュルソスを用いて戦っていたことから、彼もまたグロスタールの紋章を持つ魔道士ではないかと推測されます。

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本編において登場はしませんが、翠風の章においてネメシスの軍勢が領地を通過した際にはホルストとともに出陣していることが明かされます。しかしその際には手も足も出ず、ヒルダに「戦う前に逃げ出した」と揶揄されるなど人間臭い側面もあるようです。

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さらにレオニーとの支援では、グロスタール領内にあると思しき彼女の出身地サウィン村から要請を受け、密猟者対策でジェラルト傭兵団を派遣するなど、領主として適切な統治を行う実力を兼ね備えた人物の可能性がうかがわれます。

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他方、金を貸し付けているバルタザールや息子のローレンツを利用してクロードの身辺を調査するなど、自領の利益と発言権の増大のため、特にリーガン家に対して様々な後ろ暗い策をめぐらせるような人物であることも示唆されています。

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クロードの調査に関しては、その背景に後ろ暗いものを発見し盟主の資格を持たないことを証明することが一部におけるローレンツの目的であり、それが父の意向に沿ったものであったことも明らかにされています。ラファエルとの支援ではローレンツ自身も盟主となることを目標としており、リーガン家を盟主の座から引きずり下ろし自分たちが盟主になることは、本編開始段階でグロスタール家の共通の目的であったと思われます。

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グロスタール伯と商人襲撃事件

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そんなグロスタール伯による策謀の一つとして噂されているのが、先述のリーガン公事故死事件と、イグナーツ・ラファエル外伝における商人襲撃事件です。両者の共通点はいずれも商人が魔物に襲われたということ、またリーガン家・領に不利に働くような事件であったことが挙げられます。

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ラファエル・イグナーツ外伝においては、グロスタール伯爵領からリーガン公爵領へ向かう商人ばかりが魔物に襲われる事件が起こります。タイトルが「不穏な死の連鎖」であることから、既に死者も出ていると推測しています。彼らの会話から商人が魔物に襲われること自体はそこまで珍しくはないようですが、同じ道であっても特定の方向に向かう場合にのみ襲われることを不審に感じたイグナーツは、何者かが魔物をけしかけている可能性を疑います。

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商人の間ではこの襲撃はグロスタール伯によるものであると噂されており、襲撃によってデアドラへの商人の行き来を阻むことが、客観的に見てもグロスタール伯に利益がある、もしくは伯が対抗するリーガン領に不利益なものだったと考えられます。このような事件があるとグロスタール領からは足が遠のきそうなものですが、紅花EP14でのコニーによる同盟評では「同盟は貴族の集まりといっても足を引っ張り合っているだけ」とあり、自身の不利益以上に相手の不利益を重視しているのかもしれませんね...。

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※注意:解析情報への言及あり!  リーガン領とグロスタール領は未実装の交易のアクティビティの目的地として設定されており、各領の産業に関する説明文が残されていたようです。具体的にはグロスタール領では農耕や牧畜が盛んでその食品加工にも力を入れており、リーガン領は多数の工房による加工業に優れていたとのことです。前者はローレンツ・マリアンヌ後日談の"牛馬の父母"という二つ名にも残されており、後者も紅花の章でのベレト・リシテア後日談で菓子職人としてデアドラに移り住む記述が見られます。各領が異なる産業に特化していたという設定が本編にも残っていたのであれば、危険を犯してでも両者の間を行き来する商人が多かったことも納得です。

同盟将+ダークメイジ+巨狼による商人襲撃

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それでは実際に外伝マップでの商人襲撃の詳細を見ていきます。ラファエル・イグナーツ外伝のマップでは、中央上部に同盟将、周囲に三体のダークメイジ(注:難易度で人数は増減)、そして上下に二体の巨狼が出現します。商人たちはマップ左から右に進んでいるようなので、これがグロスタール領からリーガン領(同盟領内を南西から北東)に進む道中であることを意味するのかもしれません。商人たちは右から来る巨狼に追い立てられますが、同盟兵によって背後の跳ね橋が上げられており逃げ場がないことがわかります。これによりかなりの(プレイヤーへの!)殺意を持って襲撃が行われていると推測しています。

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登場する魔物は闇に蠢くものたちが本編で使役している魔獣ではなく、野生に存在する巨狼です。上記の台詞から、巨狼は何らかの手段で人間によって制御されているように思われますが、帝国軍のように魔物を完全に制御できているかは不明です。マップの形状からすると、おそらくは特定の地形に追い込んで巨狼に商人を攻撃させているのではないかというのが個人的な推測です。

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襲撃の指揮を執っていたのは同盟将であり(グロスタール)伯爵から実際に指示を受けていたことが戦闘会話で示唆されています。このことから魔物による商人襲撃は確かにグロスタール伯による指示だったと個人的には考えています。

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さらに先述の魔物と同盟将に加えて、同盟兵の中には闇魔法を扱うダークメイジが登場します。以前の記事(その1その2)で議論したように、闇魔法は闇に蠢くものたちと深い関連があることが本編を通して示唆されています。そのためこのダークメイジの存在もグロスタール伯と闇に蠢くもの間に、何らかの関係があることを示唆する可能性が考えられます。

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雑記:ダークメイジと闇に蠢く者たちとの関連性

風花雪月において、闇魔法は闇に蠢くものたちが主に使用する魔法で、通常の技能からは習得できません。しかし死神騎士から獲得できる闇魔法試験パスによりフォドラ人にも習得可能で、他にもエーデルガルト・リシテア・ヒューベルト・イエリッツァ・ハピといった、元々闇に蠢くものに関わりのあった人物が闇魔法を習得します。このような闇魔法を扱うダークメイジやダークビショップが登場する外伝などは基本的に以下の三つに分類されることがわかります(参考:こちら)。この分類に該当しないものについては、後ほど言及します。

1. 闇に蠢くもの・帝国軍・西方教会関連:ともに天を戴かず(アッシュ・カトリーヌ)、異境の空と地と(ペトラ・ベル、紅花以外)・呪われし遺産(ユーリス・コニー)、隠された素顔(メルセデス・カスパル)、血の底に広がる闇(ヒューベルト)、他本編ではフォドラ解放軍など。

2. 幻影兵:不朽の守護者(レア)、抹消された英雄(マリアンヌ、ハード以上)、宝杯到達戦(煤闇)

3. 闇に蠢く者の統治下にあった領地:因果応報(フェルディナント・リシテア)、コーデリア&ティモテ騎士団、他本編では公国兵など。

1と2に関してアガルタ兵や幻影兵は、以下のように拡大ビューで肌の色が異なるモデルが使われていることがわかります。一方帝国軍やフリー戦闘に登場するごろつきのダークビショップはベージュの肌の色をしていることから、彼らは闇魔法を習得した現代のフォドラ人、もしくは成り代わられた人物と推測されます。

不穏な死の連鎖で登場するダークメイジの肌の色は残念ながら確認できませんが、他の兵と同じく名称が一般の同盟兵とされていることから、闇魔法を獲得したグロスタール家の同盟兵ではないかというのが個人的推測です。

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ダークメイジはフリー戦闘のごろつきにも登場するなど、闇に蠢くものたちの関与を必ずしも示すものではありませんが、特に外伝においては、意図的に闇魔法の登場条件がコントロールされている可能性があります。例として異境の空と地とではルートごとに敵対相手が変わりますが、セイロス騎士団を相手にする紅花ルートでは闇魔法使いは登場せず、帝国軍が敵となるときのみ闇魔法使いを見ることができます。

そして先ほどの3項目以外で闇魔法使いが登場するのがシルヴァン外伝とイグナーツ・ラファエル外伝ですが、類似するフェリクス外伝のごろつきやローレンツ外伝のアケロンの配下に闇魔法使いは登場していません。これらのことから外伝におけるダークメイジの存在は、アガルタの技術提供や何らかの関与を示唆している可能性があります。もしかすると、マイクラン盗賊団の破裂の槍強奪事件などにも、闇に蠢く者たちが一枚噛んでいた...ということもあるのやもしれません。

2. グロスタール伯は闇に蠢く者だったのか?

以前の記事で議論したように、報告書の燃えさしで言及される事件の多くは闇に蠢く者たちが関与したものであり、ゴドフロア暗殺事件にも彼らの関与が考えられます。それではグロスタール伯自身は本件や闇に蠢く者たちとどこまで関連していたのでしょうか?

まず実際に商人が亡くなっていることや商人の間で噂になり疑われている点からも、事故のきっかけがグロスタール伯による屋敷への招待であったことは、かなり確からしいのではないかと考えています。しかし、グロスタール伯が少なくとも彼らに成り代わられている可能性は低いというのが個人的な見解です。理由としては 1. 紋章持ちである 2. 自領の運営を適切に行なっている 3. 敬虔な信徒である などが挙げられます。以下詳細を述べます。

1. 紋章持ち:先述の通りテュルソスを扱うグロスタール伯は紋章持ちであると推測されますが、本編でアガルタの民たちが成り代わった人物に、紋章を持つ者は存在しません。フォドラにおいては多くの貴族や国のトップは紋章持ちで、彼らに成りかわれたのならば、政変を起こさずとも容易に各国の主導権を握ることができたと思われます。そのため、紋章持ちであるグロスタール伯に成り代わることは、技術的もしくは信条的に難しかったのではないかと考えられます。

2. 自領の運営:本編での成り代わりがほぼ確定しているアランデルとコルネリアは、どちらも自身が占有する領地において苛政をしいていたことが散策会話やフェルディナント・リシテア外伝などで語られています。特に軍資金を得るという目的以上に、土地を荒廃させるほどの苛政をしいたことが明かされています。この理由については、アガルタの民たちが女神の眷属だけでなく地上の人間にも恨みを抱いていることから、地上の人類達に苦しみを与えることも目的であった可能性等が考えられます。ただしこれに関しては、生徒たちから人望のあったトマシュという反例が存在しています。ともあれ、少なくとも自領において真っ当な統治をしているグロスタール伯が、同様に闇に蠢く者たちに成り代わられている可能性は低いのではないでしょうか。

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3. 敬虔な信徒:成り代わり後のアランデル公は、教会への寄進をとりやめ、修道院に赴くこともなくなったことが青獅子ルートで語られます。このことはディミトリに疑惑を抱かせることにつながりましたが、例え外面を装うだけであってもセイロス教への信仰を見せることは、闇に蠢くものたちにとって耐えがたいことである可能性があります。一方のグロスタール伯は敬虔な信徒とされており、彼らの仲間である可能性は客観的に見て低いと推測されます。ただしこれに関しても、ソロンが成り代わっていたトマシュが公式サイトの設定では敬虔な信徒とされており、反例が一応存在するため残念ながら100%ではありません...おのれトマシュ...。

3. グロスタール伯は闇に蠢く者たちと共謀関係にあったのか?

それでは、グロスタール伯が仮に闇に蠢く者に成り代わられていないと仮定した場合、グロスタール伯は彼らと全く関係がないと言えるのでしょうか?ここからは本編以上の情報がないため完全に妄想の域になりますが、外伝におけるダークメイジの存在、他に例のない魔物を利用した襲撃という類似点などから、何らかの取引関係があったのではないかと想像しています。つまり闇に蠢く者たちは、グロスタール伯に闇の技術を与える一方で様々な情報を獲得し、それをもとにグロスタール伯が黒幕と疑われるよう、工作を働いたのではないかというものです。

以下闇に蠢く者たちとの取引関係があったと仮定した上で、私が想像する金鹿の学級の雰囲気が最良・最悪となるケースになります。キラキラ金鹿とギスギス金鹿、お好きな方でご想像いただければと思います(´ω`)← 個人的にはおそらく計画自体には加担しているとした方がストーリーの収まり的には良いような気もしています。メインの生徒の親の設定としてはかなりハードな気はしますが、エーギル公の所業を考えると十分ありうる範囲内ではないかと思います。

雰囲気最良パターン:グロスタール伯は襲撃に関して白

グロスタール伯は襲撃の計画はしておらず、帝国やアガルタから闇魔法や魔物に関する知識や技術を供与され、外伝のような嫌がらせに利用していたという説です。グロスタール伯が露骨と言われるほど疑われた理由として、単にグロスタール家に向かう公務の最中に亡くなっただけなのは考えづらく、+αの工作があったことが予想されます。おそらく闇に蠢く者たちは魔物などの情報をエサにグロスタール家に取り入り、内部情報を利用して伯により強い疑いをかけさせたと思われます。例えばリーガン公が招待されたタイミングで、伯の利用していた魔物や襲撃場所などを利用してリーガン公を襲撃し、伯に疑惑の目を向けさせたといったことが例として考えられます。

これを補強する情報として、グロスタール伯は本編で他の同盟領主に対し直接的な行動に出る様子は見られませんでした。例えば対抗関係にあるリーガン家のクロードに関しては情報を探るのみで、6年間の間に暗殺などを試みた様子はありませんでした。ローレンツ外伝で小領主にすぎないアケロンがグロスタール領に直接危害を及ぼした際も、彼の広い人脈から「下手に潰せばまた要らぬ紛争を生む」としてかなり慎重な対応をとっています。このような人物が、対抗関係にあるとは言え公爵(もしくはその嫡男)の暗殺を安易に試みることは考えづらくあります。同盟の貴族同士は基本的には足の引っ張り合いが中心とも言われるため、魔物による一家襲撃もグロスタール伯による計画ではなかったというのが仮説1です。この仮説が正しかった場合、実行犯はクロニエのような闇に蠢く者たちの下っ端、メトジェイのように雇われたごろつき、もしくは偽の情報を与えられたグロスタール伯の配下本人などが候補に挙げられます。

雰囲気最悪パターン:グロスタール伯(+イグナーツ両親)ともに黒

逆にこちらのケースは、グロスタール伯は闇に蠢く者たちにより唆されるなどした結果本当に襲撃を計画していたが、彼らの謀略で伯の計画がぶち壊されたというものです。この説は本編で闇に蠢くものたちから技術供与を受けていた西方教会のパターンに該当します。彼らはダスカーの悲劇などを経て大司教を背信者と捉えるようになり、大司教襲撃を計画していましたが、闇に蠢く者たちに逆に利用され襲撃の黒幕として処断されることとなりました。このとき闇に蠢く者たちは(期待はしていませんでしたが)大司教暗殺計画とそれを利用した聖廟襲撃の両者が成功すれば御の字、と考えていた様子がEP4の会話からうかがわれます。

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闇に蠢くものたち(特に幹部)は、聖墓襲撃をネメシスたち、ダスカーの悲劇をクレイマンや西部諸侯、パトリシアなどのフォドラ人に遂行させており、この過去の傾向からすると彼らが直接手を下すことはほとんどないと考えられます。よって、ゴドフロア一家の襲撃も闇に蠢く者たちにより唆された、グロスタール伯自身の計画だったというケースが仮説2です。イグナーツ両親が事故に遭ったラファエル一家に何の保証もしていないことから邪推すると、自身が用達にしている商人(ヴィクター商会)には計画を事前に知らせ、商売敵を推薦させたという可能性も考えられます。

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先述のようにグロスタール伯は要らぬ紛争を危惧している慎重な性格と考えられ、自身が不利な事態に陥いるような計画に乗ることはなかったであろうと想像されます。本編ではロナート卿も本来無謀な叛乱を仕掛ける愚か者ではないとEP3でのディミトリの散策会話で語られており、叛乱を決意させた協力者がいたのではないかと推測されていました。すなわち本編での大司教襲撃のように、闇に蠢く者たちの策略で綿密な計画を潰され、犯人がわからない周到な襲撃の計画に反し、多くの証拠が残される露骨な暗殺になってしまったという流れがあったのではないかと想像しています。

闇に蠢く者たちに関する興味深い点として、彼らが本編の戦闘で人間由来の魔獣や翼魔獣ではなく、動物由来の巨狼などの魔物を使役した例は見つけられていません。ダスカーの悲劇と同年、公爵襲撃前年の1176年には、実験により魔獣を呼び寄せる力を引き出されているハピが、コルネリアの支配下から解放されています(リシテアしかり、被験体を生かしたままにするのにも何か理由があるんでしょうか)。個人的にこのタイミングでの解放は彼らがハピの獲得した魔物の転移能力に手を焼いたからではないかなぁと想像しています。人間を元とする魔獣の操作と比べて、動物由来の魔物の操作は難しかったのかもしれませんね(魔獣であってもヒューベルト外伝では暴走していました)。そのような理由もあり、本編では紋章石による魔獣化に作戦をスイッチしたのかもしれません。もしそのような未完成で危険な技術をアガルタから授けられたとするならば、グロスタール伯と闇に蠢くものとの繋がりはそこまで深くないようにも思われます。※敵のステータスとして魔物の定義中に魔獣が含まれるため、ゴドフロアの襲撃が魔獣でなかったかは断言できません。 

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4. 報告書の燃えさしに見るアガルタの民の黒い野望

以上が4Pに渡る報告書の燃えさしのまとめでした。長かった...!改めて概要をまとめますと、王国分裂、同盟分裂、そして王国・同盟のトップ暗殺の偽装疑惑の四点が含まれ、闇に蠢く何者かがフォドラやセイロス聖教会に対して争いの種を蒔いていたのではというものでした。もしこれらの過去の事件が闇に蠢く者たちの陰謀によるものという推測が正しかった場合、彼らはずっと以前から教会(女神の眷属陣営)と関係を密にする国を分割させ、教会と反目する国の領土を増やすという作業を繰り返していたと考えられます。

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報告書の内容が本当にすべてアガルタの民によるものかは議論の余地が多分に残されていますが、以前の記事で述べたように闇に蠢く者の関与が半分の事件で明確に示唆されている(王国分裂=闇に蠢くという記述、西方教会の離反)ことから、その可能性はかなり高いと思われます。少なくとも教会関係者(騎士団暗部?)の手で書かれた報告書内で真相がわかっていない様子から察すると、本編ではセイロス聖教会により引き起こされたと帝国が主張していた王国や同盟の分裂は教会全体が関与したものではないと考えられます。それに加えてセイロスが歴史に干渉する理由が、戦乱を小さくし調和を保ちやすくするためとニンドリで明らかにされていることからも、セイロス聖教会のトップがこれらの事件を引き起こしたとも考えづらいと思われます(これに関してはまた後編で議論する予定です)。

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そのため、このような不穏な事態に対しては、女神の眷属たちもただ手をこまねいていた訳ではなかったようです。まず中央教会は効率良くフォドラ全土への布教を行うため、王国に西方教会、同盟に東方教会、そして帝国に南方教会と三つの支部教会を建設しました。時期は不明ですが、わざわざ三国に設置されていることからも、領土分割後に影響力の低下を防ぐため作られたのかもしれません。しかし120年前に帝国内で起きた内乱に司教が関与したとされ、南方教会は取り潰しの憂き目に合うこととなりました。このことは帝国と中央教会の間に緊張状態をもたらすとともに、民衆に対するセイロス教への不信感を招き、結果的に本編での開戦により有利にはたらいたと言われています。本編ではそれに加えて西方教会も闇に蠢く者たちの関与により中央協会に反旗を翻しており、残る東方教会が騎士団を持たない権力の弱い団体である(アロイス・シャミア外伝)ことを鑑みると、風花雪月本編ではセイロス聖教会が持つフォドラ全土への影響が最も弱まった状態であったと考えられます。

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120年前といえば三国が一丸となりフォドラの首飾りが建造された1101年の40年ほど前で、今の皇帝の曽々祖父くらいの代でしょうか。南方教会の事件は本編のさらに過去の事件であるため経緯について示唆がありませんが、内乱により権力を取り上げられた家の懐に潜り込むというやり口は、フリュムの乱のフリュム家・コーデリア家、七貴族の変後のフレスベルグ家の状況にも類似しています。ともすると南方教会の内乱も、闇に蠢く者たちの謀略の結果だったのかもしれません。

さらにセイロス聖教会はパルミラなどの外敵の脅威に備えるため、約200年前に士官学校を併設し国家の枠にとらわれず優秀な者を育てることを目標としました。これにより、ランベールやイオニアスなどをはじめとして、各国の統治者や貴族の子供たちは基本的に教会の管轄下で学ぶこととなり、教会の権威の維持にも役立っていたと推察されます。しかし闇に蠢く者たちはこの機会を逆に利用し、帝国の皇家で久々に入学したエーデルガルト、フリュム家の推薦により武術師範としてイエリッツァ、コーデリア家の推薦により書庫番をしていたトマシュ、オックス男爵の娘であったモニカと、自分たちの仲間を大量に教会へ送り込むことに成功しました。これにより様々な物資(フレンの血、紋章石、英雄の遺産)の略奪や、実験への利用(生徒の魔獣化)、有用な人材の殺害(ジェラルト)などでセイロス騎士団の戦力の低下と自身の軍備の強化を実現するなど、まさに幾千年の争いに終止符を打つのにまたとない好機だったと考えられます。

5. フォドラ崩壊へのカウントダウン

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(とても澄んだ目をしている...)

最後に報告書の燃えさしに記載された事件、及び本編で闇に蠢く者たちの関与が示唆された事件を以下にまとめておきます。帝国による開戦が予定されていた1180年に向けて彼らの計画は活発化しており、本編ではアガルタの民とナバテアの民の間の永きに渡る因縁の、まさに最終段階に到達していたといっても過言ではなかったのかもしれません。

・帝国成立前:政争 ネメシスによる聖墓・ザナド・ナバテアの民襲撃
・ ???年:武力行使 セテスが去った後に大修道院に向けて光の杭が発射されるが、神祖の加護により反射されアリルに落ちる。以降本編開始まで大修道院が武力攻撃されたことはない(争覇の幕開けのエーデルガルト談)
・ 747年:報告書 ファーガスの乱
・ 861年:報告書 王国分裂→ 881年 三日月戦争
1060年:政争 南方教会の内乱)
・1167年:政争+実験 フリュムの乱、コーデリア家が帝国の介入を受けリシテアが二重紋章の実験対象となる。
・1168年:入れ替わり+実験 ハピがコルネリアに捕まる。1164年からここまでの間にコルネリアと入れ替わり。帝国を追われたアンゼルマも、どこかの段階で王国へ迎え入れる。
1171年:政争 七貴族の変。アランデル公が主犯と目されている。対帝国トップ)
・1172年:入れ替わり トマシュがコーデリア家に戻り、79年に修道院に戻るまでの間に入れ替わり。
・1174年:入れ替わり+実験 アランデル公の寄進が途絶える、エーデルガルト亡命を終え帝国に戻る。
・1176年:報告書 ダスカーの悲劇(対王国トップ)、及びクリストフが加担した大司教暗殺計画
・1177-9年:報告書 先代公爵?のゴドフロアが公務中に事故死(対同盟トップ)
・1179年:入れ替わり モニカが実家へ戻る途中に失踪
・1180年:本編 西方教会の大司教暗殺計画、聖廟・聖墓襲撃、フレン誘拐、魔獣化実験など

参考リンク:周辺情報に関してはこちらもどうぞ(公開範囲変更済み)

おわりに

本記事では報告書の燃えさしの内容、及びそこから示唆される闇に蠢く者たちにより引き起こされた、様々な謀略の歴史についてまとめました。本編ではザラスの禁呪や光の杭など、割と計画にガバが散見される闇に蠢く者たちですが、長い歴史の中でここまで正体をつかませず慎重に事を運んできたことは、ある意味賞賛に値するのではないでしょうか。続く後編ではこれらの背景を元に、彼らのフォドラ統一の先にある狙いと、それに協力したエーデルガルトの目論見について議論していきたいと思います。

→後編は後日UP予定です(がんばって書いてます)

報告書の燃えさしに関する過去記事



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