見出し画像

ファイアーエムブレム風花雪月プレイ&考察まとめ15-ザラスの禁呪とアガルタの渇望する「光」の謎

3秒ルールは科学的にも検証がなされていますが、床はそもそも汚いものです。くれぐれもお気をつけください!!!

ご無沙汰しております、けろりです。本記事では「4周したけど結局わからない、ザラスの禁呪って何?」という疑問と、闇に蠢くものたちの持つ技術とソティスの関係について考察していきたいと思います。特にアガルタの民の技術に関する部分に関しては妄想が盛りだくさんですので、ご注意ください。

色々な方にご訪問いただき、各記事のハートも大変励みになっております、これからも少しずつ更新していきたいと思います。日本は台風で大変な被害が出ているところもあるそうですが、皆さま夏の終わりをどうぞお気をつけてお過ごしください。(最終追記 0614 闇魔法の魔法陣に関して追記)


※DLC含めた全ルートに関連する盛大なネタバレ祭りです!


●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●


●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●


●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●


ザラスの禁呪とは

白雲の章・女神の行方において、封じられた森でクロニエたちと戦ったベレトスは森の奥へと誘い込まれ、そこに現れたソロンにより闇の空間に囚われてしまいました。その際に発動されたのがザラスの禁呪、英語ではthe Forbidden Spell of Zahras(禁じられたザラスの呪文)です。

画像14

この闇は呑まれた人間を未来永劫闇の中に閉じ込め、女神でもなければ現世に戻ることはできなくなる術であり、ある意味空間転移に近い術であると考えられます。ただし禁じられた呪文と言われるように後述のような何らかの生贄が必要とされ、簡単に使えるような術ではないと考えられます。また発動後にエーデルガルトとディミトリの言及にあるように、何らかの魔導に基づく力である可能性が高いと考えられます(紅花最終章のレアの咆哮に対するリンハルトの反応などを見るに魔導の気配は感知できるもののようです)。

画像39

これに関連して闇に蠢くものたち陣営が頻繁に使う転移魔法ですが、本編で登場するワープ・レスキューはともに白魔法にあたり、彼らの使う魔導とは別物であると考えられます(そうでなかったら本編で使わせてください、ヒューベルトはなぜ同陣営になるとメテオも置いてきてしまうんですか涙)。実際に転移する際に現れる光の色は闇魔法と同じピンクがかった色をしており、何らかの闇魔法によるものではないかと考えられます。ヒューベルト自身ワープ・レスキューを使えませんので、より限られた能力(例えば特定の場所にしか移動できないような能力)かもしれません。またこのワープを見せた人物と同時に移動した人物(炎帝、死神騎士、トマシュ、ソロン、クロニエなど)が全員闇に蠢くものか闇魔法を使える人物であることから、闇魔法との親和性もその転移能力と関係しているかもしれません。

画像5

ザラスの禁呪発動に必要なもの

禁呪が発動されると、封じられた森の祭壇の四隅から紫色の魔導の力が溢れ出します。クロニエがわざわざ封じられた森にベレトスを誘いこんだことから、この場所自体も儀式に必要なものであった可能性があります。特に封じられた森はゴーレムの残骸や崖下に炎の紋章が存在し、ずっと以前に女神の眷属たちとの戦いの際にこの場所で同様の術が使われたのかもしれません。

発動前ムービー:崖下広場の中心に円のような模様も描かれており、古の魔法陣のようなものの可能性あり。この広場の奥の崖には炎の紋章あり。

画像30

画像46

発動中:紫のもやが先生の体にまとわりつき、動きを封じます。マイクランが魔獣化したときの状況にも似ていますが、あのときのようになんらかの実体が伴ったものではないように見えます。

画像35

発動後:紫のもやに完全に包まれ、ベレトスは忽然と姿を消します。

画像36

発動後戦闘マップ:広場のさらに奥、ソロン周囲の四隅に炎が点灯します。こちらは崖の上。

画像41

次に発動のためのプロセスでは、まずソロンがクロニエの体内に腕を突っ込み、そこから取り出された人工紋章石のようなものを掲げ粉々に砕きます。紫のもやがこの石から急激に溢れ出ることからも、この石自体がザラスの禁呪発動のための魔導の力の源である可能性があります。

1. ソロンがクロニエの心臓部をえぐります。このときソロンは石の床の外側の巻き込まれないであろう位置にいます。

画像40

2. 四隅から紫のもやが溢れたあと、クロニエの体内からも同様のもやが出現します。

3. クロニエの体内から丸い何かを引きずり出したあとそれを砕くと、紫のもやが一気に溢れ出し石の床部分全体を包み込みます。

画像32

画像31

この人工紋章石のようなものに関してはこちらの記事でも議論しましたが、クロニエはタレスやソロンたちと同様の身体的な構造を持っていると言われており、この謎の石は彼らが今の姿で地上で活動するために必須の要素である可能性があります。

またこのときのソロンのセリフ「その顎を開くが良い」は単純に闇の入り口を開くという意味と考えられますが、それだけでなくこの闇自体が邪竜など何らかの生き物に由来する物理的な「顎」を開くことにも対応しているのかもしれません。後述しますがソティス自身、この闇の存在を知っているような話し方をすることを考慮すると、個人的に現在最も可能性が高いのは、ザラスの禁呪は過去ソティスがこの場所で炎の紋章を用いて封印した邪竜の中の闇の空間を開く呪文であると推測しています(ただしこれを示す十分な手がかりはないため以降特に議論はしません)。

神祖の力によるザラスの闇からの脱出

さて、このような段階を踏んで発動されたザラスの禁呪から脱出するために、ソティスはその身の持つ神祖としての力をベレトスに授けます。その結果髪と瞳の色がナバテアの民のような緑色に変化し、さらに天帝の剣が天帝の覇剣に変化、発動する戦技も「破天」から「覇天」に変化します。

画像33

そして最終的に天帝の覇剣に宿ったこの力を用いて空間を切り裂き、ザラスの闇から脱出することが可能になります。このあたりはストーリー上の都合もあると思いますが、天刻の拍動と異なり天帝の剣という物理的な物体に干渉する必要があるために、体を持たない状態のソティスでは力の発揮ができなかったと個人的に解釈しています。

画像34

このように神祖ソティスは、時間を巻き戻す天刻の拍動、そして空間に干渉し切り裂くことのできる天帝の覇剣の能力、この二つの力に代表される物理学で言うところの時空間の対称性を破る力を持つことが窺えます。そういえばアビスの魔道士による星読みではベレトスは5年前の段階で墜落死するはずという話でしたが、その運命をねじ曲げたのもソティスが時空間に干渉する何らかの力を行使したのかもしれません。

またこの脱出のムービーで赤く見える光はまるで赤い星の輝きのように見え、古来火星のような赤い星の動きが不吉の前兆と捉えられたように、このような赤い光を背後に登場する姿はアガルタの民たちが呼ぶまさに凶星そのものです(紋章石が力を発揮するときの輝きも皆赤色です)。ただし本編中でソロンが主人公を凶星と呼ぶ初出は炎と闇の蠢動のソロンの戦闘セリフ(他には女神の行方)なので、この呼び名自体はここで赤い光を放つよりも前に天帝の剣を扱う得体の知れない先生に対してつけられたものと考えられます。タレスのシャンバラでのセリフでは「凶星、いやソティスの現身よ」と言い換えがあるため、おそらく凶星はソティスではなく味方になるかどうか不明だった状態の先生を指す言葉であり、その後緑の髪と目になったことでアガルタの民から正式に(?)ソティスの現し身だと認識されたのではないかと考えられます。(というかタレスはソティスの名を知っているんですね...)

ソティスは名前の由来と「シリウスを見上げて」という神祖ソティス関連で流れるBGMの曲名、またFEHでの奥義「天狼」からもシリウスがモチーフと考えられています。シリウスはもともとシリウスAと現在は小さくなってしまった赤いシリウスBの二つをさす天体であり、以前は赤く見えていたという説もあるそうです。英語コミュニティではこの二つの星をソティスとベレトスに重ね合わせる考察も見かけました。このように、ザラスの闇の脱出の際に放つ赤い輝き自体がシリウス、そして凶星のメタファーとして用いられているのかもしれません。

参考:赤い星と凶星との関連に関する考察ブログ様

みなさまご存知かと思われますがこちらもぜひご参考にどうぞ。

ソティスはザラスの禁呪のことを知っていた?

次にザラスの闇の脱出の際のソティスとベレトスのやりとりに注目すると、以下のようにあちこちでソティス自身がこの闇を元々知っているような口ぶりで話します。そして先生が脱出した直後に「凶星は闇をも喰らうか」というソロンのセリフがあり、ソロンは少なくとも「凶星」そして先生が脱出できるとは夢にも思わなかったからこそ禁呪を発動したはずです。先述の通り、凶星=先生なのであれば過去に女神がこの術を脱出した可能性も存在するとは思われますが、その場合女神や眷属の力を継承している可能性の高い先生にこの禁呪を試すのは少々危険性が高すぎる気もします。ともあれ、少なくとも女神の真の力を引き出し脱出できるとまでは彼らも思っていなかったのだと考えられます。

以下対ソティス一問一答

・「この闇は恐ろしいものなんじゃぞ」明らかに術の名前の情報か実際に取り込まれたことにより、この闇がどのようなものなのかその恐ろしさ、そして自分たちが置かれている状況を正しく認識しているように聞こえます。

・「わしはお主とともにあればこそこうしてここにおるが」この文章はかなり意図が曖昧で、特に「ここ」は二人が会話をする聖墓の空間、もしくは闇の中のどちらを指すともとれるかと思います。私の全力の国語能力で推測しますと、「ベレトスの体内にいるために消えずに心の中の空間である聖墓に存在できているが、単独でソティスの心のみが取り込まれてしまった場合にはすぐに消滅してしまうような危険な空間である」という意味ではないかと推測します。

・↓現世とは異なる別の空間のようであり、この空間を作ったものも女神に匹敵するような強い力を持った存在である可能性があります。そもそもこの空間に移動させるために生贄を用いていることから、ここから出るにもそれ相応の強いエネルギーが必要となると考えられます。

画像37

・↓「身も心も、段々と凍てついてくる」というのもまた少し不思議な表現です。フォドラの物理法則がどうなっているかわからないので引き合いに出してよいかわかりませんが、例えばブラックホールは周囲の物体とそのエネルギーを飲み込みますが、実は太陽と同様に内部は1000万度ほどの熱さを持つことが知られています。そのためこのように温度が下がっていく・活動が低下していく闇は、どこかでそれに対応するエネルギーが使われているはずで、例えばザラスの闇から得られたエネルギーがシャンバラの維持などに使われているなんて可能性もある...のでしょうか...?Σ(゚д゚lll)

画像38

・「恒久の闇より出る術は一つ」そして闇から出るための方法をソティス自身が知っているという点も、彼女が生前にこの闇のことを知っていたことを示唆する大きな要素になります。もちろん自分が持っていた空間を裂く能力などに関しては、既に記憶を取り戻し認識しているのだと考えられますが、ここまで断言しているということは、ある程度この闇と関連があった可能性は高いのではないでしょうか。

余談になりますがこの会話の際に「死して再び舞い戻ってしもうた」というセリフがあることから、暗にソティス自身は実はこのような復活を望んでいなかったことが窺えます。そのためレアの無謀な実験は、彼女の意思とは反するものであった可能性がここで仄めかされています。

ザラス(Zahras)の名前のモチーフ

このようにソティスとただならぬ因縁が示唆されているザラスの禁呪ですが、このザラスの禁呪とは果たしてどのような背景を持つ技術なのでしょうか?

その謎に迫るためにその名前ザラスの由来について考えたいと思います。「Zahras」もしくは「Zahra」に関連する単語で、最も関連性の高いと思われるものが、ペルシャ語・アラビア語における・輝きなどを意味する単語Zahrāです。アガルタの民たちは本編中で何度も光に関して言及をします(例:蒼月デアドラ「光よ...」、兵器光の杭 or 柱、シャンバラでの対眷属での戦闘セリフ「光を奪った」など)。そして以前世界破滅伝奇に関する考察をした際にも、「聖なる太陽」という記述が英語版に含まれており、アガルタの民たちが生前太陽や光を信仰する民であった可能性について議論しました。アラビア語などでは一般に複数形でsをつけることはないと思いますが、このsがzahraを何かしら修飾するための語であったならば、光を示すZahraである可能性は十分考えられます。そして闇に閉じ込める術がザラスでは禁じられている呪文であるということからも、「ザラス」自体は光を主体とするものと考えるのが自然なのではないでしょうか。

画像8

ここからはだいぶ妄想になりますが、このザラス自体アガルタの民たちの信仰の可能性があるのではないか(つまりザラス教のようなもの)と推測しています。というのも、アガルタの民が崇めていたものが太陽や光であったからこそ、地下都市で暮らさざるを得なくなったことで、より深い恨みを抱いていると考えると彼らの行動原理がより明確に理解できるからです。何千年と女神の眷属たちを恨み続け、地下都市を崩壊させ自分たちが死ぬことになってでも偽りの女神を打ち倒そうとしたのは、命よりも重い信仰などに由来する可能性があります。リシテアが血の実験について語る際にも「儀式」という表現をするように、アガルタの民が共通の信仰をもとに動いているというのはかなり尤もらしい仮説なのではないかと考えています。

そしてこの説に関連して、もう一つZahrasの由来候補となりうるのが、アガルタ幹部たちの名前の由来ギリシャの七賢人たちも大いに影響を受けたと言われるゾロアスター教の始祖ザラスシュトラ(Zaraθuštra)です。人によってはツァラトゥストラの名前の方が馴染みがあるかもしれません。こちらは音は似ていますが綴りの一致度が少し低く、「光」説よりは可能性が少し薄く感じています。しかしゾロアスター教の信仰対象が太陽神かつ最高神であるアフラ=マズダー(かつ火も象徴とされる)という唯一神であり、世界の歴史が光の善神スプンタ=マンユと闇の悪神アンリ=マンユの二陣営の対立であるということが、彼らに深く関連する光と闇が同時に存在することとも一致しています。発祥自体もイランやペルシャ周辺であり、光を意味する方のZahraの語源とも強い関係を持っています。またそれ以外でも、ゾロアスター教はギリシャにマギと呼ばれる星見をする神官、そして彼らの行う儀式やまじないを伝えていることから、彼らの直接の信仰ではなくとも術自体を伝えたモチーフの可能性もあるのではないかと考えられます。

以上をまとめますと、もしこれらのどれかがザラスの名の由来だった場合、ザラス自体は少なくとも光を主体とするものであり、その技術の中で禁止された反作用的な闇の技術がザラスの禁呪であると考えられます。

↓例えばこの部分はエーデルガルトの炎の紋章を指していますが、彼ら自身が炎を神聖なものとして捉えている可能性もありそうです。

画像4

アガルタの技術(1) 闇魔法と光の杭は神祖から授けられた科学技術のメタファー?

以前の記事で触れたように、ソティスは地上に降り立ったあと眷属たちとともにその技術を人間たちに伝え発展させたとされます。しかしその後絶えず争いを続けた人間たちに対して、ソティスたちは再び立ち上がり地上を絶望の水で満たし壊滅させます。ところが洪水のあとも最終的に人間たちは生き残っており、その後の世界では眷属たちと共存しながら現在のフォドラまで発展を続けてきました。もし人類による発展しすぎた科学技術が争いを引き起こすというのであれば、なぜソティスはアガルタの民たちのみを滅ぼし、その後の人間の繁栄は許したのでしょうか。

フォドラの民とアガルタの民たちを比較すると、アガルタだけが持つ独自性として、闇魔法の使い手である点があげられます。登場キャラクターが闇魔法を使えるかどうかは闇に蠢くものたちと関連があることと直結し、幹部はさらにアガルタの術という共通のスキルも持っています(そういえば闇魔法に付属するΓやΔなどはギリシャ文字なので、アガルタのモチーフがギリシャ関連であることとも一致しますね)。一方、外伝「不朽の守護者」においては、ソティスが作り上げたはずの聖墓の守りにゴーレムと共に闇魔法を使う幻影兵が出現します。このことから、実は闇魔法自体が初期ソティスによってアガルタの民たちに伝えられた能力なのではないかという仮説が立てられます。

画像29

闇魔法は風・氷・炎・雷といった自然の力を応用する黒魔法と違い、基本的に戦闘のための魔法です。そして闇「魔法」とはされてはいますが、その魔法陣には様々な数式が描かれており、これらはソティスにもたらされた尋常ならざる科学技術のメタファーのような存在ともとらえることができそうです(これ読み取れそうなのでいつか頑張って解読してみたいですね)。

画像47

06/14 追記

そして闇魔法以外にアガルタの民たちが用いる軍事技術といえば光の杭・柱ですが、翠風・銀雪で光の杭の発射の際に発せられた魔導を検知してヒューベルトがシャンバラの位置を特定したことから、この武器も魔導の力に由来することが示唆されており、光の杭も実は闇魔法の力に依存した兵器である可能性があります。

光の杭は魔導の力により信号を送ると上空からミサイルのようなものを特定の場所に落とすことのできる技術で、世界破滅伝奇や紅花ヒューベルトからは光の柱、翠風や銀雪においては光の杭と呼ばれています。これらの武器は世界破滅伝奇においては女神と思われる異形の巨躯に対しては効果がなく、また女神の加護によって守られるガルグ=マクや聖墓を攻撃した場合には弾かれてしまうことが本編中で触れられていました。このことから女神が持つ真の力よりは劣る技術であったと考えられます。

画像6

そして本編中では紅花・翠風・銀雪で発動され要塞を破壊しましたが、タレス本人が死んでしまった蒼月ではこれが発動されることはありませんでした。タレスはアガルタの民の最高指導者であるとともに、本編中で唯一最上級魔法であるメガクエイクΣを扱うことができる闇魔法の使い手です(次に上級の魔法ボーアχは蒼月ミュソンとフォドラ解放戦のモブグレモリィが使います)。また光の届かぬ都ではタレス自ら地面に手をあて光の杭を発動する瞬間がムービーに映ります。これらの事実をつなぎ合わせると、光の杭の発動にも実は高い闇魔法の技術が必要とされており、タレス以外でこれを扱える人材はおそらくそうそういないのではないかと推測されます。

画像28

ちなみにタレスの兵種アガスティアは、インド神話に登場する聖仙です。その他の幹部に関してはグレモリィやダークビショップなど、一般的な兵種が適用されています。闇に蠢くものたちに関しては、アガルタがアジアにあるとされる都市、幹部の名前がギリシャの七賢人由来とモチーフが混在していますが、ベレトスの最上級職もインド哲学に由来するニルヴァーナなので、兵種はインド縛りなのでしょうか。

さてこのように戦闘に特化した闇魔法の力をソティスが与えた・もしくは女神の技術が元になって開発されたことにより争いが絶えなくなったのであれば、地上の闇魔法技術を一度殲滅し、闇魔法を使わない人間のみでの社会を構築させたかったというのがありうる選択ではないかと思われます。実際現在のフォドラの多くの人間は闇魔法を使わず、大規模な戦闘による死者の数も大幅に減少しているのではないでしょうか。ただし、シルヴァン外伝やラファエル・イグナーツ外伝など闇に蠢くものたちの関連が薄い(ただしないとは言えない)戦闘でもダークメイジ自体は出現することがあるため、聖墓外伝での登場も単純な難易度調節の可能性もあり、闇魔法がソティス由来どうかについては今のところ十分な証拠はなく仮説段階です。しかし、少なくとも現在のフォドラではほとんどの者は扱うことができず、ルミール村のマヌエラ先生が言及するように人を狂わせることのできる「悪い力」として、認識されていることは間違いありません。

また書庫で読むことができるセイロスの書において、女神が人に与えたのは「魔の恵み」「魔道」であり、この力が邪を呼び寄せるとも書かれています。現在のフォドラでは白魔法も黒魔法も禁止されておらず、大司教であるレア自身が高い技能を示します。このことからも、「邪を呼び寄せる魔道の力」が女神から与えられた魔の恵みに基づく闇魔法だった可能性があるのではないかと推測しています。

画像51

この光の杭の名称に関連して、翠風の章のフォドラ解放戦で現れる十傑の軍勢はインドラの矢や模造武器などの主にアガルタの民の高度な技術に基づく武器を用いますが、その中でもラミーヌたち魔道士は主に闇魔法ではなく白魔法アプラクサスを用いて攻撃してきます。このアプラクサスの説明文は「対象を滅ぼす天からの光」というまるで光の杭の説明と見紛うものです。さらに光の届かぬ都でピッタコスにもアプラクサスは装備されており、闇に蠢くものたちもこの魔法技術自体は持っていたと考えられ、十傑の軍もアガルタからこの魔法を伝授された可能性があります。個人的に光の杭は特に光っているイメージもないため不思議な名付けだと思っていましたが、アガルタの民の世界で元々アプラクサスのように天から光が降る魔法が広く用いられておりそれにちなんで名前がつけられたというのは自然かもしれません(世界破滅伝奇以外では現代のフォドラ人による命名ですが)。すなわち女神信仰に由来する白魔法の技術をもとに、科学技術のモチーフである闇魔法を組み合わせることで光の杭という絶大な破壊力を手に入れたのではないかというものです。

ちなみにフォドラ解放戦ではカロンがデスΓを、また難易度ルナティックではさらにグレモリィがダークスパイクとボーアを覚えており少なくとも十傑軍にも闇魔法使いは存在しています。しかし十傑たち自身は濃い女神の眷属の血を宿しているため白魔法の方がより強い能力を発揮することができ、結果闇魔法はあまり使われなかったのかもしれません。アプラクサスとは元々人間を天国に連れていく存在であり、その存在の詳細は明らかではありませんが初出はソティスの由来と同じエジプト神話であり、ギリシャのパピルスにも登場するとのことで、エジプト由来の女神の信仰と関連する白魔法であることとも一致しているようです。

画像2

画像3

アガルタの技術(2) 紋章石と類似する砕かれた石

次に、ヒューベルトとの支援会話において、アランデル公には表と裏の二つの意志が存在しているように感じたという話があります。これは、ベレトスとソティスが別々の意識として会話をすることができた現象とも類似しています。仮にこのヒューベルトの話が正しかった場合、アランデル公にはもともと存在した人格に加えてタレスの人格が追加されたと考えられ、その場合各人に埋め込まれ、ザラスの禁呪でも利用された石がタレスの人格の植え付けに重要な役割を果たしたという可能性が考えられます。

画像12

世界破滅伝奇によるとアガルタの民たちは地上を満たした「絶望の水」から逃れるため、地下都市シャンバラで暮らすこととなりました。しかし彼らと対立していた女神の眷属たちは彼らの所在に関しては把握しておらずこっそりと地上のどこかに拠点を構えることもできたはずです。それにも関わらず後述のように「光を奪い恒久の呪いをもたらした」と恨みを持ち続けながら地下都市で暮らし続けているのは、一体なぜなのでしょうか

これに関して一つ考えられる説として、地上の大規模な環境の変化により、以前の人類には適応できない自然環境になってしまったと考えるとシンプルに説明できるのではないかと妄想しています。アガルタの民たちは白い皮膚や白い髪といった、地上の人間たちとは大きく異なる真の姿を持っています。またフォドラ解放戦では死者の軍勢たちが、ネメシスが倒されることによって魔力を失い太陽の下で崩れ去っていく様子が見られます。アガルタの民たちもおそらくそれ以前とは地上の環境が異なってしまったために、そのままの体では太陽のもとでは生きられない体になってしまったのではないでしょうか。水が引くまで地下で暮らすうちに光への耐性が退化してしまったということもあるかもしれません。そこで地上の人間の肉体に自分たちの精神を埋め込むことで地上でも活動できる肉体と長い寿命を手に入れた、というのが個人的仮説です。さらにこの加工自体にも魔力の結晶など何らかのリソースが必要であるため、幹部などの一部の人間だけが地上の人間の肉体を獲得することができているのかもしれません。

画像11

イメージ的にわかりやすい例として、恐竜の絶滅がどうして起きたかという仮説で、隕石衝突による気温の変化やオゾン層の減少による紫外線の増加などの大規模な変動により環境に適応できなくなったのではないかといった説が存在します。アガルタの民が極端に紫外線に弱いにも関わらず、オゾン層がなくなってしまったと考えると彼らが地上で生活できなくなったイメージがわかりやすいかと思います。ちなみに恐竜の絶滅に関してはちょうど2019年に小惑星衝突の瞬間を示す化石の発見が発表され話題になりました。この説に関しては未だ議論が続いていますが、近年様々な隕石による環境変化の論文が発表されてきており信憑性が高まってきています(豆知識でした(;^ω^))。

翠風最終章ではラミーヌによって仕掛けられた毒の沼によりアガルタ兵がダメージを受けて死んでしまいますが、このときのセリフから、闇に蠢くもの・アガルタ兵たちは少なくとも「生者」に分類されると考えられます。アランデル公に関しても初めは二つの意思が同時に存在したことから、被験者は生きたまま石を埋め込まれ、だんだんとその意識が侵食されていくのかもしれません。そう考えるとモニカが学園に戻ってくるのに一年もかかったのも、精神的な支配に時間がかかったと納得がいきます。

画像13

そしてこのなんらかの石を埋め込むという技術も、ソティスたちの紋章石技術が元になっている可能性があります。というのも本編では先生が紋章石を埋め込まれ、結果的にソティスの精神との同居を果たすことになることから、少なくとも炎の紋章石には心を宿す力があることがわかります。またアガルタの民たちが眷属の遺骸の奪取をネメシスに命じたこと自体が、眷属たちが紋章石という力の源をその身に秘めていることを知っていたことに他ならないのではないかと考えられます。このように魔力を秘めた石を利用して自身の精神を埋め込むという技術自体が、何らかの形でナバテアの民たちの技術を模倣して作られている可能性があります。

また他に「光を奪う」ことに物理的に対応するものとしては視力を奪うことがあげられますが、黒目部分のないタレスやソロン以外では、多くのキャラクターは顔が白い以外は一般的なモブ顔をしており、これは当てはまらないのではないかと思っています。光がより抽象的なものを指す、例えばアガルタが光の神として祀っていた存在を奪ったという可能性は十分ありえそうです。

余談

アネットとクロードの支援「も〜ぞもぞ」で出てくるこの冥界ですが、セイロス教では死者は星になるか青き血潮の底(青き血潮自体は眷属の血だと思いますがおそらく海のこと?)に迎えられるそうなので、この地下世界が冥界というのはセイロス教の教えとは異なっており不思議に思っていました。もしかするとアガルタの民たちか彼らにさらわれた地上の人間たちのことを指しているかもしれませんね(闇魔法ハデスは冥界の亡者による攻撃らしいですし...)。

画像9

アガルタの技術(3) シャンバラにおけるヴィスカム・タイタニスと魔導の力

最後にシャンバラで見られるアガルタの民の技術についても、資料写真をまとめておきます。ちなみにフレンはアガルタの技術に関しては見覚えがないようで、壊滅する前の地上の技術に関しては知らないようです。またセテスはシャンバラに関しては当たり障りのないコメントしかしませんが、光の杭に関しては「あれは一体なんだったというのだ...」とコメントすることから、世界破滅伝奇の光の柱もガルグ=マクに光の杭が落ちたのも、おそらく目撃していないと考えられます。加えてタイタニスに関してはセテスもレアも見たことがないような反応をします。

画像7

ちなみに闇に蠢くものたち関連のイベントで流れるBGMのタイトルは「シャンバラ exエリア-017」。このexは元といった意味があり(元カレ・元カノなどを指してexとよく使います)、またコードの数字が3桁になので、以前はこのようなシャンバラの戦闘マップのような施設が他にも多数存在した可能性があります。バル兄の散策セリフでも「シャンバラだけが拠点とも限らねえし...」とありますし、タレスたちがいたエリアは光の杭で壊滅状態に陥っていたので、翠風の章で目覚めるネメシスたちとオデッセは異なるエリアから現れたのかもしれません。

画像1

画像10

また017という数字に関してですが、シャンバラのマップを眺めてみると、017という数字はマップ上の装飾には現れずこちらの由来に関しては不明です。以下のスクショではS020や04という数字が見えます。S020は三桁の数字なので、他のエリアへの道などを指している可能性もあります。

画像18

こちらは60ですね、まるで道路標識のようです。この辺りは案内板のようなものらしく、ロシア語で閉ざされた都市、光の束などと書かれているそうです(リンク先参考)。

画像19

シャンバラにはコンクリートや鉄などを用いたような外壁があり、様々なパイプもつながっています。酸素や水、エネルギーの供給、ネットワークなどはこれらのパイプを通じて行われているのかもしれません。マップから見えるトンネルの先が続いていることも、他のエリアが存在することを示唆しています。

画像20

画像21

ヴィスカムを操作するための設備

ヴィスカムは光の杭の技術に近い、遠隔魔導攻撃です(ただしゲーム設定としては剣による攻撃と認識され、剣回避が適用されるそうです笑)。その射出はこの部屋から行われており、白魔法アプラクサスを装備した魔道士ピッタコスを倒すとその動きを止めます。モニターが存在することから、ある程度は手動で攻撃する相手を決定しているのかもしれません。またその他のルートでは、闇魔法を扱うコルネリアもヴィスカムとタイタニスを操作していました。

画像22

画像23

タイタニスの増援を制御する設備

一方タイタニスは黒魔法ライナロックを装備したグレモリィのビアスを倒すと増援が止まります。こちらはエレベーターのような設備と、壁に謎の穴がたくさん開いています。しかしモニターなどは特にないため、この部屋から単純に魔力を送り込んでいると考えられます。タイタニス自体は魔獣とは違い意思のない自律型の機械で、材料も無生物を基本としていると思われます。

画像26

画像24

画像25

画像47

そして、この部屋の外側の三角形だけカタコンベ=墓地とロシア語で描かれています。このことから、この部屋自体は墓地やタイタニスが捨て置かれていたような場所に繋がっていたのかもしれません (死体から魔力を供給するなんて技術もあるのかもしれません...)。

画像41

タイタニスに関しては以前の記事でも考察しましたが、アガルチウムが材料であることから以前の英雄戦争では存在せず、近年アイムールやサリエルの大鎌と同様に新しく作られた、魔導の力で動く兵器であると推測しています。日本語版のタレスのセリフによると硅砂の体をしており、現実で考えられる材料としてはガラスかモルタルのようなものになりますが、英語版では該当部分はmetal bodyに変更されていました。

画像16

タレスの部屋

画像43

画像27

そして最後に、最高指導者と思しきタレスの部屋ですが、外観はまるで教会のような荘厳な外見をしています。手前に二本聳え立っているのはヴィスカムです。内部にはラピュタの最深部を思わせる謎の直方体が壁にはめられており、タレスのいるマスも玉座のようになっています。タレスはモニカ・ソロン・オデッセからは様づけされていること、大将星のスキルがあることからも、本編で出てきたアガルタの民の中のリーダー的存在であることは間違いありません。

追記 09/13: Twitterの叡智により、タレス=導師(guru)、ソロン=祭司、そしてクロニエ=使徒(Disciple)という属性であることが確定しました。これにより彼らが共通の信仰を持つ集団であること、そしてタレスが最高指導者であることがほぼ確定しました(推測が当たるのはなかなか嬉しいものですね)。シャンバラ、特にタレスのいる部屋に関しても、おそらく教会のような宗教施設であると推測されます。

画像48

画像49

画像50

(追記終わり)

シャンバラには上のような近代的なエリアの他に、古くに建造されたような像があるそうで、袖が長い魔道士のような身なりをしています。アガルタの民の幹部たちはほぼ全員魔道士であり、例えばグレートナイトのキロンでさえボルトアクスを用います(クロニエはアサシンだったが捨て駒にされたので下っ端の可能性が高い)。もしかするとアガルタの民の文化では魔道士たちが崇拝を集める対象である可能性があり、彼らの文化の発展には卓越した魔道の力、特に闇魔法の力が大きく関係していたのかもしれません。

画像42

画像44

余談になりますが、上記の像に関しては既存の像で類似するものがあるか未だ調査中ですが、興味深い例としてWikipediaから引っ張ってきた先述のゾロアスター教のシンボルマークをあげておきます。髪型や服装について類似が見られ、ゾロアスター教の善神も七神存在するので複数石像が存在することに関しても矛盾はないですが、本編中でそこまで関連が示唆されているわけでもないので、参考となりそうなモチーフのうちの一つといったところでしょうか。

引用元:アムシャ・スプンタ

画像45


おわりに

というわけで、今回はザラスの禁呪に関する考察を中心に、闇に蠢くものたちの持つ技術に関して少し突っ込んだ考察+妄想をまとめました。特にザラスの禁呪に関してははっきりとした由来が示されていないため、アガルタの民たちが持つその他の技術や特徴との関連を探りながら、タレスが光の杭発動のための鍵となる人物なのではないかといった仮説についても議論しました。

最近はふとした疑問が浮かぶとツイッターに投げて皆さんと議論出来るので毎日とても楽しく過ごしており、FFの皆様には大変感謝しております✌︎('ω')✌︎ (ただあやふやな記憶で喋ってしまっていることも多いのですが汗)それでは最後までお読みいただきありがとうございました。もしご意見・ご感想などありましたら、マシュマロやツイッターまでお待ちしております。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?