第3話「教訓 その1」 #限界シェアハウス文学
限界シェアハウスを運営してきた者としていくつかの教訓や反省すべきところがある。そもそもそんな奴らを住まわせるな、そこから出て行けと言われれば身も蓋も無いのだが、限界シェアハウスになってしまったところに住んでいてすぐには逃げられないあなたに向けて自分が得た教訓をお届けしていこう。
脳汁を求めて
そもそもすごいひとがこんな場所に何年も出入りしている理由は一言で言えば脳汁である。時にバズったり、国家レベルでの粗相を起こす様な高機能発達障害達の近くでそうした出来事や問題を特等席で見たかったというモチベーションでこの周辺に来て早8年。気がつけばすっかり自分も狂人側に立ってしまっていたのだ。わかってはいたのだが皆、大学受験機能付きの二酸化炭素製造器というだけの問題を多く抱えた人物ばかりなので当然地獄の様なトラブルばかり起きる。あの頃の自分がわかっていなかったのはここまで「低い」とは思っていなかったことだった。
しかしあくまで自分が興味あるのは「何か特大の粗相ができるorできそうな高機能発達障害者」なのであって、そうでない人には脳汁という意味での興味はないのだ。そういう意味でもM君の世話に抱いていた苦痛は際立ったものがあった。我ながらハルヒみたいな事を言っていてダサいとは思うがそういうダサいサブカル人生を送ってしまったのだからしょうがない。授業中にテロリストが教室に入ってくる妄想をしたり米軍が空爆してくる妄想に駆られて空き地に防空壕を掘っていた様な狂った学生生活を送るとすごいひとや大司教みたいになってしまう。キョンが居ればこうならなかったのかもしれないが。
余談だが、最近地元の同期に会った時に「まだ中田考って人とつるんでんの?」と聞かれたのだが「つるんでるっていうかもう一緒に住んでるけど」と答えたら軽く引かれた。この界隈では全員が「自分はこの中でマシな方」と思いがちだしすごいひともそう思ってはいたが、世間一般からはちゃんと異常だと思われているのだろう。何が言いたいのかというとこの周辺はちゃんと全員おかしいし異常者である。その時々の相対的な人間関係で「お母さん」や「被介護者」などの立場が出来るだけで社会に出てもまともな人間など少ないのだ。この記事もその異常者の1人が書いている文章だと改めてご承知いただきたい。
不快感の表明をしろ、悪口も言え
すごいひとは昔、特にそうだったが、感情の起伏がなくあまり怒りや悲しみなどを出すことが少ない。これを自分の性格だとずっと思っていたのだが、「怒り」や「悲しみ」という気持ち自体があったのにそれ自体に気がつかなかっただけなのではないかと今では思う。無意識に感情に蓋をしていたというか自分が何を不快に思うのかというものに無頓着に生きて来たからこうなったのかもしれない。少しでも不快感や嫌な感情を抱きそうになればそこから離れたり、興味を失ったりしていたからだろう。嫌いな人とかも昔いたのかもしれないが全然思い当たらない。無意識に忘れてしまっているのだ。
そうした鈍感さはある種の生きやすさや良さなのかもしれないが、他人と向き合ったりすることを避けて来たツケでもあるのでいざ不快なものや嫌な感情に直面した時にどうして良いかわからなくなる。「怒り方」や「悲しみ方」がわからないのである。
前回の第二回ですごいひとはM君の結婚ごっこを「きっしょ」と感じて海へ行った。それも逃避の一種であって必要なことであるが時にはちゃんと不快感を表明したり相手に是正を求めることはしないといけないことに気がついた。当然だが、相手に言わなければわからないからである。M君から毎月の家賃を徴収しなくてはこのシェアハウスは立ち行かない。しかしM君が家賃の満額を払うことに不満を言い出すことがあった。もちろん不快だから関与したくないのだが誰かが説得して徴収しなくてはならない。結局「お母さん」をやっていたすごいひとが「家賃をどうして払わないといけないのか」「契約とは」という説明をして払ってもらえた。やはり不快だった。
そういう時に面と向かって不快感を表明できるならそれに越したことはない。何度もこんなことしたくないのだから。ただそれが苦手な性格の人も居るだろう、すごいひともそうだ。であれば直接でなくても相手の目に触れるところで表明するのでも良い。ツイートでもグループラインでも良い。共通の知人に愚痴を言って「すごいひとがめっちゃ不快そうだったよ」と伝わるだけでも良い。そうしていると段々と相手にも悪口を言ったり不快感の表明ができる様になる。とにかく溜め込んではいけない。舐められることと「優しい面倒見の良い人」と思われることは紙一重なのだから。
逃げ場を作れ
すごいひとは基本リモートワークなので、このビルに来た当初は家から全然出なかった。なんなら1日中一歩も家から出なかった日さえある。残念なことに仕事中や寝ている時にもこのビルの問題は容赦なく発生する。「すごいひと君助けて!パソコンが壊れた」とか「すごいひとー、助けて〜□□君が△△△△△△△△(犯罪)」とかいうLINEが来たりする。頭がおかしくなりそうになる。
家にいたらそれに対応できてしまうため(というかその間も仕事を中断したり寝ていたりはするのだが)つい声をかけられてしまうのだろうがそれをしているといつか破滅する。
1番のシンプルな解決策としてはジム、銭湯、スタバで勉強などなんでも良いので家から出て何かをする習慣を持つことである。それをやると決めた時間は家から出て何もシェアハウスの事を考えない。連絡が来てもなんなら無視する。そのくらいの感覚で良い。すごいひとはそれを実践してジムに通い2ヶ月で9kg痩せたので結構オススメでもある。シェアハウスが嫌であればあるほど何か別のものが捗っていくのならとても良い。
「いざとなったらこいつを倒せる」という自信
これは身体的にという意味には限らない。心の持ち方という話だ。もちろん相手が暴れても制圧できるとなれば心強いが、そうでないことも多いだろう。すごいひとは「ワンチャンこいつに刺されるんじゃね?」と結構ガチで感じながら生きてきたがジムで身体を鍛えていたし謎の自信があった。あと別に死んでも良かった。あくまで大事なのは自信なのだ。実際凶器を持って暴れられたら逃げるべきだし倒せるわけない。他には相手の弱みを握るなどもある。もちろんそう言った手段が有効な相手であるならという前提のもとではあるが。繰り返すがあくまで大事なのは何が通じるかではなく自信なのだ。本当にヤバければ逃げろ。身体を鍛えていようと武術や格闘技をやっていようとそれは平常時の精神的勝利にしかならない。
さいごに
正直、こんなアドバイスが役に立つ事なんてあって欲しくない。こんなことを考えている時点で十分破滅したシェアハウスだからだ。もし真っ当なシェアハウスをしたければそれなりの家賃を設定して金ない奴を排除するとか、男女の立ち入る部分を分けるとか、「低さバトル」が起きない様に共用部のルールを決めるとかのよく聞く当たり前の話になる。あくまで今回ご紹介したのは限界シェアハウスを管理した身としてのものなので一般化はできないだろう。さいごにあなたのシェアハウスでこんな教訓が生かされない事を祈って...