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書きたくなる時はいつだって

BLOGをNOTEに移すことにしました。
理由は使い易いからです。

リンク飛ぶのは手間かもしれませんが、お付き合い頂けると幸いです。

さて、題名の通りですが
いつだって僕が筆をとりたくなるのは突然のことで。

だからいつも思うのが、作家さんは本当にすごい。

締め切りがあって、高い内容が求められるのだから。

あー、作家じゃなくて本当によかった。

なんていうのは杞憂なもんで。

そもそも書けるから、物書きになるんでしょうね。

そして書けない僕はこうして
時々普通の人が20分もあれば、書ける内容に2,3日も掛けて。
酒を呑んで、興が乗ったら駄文を残す。

そんな不真面目極まりない僕が
洋服について書きたくなる時はいつだって。

Nobuyuki Matsuiの洋服は何度かBLOGで紹介したことがあるのですが
作り込まれた洋服を目の前に感想を述べたくなるのは
どうやら10年前から変わっていないようで。
今はSNSでインスタントに情報を拡散できる様になったから
そちらを選択しても良いのですが。
BLOGの様なアナログな手段をとりたくなるのは情報量を多く取れるからですかね。

Nobuyuki Matsui 22AW LOOK

まず、ご覧頂きたいのは今シーズンの美しいLOOK画像です。
雪山を背景に佇む青年の凛々しい姿。

アートは残酷だ。現実を写す鏡以上に現実が辛く厳しいことを教えてくれる。その作品が美しければ、美しいほどに。
ただ、純真に楽しむ心があれば良いというわけではない。
僕らは悲しみをしっているからこそ、その作品の持つ苦悩おも美しいと思えるのだ。
【美術は魂に語りかける】より

これは彫刻家であるリチャード・セラが悲しみを謳う詩からインスピレーションを得て創作に当たったことに対する解説です。

自然の美しさと、厳格な物作り。
自然はいつも人にインスピレーションを与えてくれます。
アートにおいて、物作りにおいて。
自然は一番のミューズなのかもしれません。

ただ、自然がアートに取り入れ始められたのは
自然の脅威が科学の発展により解明されたことで
その脅威が薄れていき、神話の謎が解き明かされていったからだと言われています。
描く、創るなどという行為は神(自然)への冒涜だと考えられていたり
そもそも自然=美しいと思う感性は存在しなかったそうです。
現在、僕らが風景。いわゆる自然を前にして美しいという感想が持てるのは
人がそれを乗り越えてなお、人の手では創造することが出来ない極地に
自然があると考えたからではないでしょうか。

Nobuyuki Matsui 22AW LOOK

その細かな織りから覗く独特の光沢感。
角度によって見え方が変わるショーンヘル(旧式織機)を使用して織り上げられたオリジナルジャガードのセットアップ(当店ではジャケットのみの取扱い)
国内ではわずか1,2台しか残らない古代兵器さながらのマシーンは
扱う職人にも熟練の技がないと息が吹き込まれません。
また、テーラードに使われる毛芯をあえて剥き出しにしているのは
美しい生地で覆い隠し、
ただ、美しいものを作ってしまうと、その下に潜む手仕事の職人技術を。その生々しさを僕らは知る由もなく。
当たり前に普段身に付けている、洋服が作られる工程を見落としてしまうからではないでしょうか。
洋服の美しさは人の身体にのった時に感じるものですが、
洋服を作る難しさを知れば知るほど、それこそ自然に近い尊さを感じるかもしれません。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ『氷海』1823-1824作

自然を雄弁に語ることが出来るのは前途した通り
その脅威を知っているからではないでしょうか。
産業革命以前の自然はただ、畏怖するもの。
無慈悲な暴力は神秘性を孕んでおり
描く、創るなどという行為は神(自然)への冒涜だと考えられていました。
19世紀を代表する画家であるフリードリヒが描く『氷海』は空も地表も白で覆われることで
画面がとにかく明るく、その現実味が逆に恐ろしい。
画題に選ばれるとそのドラマティックさが浮き彫りにもなりますが
事故現場の生々しさはそれほど感じず、ただの現象の一部が切り取られることがその自然さが美しさとして見て取れます。
自然が美しいと思えるのはありのままであるからだと強く訴えかけている様に感じるのです。

Nobuyuki Matsui 22AW LOOK

スーツの上に被せられたベスト。
今シーズンは雪山にスキーにスーツというなんだかよくわからないけど
よくわからないのが非常に魅力的に思った組み合わせ。
Nobuyuki Matsuiなりのスポーツミックスだったのだろうか。
組み合わせもそうだが、構成も独特で非常に面白く
生地は漆で加工しており、独特のハリ感を出しています。
漆は大陸から来た技法で日本に根付いてからは漆喰や器に使われていますが
デコラティブな側面と素材の持つ強度を上げるという工芸的な意味合いを持ちます
神社のお社に使われる朱色のベスト。
漆で固めたれた生地が風を通さず、ダウンポケットにはたっぷりとシンサレートを詰め込み保温性も抜群。
デザインと機能と表現と
1ピース、1ピース全てに意味があり、無駄がない。
無駄がないというのは、おそらく限りなく自然であるということ。
美しさの本質に迫る、物作り。

恐ろしく、難しく、無駄がない美しさを。
是非、手にとってみてください。

BLOGを再開しようと思えたのは。
年が明け。雪がちらつくなか。
厳格な物作りと美しい雪山を背景にしたLOOKと、、、急に冷え込んだから。

ああ、そうか。

当意即妙。

至極、自然のことに思えたのでした。

では、また。

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