[#2データベース研究]リアルワールドデータの活用事例
こんにちは、はるです。
最近、雨が続いていますね。
休日は外に出たい派の私にとって、土日が雨というのは大変ストレスです。今週末は大人しく家で本を読んだり、noteを書きたいと思います。
さて、前回はリアルワールドデータ(以下、RWD)ってどんなものか?という紹介をしました。
今回は製薬企業視点でRWDがどのようなことに活用しているかということをまとめてみました。私は現在データベースベンダーで働いており、そこで企業の方から多い利用目的を中心に述べたいと思います。
1. RWDを活用する部門
はじめにどのような部門での利用が多いかについてですが、マーケティング、臨床開発、ファーマコビジランス、製販後調査、メディカルアフェアーズなど医薬品のライフサイクルに関わる幅広い部門で利用を検討している傾向にあります。
特にマーケティングやメディカルアフェアーズでは、RWDを活用するのが当たり前の時代になってきていますね。
ファーマコビジランスや製販後調査に携わる部門でも、最近は内資・外資、製薬企業の規模問わず、RWDを用いた製販後調査の検討が行われております。こちらは外部環境の変化による影響が大きく、GPSP改訂に始まり、アウトカムバリデーションスタディやデータベースの信頼性保証に関して少しずつ方針が見えてきたことで、利活用に明るい企業が増えてきたと感じています。
また、臨床開発部門でもデータの利活用に興味を持たれている企業が増えてきている印象です。ただし、臨床開発については国内での利用実績はほとんどなく、現在は模索中の状態だと思います。治験で収集しているデータのレベルをRWDで収集するのは国内のデータベースではほぼ不可能です。その点をどうクリアしていくか、また活用事例が少ないがゆえに担当者のデータリテラシーの向上、というのが今後の鍵になると思います。
2. データの活用事例
次にどのようにデータが活用されているかですが、以下のような活用事例が挙げられます。
・有病割合や疾病負担などの疫学調査
・治療実態やペイシェントフローの調査
・薬剤処方や診療行為後の予後調査
・製造販売後の安全性、有効性の調査
・費用対効果分析
・治験での症例数推計や対照群
上記に記載以外の方法でデータを利用するケースもありますが、思い浮かぶのはこのような利用方法です。
現状は全章でも述べた通り、医師などのクリニカルクエスチョンに対して、エビデンス創出を行うためにRWDを利用するケースが多いと感じます。
3. データベースの選定
データベースの種類については別の記事で紹介する予定ですが、活用事例について紹介した流れで少しデータ選定というお話をしたいと思います。
データベースを利用した調査を行おうと思った時に、必ずぶつかる壁がどのデータベースを利用すればいいのかという問題です。ここで適切な選択をできる人はデータの特徴をかなり理解している人だと思います。
どのデータベースにも必ず限界点が存在します。例えば、他の病院やクリニックを受診したときのデータが得られなかったり、検査値や臨床所見のデータが取得できなかったり、対象患者数が少なかったり、など色々な限界点があります。
重要なのはどの限界点なら、許容できるかというのを見極めることだと思います。わかりやすい例としては、ある疾患の予後を調査したいときにその疾患特有の臨床検査値を利用したいのに、検査値がデータに含まれていなかったり、検査値はあるものの人数が少なければ致命的ですよね。この場合はそもそも研究が成立しないので、検査値を含む患者のデータが十分に取得できるデータベースを選択する必要があります。
たとえ選択したデータベースで、転院や他の病院を受診した時のデータが取得できなくとも、疾患によってはそもそも転院するケースが稀であれば影響は少ないはずです。
上記は非常にシンプルな例ですが、データの限界点は必ず生じるということを念頭に置いて、その研究目的を達成するために必要な特徴を含むデータを選択するのが良いと思います。
以上、今回はRWDの活用事例と少しデータ選定に関するnoteでした。