和田一浩コーチ?

 平田良介の退団に続き、中スポの朝刊で度肝を抜かされた。9年間中日を指導した波留敏夫コーチが退団し、落合博満元監督が中日の指揮を執っていた頃の主軸である和田一浩氏を招聘するというのだ。今回は、まだ確定した訳では無いが和田新コーチへの期待と、波留コーチの回顧を書いていく。

和田新コーチに期待すること

悪い評判の払拭

 「単打と走塁に主眼を置いた育成プログラム」という単語がTwitterやYahooニュースのコメント欄で独り歩きしてしまい、長打力のある石川昂弥や鵜飼航丞でさえも立浪和義監督に個性を潰されている最中であるような悪い印象を持っている方も多いと思うが、たった1度週刊誌で報じられた些細な事の説得力などたかが知れているというのが個人的な感想である。中日という球団は、前述の落合元監督の辞任を巡った御家騒動を筆頭に、週刊誌の格好のネタとなるような出来事が多々あるのだ。今までのゴタゴタは事実と憶測が半々といった感じだっただろうが、今回の騒動は完全なる憶測ではないか。現に、立浪監督は鵜飼にバットを長くして、長打を狙うようにと指導しているようだ。

 こういったコツコツと単打を狙うという中日の印象を、ぜひ和田コーチには変えてもらいたいと思う。現役時代は「なんでこれだけ細い選手が本塁打を打てるのか」と疑問に思うような特大アーチを連発していた。凡飛球に見えた当たりがフラフラと上がって本塁打になったり、反対に外野へのライナーと思われた打球が一直線にスタンドインするなど、まるで物理学を超越しているかのような曲芸的な打撃スタイルは唯一無二なのではないか。解説でもよく、中日ナインにはもっと長打を狙って欲しいという発言を繰り返しているのでぜひ第2、第3のの和田を養成して欲しいものである。

立浪監督の参謀

 今季の中日ベンチを見ていると、立浪監督が孤立しているようにも見えた。ヘッドコーチを兼任している落合英二コーチは専ら投手コーチに。退団した波留コーチや荒木雅博コーチは練習風景の写真では良く談笑している場面を見かけたが、試合では随分と離れた位置に座っているという印象である。

 今回、それ程年の離れていない和田氏がコーチとなるのであれば、ぜひ参謀の役を期待する。名将の影に名参謀ありという言葉はよく言ったもので、星野仙一監督には島尾育夫コーチ、落合博満監督には森繁和コーチが付きっきりで試合中の相談をしていたのだ。今季はごく稀に西山秀二コーチが駆け寄っていたが、中日に携わることが今まで1度もなかったので非常に苦労したのではないか。来季はぜひ、OBのコーチにその役を全うしてもらいたい。

波留コーチ退団は

「狐説教事件」で評判を落とした?

 今季の中日に於いて、1番有名な「珍プレー」は円陣の際に生じた波留コーチの説教だろう。時は交流戦。札幌ドームでの試合で、「What does the fox say?」の歌い出しで始まる狐ダンスをセ・リーグの球団のナインが示し合わせたようにチアリーダーに合わせて踊っていたが、連敗中の中日は当然そのようなことはせず円陣を組んだり、キャッチボールに励んだりしていたのだが、3戦目の狐ダンスが行われている最中に波留コーチが「目を覚ませもっと、いつまで甘えてやっとんねん、野球!その気でやらんかいアホウ!」という痛烈なゲキを飛ばしているところがちょうど球場のマイクに拾われ、「時代錯誤」との批判でTwitterが埋め尽くされていた。

9年間の熱血指導

 この騒動以前の波留コーチは至って評判の高いコーチであった。高橋周平、福田永将らと真剣に練習に取り組む写真や映像を何度も目にした。その姿はまさに熱血コーチであったが、熱くなりすぎた結果があの円陣だったのだろう。ネット記事にも凄まじい数の批判が集まっていたので、中日新聞社への投書は更に多かったのではないか。前述の育成法にしても、そこだけを切り取って見なくてもいいのではないかと思う。

最後に

 波留コーチは「森繁和政権から与田剛政権に、与田剛政権から立浪政権への橋渡し」という役割を見事に全うしたと言えるだろう。今後は和田コーチに期待する。

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