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神在祭と元旦那

今年も出雲の神在祭に行ってきた。

11/24(金)の仕事後、23:50梅田発の夜行バスに乗り翌11/25(土)5:50出雲着。出雲大社に参拝し、稲佐の浜で海を眺め、11:25出雲発の昼行バスに乗って17:00に大阪に帰ってくるという無茶苦茶なスケジュールだ。
なぜこんな行程にしたかというと、自宅で可愛いじゅげむが待っているからだった。

「待っているぞ」


このかわい子ちゃんを丸1日放置することなんてできない。(とはいえ20時間は放置している計算になる。すまん、じゅげむ。)


久しぶりの夜行バス。4列シートは当然ながら狭かった。眠りかけては目を覚ますことを繰り返し、ようやく入眠できたのは午前3時ごろ。結局3時間も眠れぬ間に出雲についた。

出雲大社前駅



出雲は寒かった。多分全国的に冷え込んだ日だったと思う。
睡眠不足による疲れに、寒さが追い打ちをかける。そして雨まで降り始める始末である。

去年は何を願ったかな~と思い返そうとしたが、顔に当たる冷たい雨が思考を遮り、何も思い出せなかった。私のことなので、どうせろくな願い事はしていない。思い出さないほうがよかったのかもしれない。

バスの発車までしばし時間があったので、稲佐の浜に行った。めちゃくちゃ寒かった。


けど、やっぱり海は良いね。海育ちの私は、海に行くと心が安らぐ。海は何もかもザバーンと洗い流してくれるから好きだ。

しかし寒い。このまま海に居たら風邪をひくこと間違いなしだったので、早々に出雲大社に引き上げた。

とりあえず、例年のごとくおみくじを引いてみた。
内容は「運気は良いけど、ちゃんと考えて行動せなあかんで。恩を忘れず感謝することが大事やで。そしたら幸せになれるで。」みたいなことが書いてあった。
そうですよねぇ…と思った。
運気は良いと書かれているのになぜか落ち込んだ私は、しぶしぶ神在祭限定のお守りをいただいて帰路についたのだった。

大阪行きのバスを待つ間、出雲市駅の「らんぷの湯」に入るつもりだったのだが、肝心の出雲市駅に行くバスが大幅に遅延していた。結局出雲市駅にはバスの発車ギリギリに到着したため、入浴はかなわなかった。くやしい。

大阪行きのバスに乗り、蒜山サービスエリアで休憩した際、「朝焼きチーズケーキ」なるお土産を発見した。これは買わねばと嬉々として1ホール購入したが、よくよく見るとパッケージ裏側に「本商品は、"朝焼いたチーズケーキ"をコンセプトに…」などと書かれており、特に今朝焼いたわけではなさそうだった。こういうのは何らかの罪に問われないのだろうか。くやしい。


悶々とした気持ちでバスに揺られていると、突如ラインに通知が来た。
元旦那からである。

「しぃちやん(私のあだ名)、元気してる?」

一瞬で目が
キュピーン!! <〇><〇>
となった。

なんや突然。要件を言え。
睡眠不足で疲労困憊している人間とは思えないほど、私の頭は回転し、あらゆる可能性を模索した。
離婚したのか?義父母になにかあったか?トラオ(猫)になにかあったか?

スマホを握りしめたままフリーズしていると、写真が送られてきた。どうも、保険料の引落しに関するハガキのようである。
「どういうこと?」と事情を聞いてみると、4年に1度更新される火災保険の名義がまだ私のままになっていたようで、私の口座から3万円が引き落とされるという通知が来たことに気づいた元旦那が、慌てて連絡してきてくれたというのが事の次第だった。
なんだ、そんなことか。

保険に関するやりとりとちょっとした雑談をしながら、もぞもぞした気持ちになった。
なんだろう。例えるなら、しばらくぶりにあった幼馴染と話すときみたいな。昔は相手を気遣うことなく、感情や言葉を思うままにぶつけ合ってたのに、大人になってちょっとよそよそしくなるような。昔話をあえて避けて、今どう?大丈夫なの?と相手を気遣う言葉なんかかけちゃうような。
もうあの頃の関係性に戻れないことは分かっているし戻りたいわけでもないんだけど、一度お互いの深いところまで踏み込んだ人間同士の「きみのことはわかってる。でも今はこの距離感だからね。」っていう独特のコミュニケーション。テキストで成立している会話の裏で、もうひとつの会話が存在しているこの感じ。せつないねぇ。


元旦那は「引落し口座、俺のに変更しとくわ!」と言った。
私は「任せた!」と言った。


元気そうでよかった。と思った。


車窓に視線を移すと、虹がかかっていた。

エモい。




そして今日、私の口座から31,800円がきっちり引き落とされていた。

名義変更できてねーじゃん。

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