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スプラトゥーン界隈で流行りがちな「コーチング」って実際なんなんですか?

この記事は、ゆるくスプラを語りたい from くくね@イカトドン Advent Calendar 2023 の、12/13(水)用に書いたものです。

ゆるい企画なのでゆるく書くつもりで、つまり学術的な本や論文をたくさん漁ってエビ🦐デンス漁をするみたいなことは、しんどいからあんましないと思います。

昨今のスプラトゥーン界隈では「コーチング」というものがよく行われています

スプラトゥーンをやってない人にはなんのこっちゃだと思うので説明しておくと、
「コーチング」とは、スプラトゥーン上手い人が、スプラトゥーン上手くなりたい人や伸び悩んでいる人などに対して、勝ち方やコツみたいなのを色々教えてあげる行為です。

主に、教わりたい人が自分の試合動画を見せて(スプラ3ではメモリープレーヤーという機能で自分の試合のリプレイを簡単に他人と共有できるのです)、
コーチの人がそれを見ながら「この場面はこっちに行った方がいいね」とか「ここは焦らず味方と歩調を合わせてゆっくり打開すべきだったね」みたいなことをアドバイスしたりします。そういうコーチング行為をスプラトゥーンの世間では昨今よく見かけます。

ここまで読んで、既に違和感を覚えている人はいるかもしれませんが、
「教えてあげる」「教わりたい人」に「アドバイス」する のは果たしてコーチングなのか???

じゃあ「コーチング」ってなんですか?

ここが重要なんですよ。
実は「コーチング」に厳格な定義はまだありません。

歴史的経緯で言うと、たぶん、精神医学におけるカウンセリング(来談者中心療法)とか認知行動療法とかのスキル体系を参考にして、いわゆる自己啓発セミナーとかの文脈で発生し、比較的近年に流行り始めた概念のはずです。

それもたぶん、主に海外発祥の利権ビジネス的な匂いというか…アンガーマネジメントやマインドフルネスみたいな…
精神的な概念に名づけをして定義して、いい感じに要素を体系化して、団体を設立して、認定試験を作って、セミナーを開いて、企業研修を取りつけて…そういう風に自己啓発セミナー系ビジネスをしていくパターンの中で、
ビジネス現場における「コーチング」という概念も、それをメシの種にしたいセミナー講師やコンサルみたいな人が推し進めてるんじゃないかと勝手に思っています(実際のところはよく知りません)

そんな感じなので、「コーチングとはこれのことです」みたいな定義、原典が今のところ無いっぽいんですよね。
なので「これはコーチングだ」「この行為はコーチングじゃない」みたいな話をすること自体が不毛なようにも思いました。

その上でじゃあコーチングとは「大体」どんな感じのやつなんですか?

おれが調べた限りでは、カウンセリングにやや近いっぽいんだな。
大体こういう流れで行なわれるんだと想像してます。

  1. 関係構築(仲良くなる、信頼関係を築く、「この人についていこう」と信じてもらう)

  2. 分析(悩みや課題は何か、なぜ悩んでいるのか、どうなりたい/どうありたいのか)

  3. 目標設定(最終的なゴールとなる目標と、そこに辿り着くために必要な具体的課題や小目標を定める、そこに向けて頑張るぞと意気込み、やる気を出す)

  4. 実施(実際にやってみる)

  5. フィードバック(結果どうだったかをコーチがフィードバックする)

※以降、3~5をぐるぐる回す。場合により1や2にも戻るかもしれない。

カウンセリングというものは基本的に、精神の病理を治療するために行なう医療行為です。
一方コーチングはそのスキル体系を利用しつつ、その対象を汎用的に広げて、主に単純なスキルアップや、前向きな成長意欲を後押しするためにやる、という理解で大体合ってるんじゃないでしょうか。知らんけど。あれはコーチングだ、私がそう判断した。

妙だな…上記フローチャートに「教える」という項目が無いぞ…

そうなんですよ、無いんですよ。

教える、つまり「ティーチング」という行為は、そりゃ場合により必要なんですがコーチングの主活動ではないはずなんですよね。

え、じゃあ「ティーチング」とは一体なんなんですか?

知識伝授

カウンセリングにおいても場合によりティーチングはします。知ってるだけで心が救われること、知ってるだけで対策・改善できること、ってのも色々ありますから。

でもなんてーのかな、ティーチングは1対多の場面で集団全体の知識やスキルを底上げするのには適しているし、知識が無く勉強の仕方も分からなくて苦労している人を助けるには必要なことなんですが、
一方で最初からやる気に満ち満ちてる人って、ほっといても勝手に勉強したり練習したりするじゃないですか。
そういう人をより伸ばす、より大物にする、というときに必要なのは、座学で知識を教えることティーチングではないでしょう?それはなんか感覚的には分かるやろ?
(足りない知識を補って余りある圧倒的な感覚・感性を持つ野性の化け物に、知識を身に着けさせる必要が生じることはあるかもしれんけどよ)

3種の活動について一旦整理します

カウンセリング:メンタル的な不調や病理を治療するために色々お話を聞いたり行動を促したりする行為

コーチング:カウンセリングの技術を汎用的に拡大して、何らかの目標達成のために頑張ることをコーチが後押しする行為

ティーチング:知識伝授

これは全ておれの主観であり、学術的な本とか論文とかでエビ🦐デンスではない。また繰り返しになるがコーチングにそもそも厳格な定義は無い。

出典:おれの主観

ここから言えるのは…ティーチングが、カウンセリングやコーチングの中に含まれる場合はあるけど、
ティーチングだけやっててそれをコーチングと言い張るのはなんか違う気がする、ということですかね…

ということでスプラトゥーン界隈の「コーチング」は?

まだまだティーチングの域を出ていないものが多いように思います。

少なくとも「目標設定→実施→フィードバック→目標設定→…」というPDCAサイクル的なものが1周してないのは、その場限りのアドバイスつまりティーチングに過ぎず、コーチを名乗るにはせめて2周は付き合う必要があると思った(小並感)

でも「チミたちのやってることはコーチングなんかじゃないネェ!👓(クイッ」とおれが偉そうに宣うだけではただのクソヘイト記事なので、ここからは具体的に「コーチング」のあるべき姿をコーチ目線で考えてみようと思います。多分ここが本題です。長い導入でしたね。
何も考えずに書いててごめんね。でもこの記事の主旨は「ゆるくスプラを語りたい」だから…

コーチが具体的にやるべきことを考えてみよう

①関係構築

まずこれに尽きます。
コーチの言うこと信じてもらえなくなったら元も子もない。ここを疎かにする限りお前はただの教え魔(死語)の域を出ない。

今からコーチングをするおまえは、相手との最初の関わり方や、普段の言葉遣いとかSNS上での素行とか、ぶっちゃけそういうレベルのところで信頼度が決まってしまうと思っておけ。ここにおまえのスプラトゥーンの実力はほぼ関係ない。

②悩みや課題の分析

特にメンタルが繊細な相手ほどここを丁寧に行う必要があります。ここは本来のカウンセリングにかなり近い。
例えば漠然と「もっと強くなりたい」「XP上げたい」と言っている人がいたとします(こういう訴えを主訴という)
でももっと話を聞いていくと、その主訴の裏に隠れているその人の本当の気持ちは「身内がみんな強くて自分だけ弱いのがプレッシャーだからもっと強くなりたくて…」みたいな感じかもしれない。

すると、本当はその人はそもそもバチバチの対戦ゲームなんてやりたくなくて人付き合いでスプラやってるだけで最近はそれも辛くなってきてるが身内の誰にも打ち明けられないでいる…とか、
彼氏が日常的にウデマエマウントのモラハラをしてきてそれに半分洗脳されてて「私はゴミカスのクズなんです、もっと強くならなきゃ」という過度な卑下と強迫観念に駆られてるとか、
まあそういう可能性だって普通にあるわけです(普通にあります)※あります【実際ある】

コーチと言ってもたかが素人同士のゲーム遊びの関係に過ぎないおまえが、どこまでそんな他人の激重センシティブに踏み込むかは熟考しないといけないが…
万が一そういう人にコーチングをすることになったおまえが、そういうバックボーンを全く分析せずに「あーこのムーブ弱いっすね、全然ダメっす」「これキル取れなきゃなんも勝てないっすよwもっとエイム練習してww」とか高校の部活みたいなノリで適当なダメ出ししようもんならめっちゃメンタル病ませることなるで。
でしばらくしたらその話が回りまわって「スプラのコーチング民度終わってる」みたいな世間全体の悪評に繋がります。

③目標設定

悩みや課題を明確にしたあとで、当人が目指したくなるゴールを一緒に考えましょう。
夢みたいなゴール設定じゃ本当にただの夢でしかなくてあまり意味が無いし、簡単すぎても張り合いが無いです。

あと、「最終目標となるゴール」と「喫緊の課題」は分けて考えましょうね。
例えば前者が「全ルールXP2500にする」だとしたら、
後者は「ルール関与意識をもっと高める」「潜伏キルを絶対外さない」「このステでヤグラがこの辺に来たらあの高台から防衛する」とか…やや抽象的な課題から具体的な戦術の実行まで、膨大な数の課題が見つけられると思います。
でもここで後者に目を向けすぎて前者のゴールが曖昧だったり無かったりすると、だんだんコーチングが迷走すると思います。そりゃゴールが無いんだもん。

それに、「全ルールXP2500にする」ために必要な課題と、「エリアだけ2500にする」ための課題、「ウデマエS+になる」「エリア3000にする」の課題、はどれも少しずつ違うはずです。
ゴールに合わせた課題に取り組むべきで、逆に言えばゴールに見合わぬ課題に取り組ませるべきではないかもしれません。

④フィードバックの仕方

よかったところを褒める、ダメだったところも言い方を考える、とかなんかテクニック的な話は無限にあってそこはコーチであるおまえが自分で勉強しろって話なので、
ただ一つ重要だと思うのは「相手に寄り添う」です。

相手が例えば、「自分では気づけない些細な欠点や問題点を重箱の隅をつつくように見逃さず全部指摘してくれ、あと余計な褒めとかフォローとかは要らん」と願っているのか、「負けすぎて落ち込んでるから励ましてほしい」と願っているのか、実は自分なりに工夫して頑張ったところがあってその点を好評価してほしいのか、
その辺をしっかり把握して、相手の望む接し方ができるととても良いと思います。
会話のテクニックを学べばその辺の接し方の引き出しは増やせるから、やっぱり勉強もしろ。

未来へ…

この記事を読んだそこのコーチであるおまえが!真なるコーチングを理解し!
ただ人のメモプ見て目につくところを「ここはこうしないとダメっすよね」とか欠点指摘してるだけで自己満足することなく!
相手に寄り添い!信頼関係を築き!共に目標を定め!
トライアンドエラーを繰り返しながら!
相手のやる気を高めていく!

そういうことをおまえができるようになれば!
スプラトゥーン界隈のコーチングは!また一歩!
真なるコーチングに近づいたと言えるだろう!
コーチングの定義は知らんけど!

わかったか!

カフェラテかミルクティー買います いや、カフェラテの方がカラテが高まりそうなのでカフェラテにします