【エッセイ】ペルセポネーの微笑み〜虎吉の交流部屋プチ企画〜
年に数回、私は一枚の絵を前に考えに考える。買うべきかどうか。巨大な薔薇の冠の下、一本角の黒い獣を抱く、冥界の王妃、ペルセポネーの絵。その顔に微笑みはない。大きな瞳でじっとこちらを見ている。
彼女の母は豊穣の女神デメテル。この母の喜びが大地の恵みであり、それは娘が地上へ帰還する時期だけのもの。すなわち、この世界の実りはペルセポネーによって始まる。彼女こそが豊穣、そう言っても過言ではないだろう。
いや、しかし、だから何だと言うのか。それがこの絵を欲する理由だとしたら、私は豊穣