人生初の卒業式に思うこと。

 3月1日。初めて卒業生を送り出すことができた。
 あれほどまでに愛着を持つことに抵抗していたのに、気がつけば私自身の生活の一部、いや、心の拠り所になっていたのだから、不思議なものだ。
 彼らとの出会いは運命だったと思う。あの年に採用試験を合格しなかったら。あの時に大きな人事に関わらなかったら。あの時の失望感がなかったら。関わることは疎か出会うことすらなかった。
 日々の何気ない日常が彼らへの愛情を育み、私の生きる意義となった。自身の節目で涙することは一度もなかったのに、彼らの門出では人目も憚らず感情を表にすることができた。感謝の一言で済ませたくはない。それでもその一言しか思い浮かばない。
 まだまだ言いたいことはあった。でもあの日に言えたことはほんの一部でしかない。「全て言ってしまうと泣いてしまうから」というのは言い訳で、本音はここで言い尽くすともう会わないことを前提としてしまうから言えなかった。
 また会うことができる運命を手繰り寄せるため、明日から彼らがいない日々を懸命に過ごそう。
 「金曜日の7限。あの時間があったからこの1年過ごすことができた。どんなに私の6日間がネガティブだったとしても、あの時間、あの空間があるから仕事が楽しかった。『終わりよければ全て良し』という言葉は嫌いだ。でも、この1年で好きではない言葉に昇格させることができた。彩り豊かな2年間を与えてくれてありがとう。」
 いつか君たちだけの青春を語り合う時に言わせてほしい。
 大切で自慢の教え子たちの人生に、幸多からんことを。

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