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人を助けてきた歴史ある病院を、経営難から再建。地域コミュニティづくりがはじまるまで。同善病院の変革

東京都台東区にある同善病院(45床)は、2022年4月に、回復期リハビリテーション病棟と機能強化型在宅療養支援病院の機能を持ったコミュニティホスピタルとして生まれ変わりました。ここでは同善病院の歩みについてご紹介します。



病院概要

東京都台東区三ノ輪2-12-12
45床(回復期リハビリテーション病棟)


1 昭和31年、同善病院開設

東京都台東区の三ノ輪駅の近くにある同善病院。当病院の前身となる同善会は、明治19年から小学校、保育園として活動を開始しました。
大正12年の関東大震災の際に、火災を免れた罹災者の救護を行い、昭和20年に東京大空襲で東京の大部分が焦土と化した際は、焼失を免れた園舎で戦災者収容の救護活動を行いました。同善病院はこれらの流れを受けて、昭和31年に開設された病院です。

平成19年には隣接地に同善会クリニックを開設を経て、現在の回復期リハビリテーション病院と、地域のかかりつけ医として総合内科、リハビリ、整形外科などをみるクリニックの両輪での運営する形態となりました。


2 経営状況の悪化、平成25年に経営体制を一新

しかし、その後は医師やスタッフの人材確保が安定しない期間が続きます。提供できる医療が地域のニーズから乖離していき、経営面でも悪化していきました。

その結果、平成25年、経営体制の一新を図ることになります。新しい経営体制のもとでは、リハビリテーション機能の再強化によって病床稼働を高めることに成功。クリニックについても、総合診療医の新院長を迎え入れ地域のニーズに応えられるような診療体制が整い始めました。これによって、一定の経営改善を達成。さらなる飛躍に向けてコミュニティホスピタルに転換する準備が始まりました。

3 2022年 コミュニティホスピタルを目指して再スタート

2022年4月、在宅医療の経験のある総合診療医3名が新たに加入しました。これにより在宅療養支援支援病院の施設基準を申請。本格的に在宅医療を開始して、コミュニティホスピタルとしての道を歩み始めました。

・同善会の在宅医療

東京都台東区は、人口20万人で高齢化率23%。そこに在宅療養支援診療所が20事業所以上があり、さらに東京都の中心部に位置しているため近隣区の多くの在宅療養支援診療所の訪問エリアとなっています。

一人ひとりの患者さんにとっての「その方らしい生活、人生」を支えるという思い、複数の医師による24時間体制、いざとなれば入院できるという在宅療養支援病院ならではの安心感によって、地域のニーズの高さを感じています。また、開始から2ヶ月目には在宅でのお看取りも実現することができました。
今後は、病棟や外来とのシームレスな在宅医療への移行や、強みであるリハビリ専門職との連携強化などを一歩ずつ進めていきます。

・コミュニティ作りの取組み

コミュニティホスピタルには、地域住民のみなさんにとって気軽に相談できる場であり、連携の介護事業所など地域のみなさんとのコミュニティを育む場でありたいという理念もあります。

このような理念を実現するための取組みの一つが、地域住民のみなさんが集まれる「あおぞらカフェ」です。
第1回の「あおぞらカフェ」では、地元のパン屋さんや屋台を引く薬剤師さんとの繋がりでパンや薬膳茶を用意しました。天候にも恵まれて、外来の患者さんに加えて、訪問看護ステーションなどの連携先の皆さん、台東区の社会福祉協議会の皆さん、チラシを見て来ていただいた近隣住民の皆さんなど、多くの方に来ていただくことができました。今後も地域の色々な方と繋がった様々な企画を用意して、地域に開かれた病院になっていけるように定期的に開催していくことを予定しています。

4 これからの同善病院・同善会クリニック

コミュニティホスピタルの役割の一つには地域医療にかかわる人材の育成・輩出があります。特に総合診療医の育成輩出はコミュニティホスピタル普及には欠かせません。
しかしながら、総合診療医を育成するための臨床の現場は地域にあるため、都心部の主たる教育機関である大学病院の中だけでは総合診療医の育成は難しいといった側面があります。そのために、東京には総合診療医を育成する役割を担う医療機関はまだまだ不足しています。

コミュニティホスピタルのモデルの一つである豊田地域医療センターではすでに実績を出しつつありますが、地域の患者さんの生活に近い場所で、様々な専門職と協働できるという環境は、総合診療医にとってかけがえのない「学べる場」となります。
同善会はC&CH協会と共に総合診療医の育成・輩出を担うべく、東京におけるロールモデルとなれるように取り組んでいきます。

同善病院の小笠原医師に、コミュニティホスピタルでの働きがい、教育の場としての魅力を語っていただきました。



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