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サントリーの公式Vtuberをこっそり見守る

「時代は動画」とおっしゃる広告部の皆さん、動画観てますか?私は2018年、"動画コンテンツの研究"と称してYouTubeに張り付いていました。おかげさまで沼にハマり、YouTube Premium(月額1180円)にも入会しましたので、残念ながら動画広告は一切流れなくなりました。。

さて、2018年のYouTubeを語る上で欠かせないのがバーチャルユーチューバー、略してVtuberの存在です(Vtuberとは、的な話は割愛)。Vtuberを使うと可愛らしいキャラクターの皮を借りて発信できるし、スキャンダルの心配がない(とされる)ため、企業や地方自治体も積極的に起用を始めています、が、そういった公式系の動画は基本的に"宣伝が主"になりがちなので、ユーザーにとっては別に面白くない。面白くなければ観られない、再生数が伸びなければ企業はお金を使わない、というわけでどんどん失速していくのがほとんどでした(*個人の感想です)。

そんな中、サントリーさんのVtuberの使い方はとっても素敵だと思ったのでご紹介。

※YouTubeチャンネルのヘッダーをキャプチャ↑。青×白で「水」っぽい

サントリーのVtuberは、燦鳥(さんとり)ノムという爽やか清楚系キャラです。正直「企業公式系だしなあ」と食わず嫌いで距離を置いていたのですが、ノムちゃんの動画は「広告色」が強くなく、純粋にコンテンツとして楽しめることを知った。動画内容も、「動画作ったからとりあえずYouTubeあげておくか~」ではなくて、「YouTubeという媒体の空気」に合わせて作られたんだな、と思わせられるものでした。
(YouTubeってニコ動とかTwitterに比べると「開かれた」媒体だと思っていたけど、意外と、ウケる文脈とか暗黙の土台…みたいなのが形成されてるんだな~と毎日YouTubeに入り浸っていて感じました)

たとえば。

▼ASMRで「利き炭酸」/製品・ブランドの宣伝


YouTubeで人気の「ASMR」、いわゆる"音フェチ"と呼ばれるジャンルの動画。きっちりこの人気ゾーンを抑えつつ、題材にした音は「炭酸」!ナイスセレクトだと思いました。というのも、炭酸のシュワシュワはASMR動画の中でも音を想像しやすい&聞きやすく、視聴者を選ばないからです。で、本企画はサントリーの炭酸飲料を使っての「利き炭酸」。これ、THE・宣伝なのに、全然いやらしくなかった。「デカビタC」「C.C.レモン」「ペプシJコーラ」などをグラスに注ぐ音…が紹介され、「この音はどの飲み物でしょうか?」という簡単な問いでシメ。私は、デカビタのシュワシュワが一番好みだな~なんて思いながら楽しんで聞きました。ノムちゃんの可愛らしいボイスや動きも相まって、癒し系な動画になってます。

▼選曲もバッチリな「歌ってみた」/企業キャラのブランディング


ニコニコ動画時代から続く「歌ってみた」系動画は、「曲」を軸に視聴者がぐるぐると回遊するので、人気曲に乗っかればわりと伸びやすい企画だと私は思っている。ただし、当たり前ですが「歌がうまいこと」が大前提!…さてノムちゃんも何本か「歌ってみた」系動画を出していますが、これが超うまい。し、清楚系見た目&ボイスながら、ロックテイストの人気曲「ドラマツルギー」をかっこよく歌いこなすなど、キャラのギャップの見せ方もよい。これでノムちゃんは視聴者の心をグッと掴んだと思うし、実際動画へのコメントも好意的なものばかりでした。というか、MVがめちゃくちゃ凝っていて、サントリーさすがの資金力、これぞ企業公式系の本気、って感じ…!いったいどういうチームで制作しているのか気になります…。

ちなみに、ノムちゃんは119歳の淑女という設定(サントリーの企業年齢と合わせているぽい)なので、YouTube民には「爽やかおばあちゃん」として親しまれています。だから、ノムちゃんじゃなくてノムさんって呼ばれてるんだけど、個人的には野村克也っぽさが強くて違和感があるのでノムちゃんで…。

▼人気どころときっちりコラボ/新規視聴者の獲得


そもそも私がノムちゃんを見てみようと思ったのは、他のVtuberとのコラボ動画を観たからです。もともとノムちゃんの存在は知っていたけど、申し訳ないことに「うーん企業公式系か~」と思ってスル―しちゃってました。なんとなく「広告宣伝用なんだろうな」という印象が頭にあって敬遠してしまっていたし、この"印象"っておそらく視聴者共通なんじゃないかと思う。

そういう人にも観てもらう一歩として、コラボ動画はやっぱりテッパンです。ノムちゃんは、(いまや5000人いると言われるVtunerの中でも)しっかり固定ファンをもつ「ときのそら」「富士葵」「ゲーム部プロジェクト」などとコラボしています。コラボはYouTubeに限らず新規流入としてお手軽施策だけど、ただコラボするだけではコラボ相手のファンに「売名」だと叩かれるリスクもある。そんな中で、ときのそら&富士葵&燦鳥ノムのトリオでの「歌ってみた」動画など、媒体や視聴者の性質を活かした、双方のファンが喜べる企画になっていたのがよかった。

…以上がノムちゃんの紹介。企業公式系だからとスル―していましたが、誠実な活動を続けているノムちゃんには頑張ってほしい。▼単独生放送もやるっぽい。どうなるんだ…

話は飛びますが、私は2018年、eSports(ゲーミングスポーツ)の観戦もがっつりしていました。そこで感動したのが、競技ゲームのひとつである「PUBG」(バトロワゲーム)の国内大会へのスポンサーに、サントリーさんの名前があったこと。まだまだeSports市場は小さいので、大会のスポンサー企業はデバイスメーカーがほとんどです。そこに混ざって(飲料メーカーである)サントリーさんが協賛しているのをみて、イチ視聴者として感謝の気持ちでいっぱいになりました。。協賛してもらえないと大会の運営って絶対できないため、ありがたいなあと、こっそりここでお礼を。。

Vtuberにしろ、eSportsにしろ、投資に対してのリターンが未知である市場にもしっかりチャレンジしていくサントリーさん、応援してます(Vtuberのプロジェクトは、運用は別会社にせよ、社内調整や目標設定などをどうしているのかは超気になる。Vtuberの担当者さんインタビュー記事とか、ないかなー)。

おわり。

このエントリを書いた人:エンドー

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