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「都会生活と雪の山」 #未来に残したい風景

 こんにちは。教育系キャリアコンサルタントのcc.くつひもです。
 キャリアコンサルタントとして感じていること、考えていることを徒然と書き綴ります。stand.fmの音声配信と共にお楽しみください。
 今回は #未来に残したい風景 というnoteの企画に寄せた記事で、僕がいつも愛おしく感じている「雪のある風景」についてです。

わたしたちが生活している環境や自然を守り、未来に残していくために、地球のあちこちで環境保全の取り組みが始まっています。
具体的な取り組みに参加していなくても、自然の美しさを目にしたとき「この風景を未来に残したい」と思ったことはありませんか?

また、ふだんの生活でも、なにげない日常のひとときにしあわせな気持ちになり、「このシーンを未来に残したい」と思ったことがあるひともいるのではないでしょうか。

自然風景でも、日常生活でも。そんな、あなたにとっての「#未来に残したい風景 」についての投稿を募集します。
 note公式 2021年12月27日 11:00
https://note.com/info/n/nc4ffd5eac309

1.人口200万人都市「札幌」

 僕が生まれ育った札幌は、北緯43度、東経141度、北海道の日本海側に位置する、97万7983世帯、197万2586人(2021年12月1日現在 )が住む街です。亜寒帯に属するため、四季が色濃く表れます。冬は寒さが厳しく1月の平均気温はマイナス3.5度、そして積雪が年間4.37メートル(いずれも気象庁データから2012年~2021年の平均)となる寒冷多雪の都市です。
 中心部に流れる豊平川とよひらがわは、札幌市民が使う水道水の98%を頼る大切な水源であり、アイヌ民族が大切にしている鮭が遡上する、母なる川です。僕が幼い頃は、毎年、親に連れられて豊平川河川敷に行き、アシリチェプノミ(新しい鮭を迎える儀式)を見学していました。
 札幌は、この豊平川が作った扇状地に作られていて、豊平川を指していたアイヌ語の「サッ(乾く)ポロ(大きい)ペッ(川)」が、札幌の地名の由来にもなりました。
 ところで、北海道の地名に「別」が使われることが多いですが、これは比較的大きな川を意味するアイヌ語の「ペッ」を漢字に当てたからです。アイヌ語を漢字に当てるとサッ・ポロ・ペッは「札幌別」となり、ここから「別」がとれて、札幌となりました。また、比較的小さな川を意味するアイヌ語は「ナイ」ですので、漢字の「内」が当てられます。札幌市内にも、厚別あつべつ真駒内まこまないという町名がありますし、札幌市に隣接する江別えべつ市、当別とうべつ町、喜茂別きもべつ町など、北海道内各地で「別」や「内」が使われ、人が生活するために必要な河川のそばで町が発展したことが、地名から読み取ることができます。

マジックアワーの鴨と創成川

 札幌市中心部を東西に分ける創成そうせい川は、豊平川から水を引いている人工河川で、石狩いしかり街道(国道231号線、創成川通)に沿って南北に流れています。江戸時代末期に江戸幕府の役人である、大友亀太郎が札幌村を開くときに掘った川として知られています。札幌では、小学校で地域の歴史を学びますが、「大友亀太郎」は必ず覚える人物の一人です。
 さっぽろテレビ塔付近の創成川河川敷は2011年に公園として整備され、今では札幌市民の憩いの場になっています。
 豊平川に近い創成川エリアは、鴨々川かもかもがわと呼ばれます。鴨がいるから鴨々川、というわけではありません。名前の由来は、京都の鴨川に倣って名付けたという説やアイヌ語の「カモカモ(曲物まげもの食籠じきろう)」が由来であるという説、またはアイヌ語の「カム(覆う、木などが生い茂っている様子)」を転用した説など、定説はありませんが、鴨が住む、子どもたちの水遊びスポットとして人気の川です。僕が幼い頃もよく遊びに行きました。

鴨と鴨々川

2.札幌の風景

 札幌は、およそ200万人が住む大きな都市ですが、三方を山に囲まれ、大小さまざまな河川が流れ、キタキツネやヒグマが住む森がすぐ近くにあるような、自然と共に人間の生活圏が作られている町です。特に、降雪量が多く、毎日の雪かきや、交通渋滞、バスの遅延が当たり前、という冬の生活が厳しいにもかかわらず、日本の「住みたい街ランキング」で5位(2021年、賃貸未来研究所調べ)に選出されました。
 僕は、札幌の魅力は四季の彩りです、と断言します。
 冬の白銀の雪景色、雪解け後にタンポポやウメ、サクラなど一斉に花が咲き誇る美しさ、初夏の爽やかな風にたなびくライラックの花やニセアカシアの白い花、青空に舞うポプラの綿毛、秋になると、真っ黄色に染まったイチョウ並木、真っ赤に色付いたナナカマドの実・・・、それらの自然美と都会ナイズされた人工美が、一枚の絵になるよう風景を見ることができるのが、札幌の魅力です。

南一条スクランブル交差点とチンチン電車

3.未来に残したい風景

 僕が未来に残したい風景は、この札幌の風景です。
 特に、冬景色。
 寒さの中に感じる雪のあたたかさ、道端に積み上げられた雪山の高さに感じる冬時計、吹雪の中で感じる小宇宙、街の白いキャンパスに描かれたイルミネーション、と「雪」のある風景が、特に愛おしいと感じます。
 毎冬、雪が高く積み上げられ、車線が丸々一つ除雪のために使われ交通渋滞が日常風景ですが、その日常を切り取った風景を僕は残したいと思います。
 僕ら札幌市民は、雪にまつわる言葉を多く使います。
 初雪、降雪、積雪、根雪、ドカ雪、吹雪、地吹雪、猛吹雪。
 あられひょうみぞれ、粉雪、ベタ雪、牡丹雪。
 着雪、樹氷、雪庇せっぴ、落雪。
 雪かき・雪はね、雪おろし、融雪、除雪、排雪。
 道路のザク雪がザラメ雪になる頃、春が近いと感じます。
 生活に溶け込んだ雪景色が、僕の原風景になっているので、僕は、この風景を大切にしたいという気持ちが強く働くのです。
 確かに、冬が苦手な札幌市民のほうが多いと思います。朝、早起きして雪かきをしないと車を出せない、バスを待っていてもなかなか来ない、風が強い日は屋根の雪庇が伸びる心配が増える、寒いし、水抜きしないと明け方にしばれて(寒すぎて;北海道弁)水道管が凍ってしまう・・・と、冬をネガティブに捉えることが多いと思います。
 しかし、僕はこの「冬」があるからこそ、春・夏・秋の美しさが際立つと思うのです。冬こそ、真っ白なキャンパスを作り「四季彩しきさいの始まり」になると、強く感じるのです。

石狩街道(国道231号線、創成川通)
ドカ雪で高さが倍以上になった雪の山

 都会で人々が生活する場所に自然が入り込んでいる、自然の中に人々の生活圏が入り込んでいる、そういう札幌の冬の日常風景を多くの人に見てほしいです。
 気候変動がもたらす危機について、世界で話し合われています。地球の温暖化が進み、未来の北海道は、もしかすると雪が降らない地域になるかもしれませんし、雪が降ったとしても湿っぽい、べちゃべちゃした雪しか降らなくなるかもしれません。粉雪のようなサラサラと乾いた雪を表す言葉が死語になるかもしれません。
 札幌市民や北海道民の多くは、冬、雪が降っても傘を差しません。粉雪は、ぽんぽんと払えば雪が落ちるからです。冬は傘を持ち歩くことはないのですが、未来の札幌が温暖化によって冬に傘を差して歩くのが日常になる冬の風景は想像したくないですね。

 あなたは、どのような風景を残したいですか。
 それでは、また。ccくつひもでした。

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