車輪でボールを追いかけて 6

かのこさんのサイクルサッカー日記

【2019年11月16日】

先週来ていた小学生と高校生の片方は今週も来ていた。今日は中学生の女子も練習に参加していた。このまま都合のつく日は通ってくれるそうだ。メンバーが増えるのは喜ばしい。

私事だが、先日、親不知を抜歯した。
傷はまだ深く、痛みも引かぬのでおさらい程度に少しだけ乗って、後は大人しく見学しているつもりだった。
二週間あいたら私は多分、乗れなくなる。なので、手放しスタンディングを少しでも。
そう思って、着替えもせずにぼんやりとしていると、中学生のUちゃんに乗り方を教えてほしいと呼ばれた。
基本の動作、バランスの取り方、まずは漕ぎ出して体育館を一周する……のを、サポートする。
諸先輩方からアドバイスをいただきながら、教え方は人それぞれだな、と思う。
ちょっとしたコツだったり、原理だったり、同じ動作でもアプローチの方向が全く違うのだ。一緒に話を聞きながら、自分の中に落とし込む。どういうアプローチが自分にとってわかり易いのか、どういうアプローチが相手に伝わりやすいのか。練習の仕方も、受け取り方も。きっとそれぞれだ。
目標の動作があって出来ない要因を一つづつ潰していくタイプと、目標の動作を設定して一つづつ出来ることを積み上げていくタイプ。Uちゃんはどちらだろうか?
私は後者だ。小学生の彼は前者だろう。
彼は出来てしまうことが多い。それは原理とか理屈とかキホンとかを抜きにして、出来るのだ。大人の動きを見て、コピーする。先ず、やってみる。それだけでもう、簡単なゲームにならついて行ける。ゲームの中で、自分に足りないものを見つけて、それを修正する。
それは才能なのか、他の経験からのアドバンテージなのか、ただただバランス感覚と運動能力が高いだけなのかはわからない。だけど、彼はきっと強いプレイヤーになると思う。
私はひとつづつ積めばいい。少しずつ出来ることを増やして、ゲームが出来るのはゆっくりでもいい。
Uちゃんは、ひとりで乗り出しが出来るようになった。きっと彼女もすぐにスタンディング出来るようになる。

自分も少しだけ乗っておこうと、着替えぬままペダルに足をかける。
ゆっくりと漕ぎ出して、流れるように立ち上がって両手を離して広げる。
先週は戸惑ったが、今週はすんなりと動作が出来るようになっていた。
数十秒静止して、漕ぎ出してまた手放しで静止する。動作を繰り返して、記憶させる。
次はキャッチボールだな。あとは何かもう一つ、後ろに下がるか、フロントを上げるか…何か違う動きを覚えたい。

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