車輪でボールを追いかけて 7

かのこさんのサイクルサッカー日記

【2019年11月24日】

立って乗るのはスルスル出来るようになった。両手を離すのも安定してきた。
でも、サドルに座って乗ると途端に不安定になる。
まあ、シートのポジションが自転車の持ち主によりけりで借りる機材ごとに違うので、自分に乗りやすいものを探さなくてはいけない。(みんな脚が長い)(大体サドル遠い)(シートポストに印付けてポジション変えたい)(いや待ってその前に上手くなって?)(上手くなるには練習するしかないんだよ)(大体サドル遠い)(シートポストに…)ループ!!
私の脚が長くなればいいのに。5cmくらい。ついでに足のサイズも1cmくらい大きくならんかな。ならんか。

慣れたプレイヤーは、“靴を履く”くらいの身軽さでペダルを踏む。あの身軽さが欲しい。


M田さんは世界選手権に出る為、ホイールとフレームを新調していた。
体育館の隅で組み付けしているのを横目で眺めながら、とてもハラハラする。
きっと、サイクルサッカーにはサイクルサッカーの流儀がある……と、思いたい。
私が今まで見てきた“スポーツ自転車”は、わりと繊細で、組み付けも丁寧に歪みなく、ネジのトルク管理もきっちりとする。……そういうものだと思っていた。
Nと二人で唖然としながら、目の前で自転車が組み上げられるその光景に“自分の常識は世間の常識ではない、他人の常識もまた世間の常識ではない。常識というものは存在しない概念だ。”と、何かで読んだ一説が頭の中をぐるぐるする。
そのうちにM田さんの自転車は組み上がって、逆さまにしたバイクのホイールをくるくると回しながら、彼は満足気にこう仰った。
「サイクルサッカーでは、これでセンター出てます。」
「いやいや、全然出てないし。」
勢いよく回転するホイールが綺麗な波を描くように上下左右に振れていた。目が悪く乱視がきつい私でも二度見するレベルである。
ホイールでボールを弾いたり、片輪で跳ねたりするので、調整してもすぐに振れるのはわかる。振れるっていうより歪む。わかるわかる。
スポークが一本くらい無くても平気。…うーん…まあ、崩壊することはないだろうけど。
いくらなんでも振れすぎじゃろ……。
思わず突っ込むと、流石にダメかーと、ざっくりとした振れだけ直して完成させていた。
他の自転車競技と違って、サッカー車にそこまで厳密な管理が必要なのかは私にはわからない。でも、ホイールは別としても、もう少しハンドル周りやBB周りに気を使って組み付けをしたら、多少の手間はかかるだろうけど乗り味はより良い方向に変わるのではないだろうか?
クラブの自転車にはいくつかハンドル周りの動きが渋い(気がする)ものがある。プレイには影響ない程度だろうけど、みんな力技でそれに慣れているだけの可能性もある。
だけどその些細なことで、よりスムーズに動けるのなら、それは手入れした方が良いのではないかと思う。

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