恋愛未遂

恋愛小説の様なものばかり書いているわりに、私は、恋に疎いと思う。

誰かを好きになることはあっても、それは人間として好きな（なんなら、嫌いな部分も当然ある）わけで、恋をするわけでは無い。

だから、相手の好意に触れたときに、自分と同じように《人間として好き》というカテゴリで解釈してスルーしてしまう。
はっきりと言葉で伝えてくれた場合は、はっきりと言葉で返すけど。

いわゆる《空気》は読めない。
読めないので、私にとって好意を向けてくれる人間は、皆、親しい距離の友人として分類されることになる。

「恋愛未満じゃなくて、恋愛未遂だった。」
いつか《友人》に言われた言葉を思い出す。
確かに。
彼の恋は未遂に終わったのだ。
多分。私の預かり知らぬところで。

主人との二人の生活も、特に恋から始まったわけではなく。ただ、なんとなく楽だからという理由で私たちは結婚した。

そこに愛はあるかと問われたら、YESだ。
でも、恋があったのかどうかはわからない。