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【読書感想文】『汝、星のごとく』を読んで

キャリアコンサルタントの”きゃっさん”です。

今回は読書感想文を書かずにはいられなかった作品、
『汝、星のごとく』について超絶主観的に感想を書き綴りたいと思います。

まず、私がこの本の帯にコメントを載せれるなら、
「読了したはずなのに、また1ページ目を読み始めてしまう不思議な作品」と書くでしょう。
きっと読んだ人、全員が最初のページを読み返したと思います。

ストーリー展開は、簡単に先が読めてしまうような内容なのですが、物語の結末が私の想像通りなのかを確かめたくてページをめくる手を止めることが出来ませんでした。
加えて、作者のワードセンスが私と合い、登場人物の心情や情景を想像しやすかったのも読みやすいと感じたポイントかもしれません。

「ほな、手持ちのカードの中から一番譲れんもんを選ぶしかないやろ。」

『汝、星のごとく』p.52

私は、櫂のこのセリフに2つの観点から共感しました。

感想①キャリアコンサルタントとしての共感

1つ目は、キャリアコンサルタントとして進路選択をサポートするうえで、生徒が自身の価値観に気付くことは、とても重要だからです。
本人が何を大切にして生きていきたいかを決めなければ、何も始まりません。

転機が来たら4S確認!!!

ここで活用するのは心理学者であるシュロスバーグさんの“4Sモデル”です。
シュロスバーグさんは、人生の転機を迎えた時には、以下の4つの資源(リソース)を点検することを勧めています。

①Situation(状況)
まず、自身の置かれている状況を整理します。
何に不安を抱えているのかを明確にすると先に進みやすいです。

②Self(自己)
自己分析を行います。
自分がどういう人間なのか、どのような人生を生きたいのかを整理します。
この時、前向きな夢や目標を明確にできると良いですが、何も思いつかない時や、難しい場合には「絶対にこうはなりたくない!」という将来像を書き出すこともとても効果的です。

③Support(周囲の支援)
転機を乗り越えるためや、夢を叶えるために周囲からどのようなサポートを受けることが出来るのか。
精神面で応援してくれる人は居るか、経済的な支援は見込めるかなどを誰からどのような支援が見込めるのかを整理します。
誰からも何も支援が見込めない場合は、公共サービスなどで何か支援があるかを探します。

④Strategies(戦略)
どのように行動していくのかを考えます。
①~③で整理した状況を踏まえて、何から始めるのか、いつまでにどの程度の行動を起こすのかを決定します。

私は人生の中で選択を迫られた時に、現実的でより理想に近いのは、どのカードかを見極めるために活用するものだと、解釈しています。

物語の中で、暁海が父親に学費を出して欲しいと頼みに行くシーンは、まさに③Support(周囲の支援)をしっかりと見極めた場面だと思います。
そして、④Strategies(戦略)を考え、決定します。
しかしながら、母親への想い(価値観)から④Strategies(戦略)を変更することになるのです。でも、これがリアルですね。
この場面で、同じ方向を向いていた櫂と暁海の価値観の違いが浮き彫りになり、私はとても切ない気持ちになりました。

「誰かに言われたから」「親がその仕事に就いていたから」「なんとなく向いていると思ったから」などの理由で進路を選択すると必ずミスマッチが起こります。
このような状況にならない為にも、自己分析に時間をかけて、自分が本当は何に興味があり、どのような将来を描きたいのかを考える必要があります。
そして、以前記事にも書きましたが、より良い選択をするためには、なるべく多くの情報を収集し、視野を広げることが重要です。
幸い、現代社会にはインターネットが普及し、情報が集めやすい時代になりました。
たくさん調べていく中で、新たな出会いもあるでしょうし、想像していたモノと違うと気づく場合もあります。

感想②同志としての共感

2つ目は、難ありの家庭環境で育った者としての共感です。
物語の中で、母親たちの状況が描かれた場面は安易に想像できました。
きっと、現実で似たような場面に数知れず遭遇してきたからだと思います。

櫂の言った手持ちのカードから選ぶということは、その選択と同時に他のカードを捨てる事を意味します。
その選んだカードが正解かも分からないけど、他のカードを保険で残せるような余裕はありません。
どうにかこうにかして、自分の選んだカードで自分の人生を軌道に乗せるしかないのです。

私は、どちらかというと22歳で櫂のような選択をしましたが、後悔はしていません。
親や家族に対する価値観は、幼少期からの生活環境で決まります。そして、学校生活で出会う人々によって多様な価値観があることに気付き、自分の家の不思議さや不便さ、不憫さを知ることになります。

私は高校で地元を離れたことにより、視野が広がりました。
少しでも環境を変える事は、出会う人を変え、価値観を変えていくキッカケになります。

~最後に~

「いつまでこの生活が続くのだろう」
そう思っている子ども達へ伝えたい事があります。
家族から裏切り者だと罵られても、自分が自分の信念を裏切らない限り、自分の幸せは手に入るということです。

自分の人生を生きたいように生きることは、悪い事ですか?
きっと大切な人に問われたら、あなたは言うでしょう。
「悪い事なわけない。だって1回きりの自分の人生やん。」
自分で自分を励ましたり、鼓舞することは安易ではありません。
しかし、もしも自分の大切な人が同じ環境に置かれていたら、優しいあなたは相手が安心する言葉をかけてあげるはずです。
だから、お願いします。
自分自身にも優しい言葉をかけてあげてください。

暁海のように、すぐに手には入らないかもしれない。
けれど、必ず転機はやってきます。
その転機が来た時に、すぐに走り出せるように諦めずに今を生きて欲しいです。

あと、これは余談ですが、銀行の前で櫂の母親が暁海に「都合つけてくれへん?」と言う場面が、とても上手く描かれていました。
経験したことがある人には共感してもらえると思いますが、あの空気感は久しぶりに会った友人がネットワークビジネスを話し始める空気感にとても似ています。
社会人になったら、こちらにもお気を付けくださいね。笑

それでは、まだまだ書き足りませんが、これ以上長くなると誰も読んで下さらないかと思いますので、この辺で失礼します。(・ω・ノ)ノ
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


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