個人的にここが好き!ラヴェル♪管弦楽のための舞踏詩《ラ・ヴァルス》

今回は吹奏楽・天野正道編曲版で初演奏するラ・ヴァルスについてみていきたいと思います。
この曲は非常に難しく苦戦しているのですが、この曲の生い立ちだけでも見て少しでも好きになれればと思います。

今回参考にしたのは全音楽譜出版社出版の『ゼンオンスコア ラヴェル:ラ・ヴァルス』です。

○モーリス・ラヴェル
1875-1937年までフランスで生きた作曲家で、20世紀音楽・近現代音楽に分類される作曲家です。
他にはドビュッシーやストラヴィンスキーがいます。
ラヴェルの有名作品は、1928年に作曲したバレエ曲《ボレロ》です。
様々なバレエ振付がありますが今回はこちらで

また、ムスゴルスキー作曲《展覧会の絵》をオーケストラ編曲したのもラヴェルです。

○ラ・ヴァルス
モーリス・ラヴェルが1919年12月から1920年3月にかけて作曲しました。

この曲はウィンナーワルツを手本に作られている曲です。構成的に似ているのはシュトラウスⅡ世のワルツ《ウィーン気質》と思います。
ひとつの曲の中にヴァリエーションがいくつかあって、Ver.1が基本形、そこから展開されて曲が進行していくものになります。

○題名の過程
構想が生まれたのは1906年、シュトラウスⅡ世への敬意を評してオマージュ作品を作ろうと決意します。この時点での題名は《ウィーン》でした。
この時点では交響詩として作曲していました。

1914年に起こったサラエボ事件からの第一次世界大戦がウィーン一帯を中心に起こります。
終戦後の1919年までラヴェルは《ウィーン》ほかの作曲を中断していましたが再開。そのころロシア・バレエ団のセルゲイ・ヂアギレフからバレエ音楽の依頼があり、《ウィーン》を使い作曲していこうとなります。
ここで題名問題ですが、ヨハンシュトラウス一族は宮廷音楽家でしたので、第一次世界大戦の原因になった宮廷に触れることはまずいと思ったのか、表題を《ラ・ヴァルス》に変更します。意味はそのまま「ワルツ」です。
最初はピアノ独奏版と2台ピアノ版が作曲され、その後オーケストラ版ができます。
セルゲイ・ヂアギレフにはピアノ版を聴かせたのですが不評でバレエ上演は実現しませんでした。

公の初演は、ピアノ版が1920年10月ウィーンにて。
オーケストラ版が同年12月にパリにてラムルー管弦楽団によって演奏されました。

その後もバレエ版を実現しようと、マーラーの未亡人(旦那さんが死去後、再婚していない婦人)であるアルマが尽力したが実現せず。しかし1926年にベルギー、アントワープの王立フランドル歌劇場(KVS)で初演されました。

○ヴァリエーション一覧
先述の通りこの曲はウインナーワルツを参考に作られています。
その特徴はヴァリエーションがあることで、この曲は
序奏


ワルツ1 ニ長調


ワルツ2 ニ長調


ワルツ3 変ロ長調


ワルツ4  変ホ長調


ワルツ5 ヘ長調


ワルツ6 ヘ長調


ワルツ7 ニ長調


ワルツ8 変ロ長調


ワルツ9 イ長調


で構成されています。(残りの再現部はカウントされないんだと思いました‥おそらく今までのVar.の要素回収の側面が多いのでまとめなのかなと。)

○個人的にここが好き
ワルツVar.2
ここから先は明確に、踊りやすいワルツで進んでいきます。
やっていて楽しい‥やり甲斐がありますね!
かつVar.が進むにつれ調が移り変わっていくので演奏する側も聴く側もその移ろいを感じられることがこの曲の最大の魅力と思います。
これは前段階の情報で載せたかったところですが、ベートーヴェンなどの古典派やロマン派辺りまでは『暗から明へ』つまり短調から長調、静かな感じから派手に終わるのがセオリーでしたが、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》よりその反対の『明から暗に』が出てきます。
ラ・ヴァルス曲はタイムマシーン(過去に遡る系)音楽です。
R.シュトラウスの《ばらの騎士》やプロコフィエフの《シンデレラ》などがそうですが、破滅へ向かっていくさまを表していて、そこを楽しんでいただければと思います。

○いろんな演奏
・ピアノ独奏

・ピアノ連弾

・オーケストラ

・バレエ

・吹奏楽

今回は吹奏楽で演奏してきますが、オーケストラ版より技術的に難しいため、この曲をやった吹奏楽の方々がオーケストラを嫌いにならないで欲しいと切に思って締めたいと思います。


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