In Dubious Battle
Kindle版スタインベック全集の5個目、邦題は「疑わしき戦い」1936年の作品です。2016年に映画化されたそうです。
1930年代の世界恐慌下のアメリカ、カリフォルニア州のりんご農園で働く労働者達のストライキの様子が描かれています。Wikipediaの「疑わしき戦い(映画)」によると、主人公のジム・ノーランは労働者の一人となっています。本では労働者に変わりないですが、少し前に別の場所で共産党に入党していて、しばらくしてから先輩のマックに連れられてターガス郡へとやって来ることになっています。ストライキを指導せよとの党の指令でした。
貨物列車を乗り継いで目的地にやってきた二人。うまく、りんご農園の労働者の中にもぐりこみます。労働者達は賃金カットされて頭にきています。ある年寄りのフルーツピッカーが、はしごから落ちて腰を打ち大騒ぎとなります。これがキッカケとなってストライキが始まりました。マックはどんどん動いて組織化していきます。オルグですね。
ボクが、勤めていた会社の労働組合の役員をしていた時、解雇された雇員が共産党系の労働組合に個人加入して、そこのオルグ2名が会社に怒鳴り込んでくるという事件がありました。不当解雇だというわけです。課長との間に悶着があったようです。この課長はポンコツです。
それはさておき…
マックとジムの率いるストライカーの相手は、臨時雇いの副保安官(デプティ)達と自警団員達です。労働者が働かないとりんごが悪くなってしまうとは言っても、相手はライフル、ショットガン、マシンガン、催涙弾で武装していて、平気で撃ってくる人達ですから勝ち目はないですよね。読んでいて楽しくはありませんでした。
しかし、こうした犠牲のおかげで労働者を保護する法律ができたのですから、ジョイやジム(のモデルとなった人々)の死は決して無駄ではないと思います。この物語は楽しくはありませんが、意義のあるものだと思います。
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