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Tortilla Flat

 Kindle版スタインベック全集の4個目、1935年の作品です。邦題は「おけら部落」とか、「トーティーヤ・フラット」となっています。スタインベックの出世作だそうです。

 Tortilla とはトルティーヤのことだそうです。といってもボクはあまり食べたことはありません。すり潰したトウモロコシから作る、メキシコ、アメリカ合衆国南西部および中央アメリカの伝統的な薄焼きパンだそうです。
 Flat は平原とか平らな土地とでもいう意味でしょう。Tortilla Flat と冠詞が付いていないので地名だなということがわかります。カリフォルニア州はモントレーという町のはずれ、深い森に通ずる丘陵地帯のことのようです。港に面した平らな土地に住みたいけど住めないパイザーノ達の家のある地域らしいです。

 正直なところはじめは、自堕落な浮浪者の生活を見せられているようで不快でした。中盤、慣れてきたのか普通に読み進めるようになり、終盤には良いかもしれないと思いました。若かったら我慢できずに途中で投げ出していたかもしれません。

 というのも、以前読んだジェームズ・ミッチェナーという人の「センテニアル」という西部開拓もので、ビート農場の労働者として来たなかで、日本人は働き者で子どもの教育に熱心であるのに対し、メキシコ人は怠惰で酒ばかり飲んでいると書いてあったように、ボク達日本人とは合わないのだろうと思います。

 地の文に、たまに「I」が出てきて驚きました。作者の語りであるというていでしょうか。


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