My Father’s Daughter
カニグズバーグの7冊目はミステリーです。邦訳版の題名は「謎の娘キャロライン」、1976年の作品です。犯人探しではなく、示された謎の答えが最後に明かされる、という感じです。8〜12歳向けとありますが、充分な手応えがあって、とても気に入りました。オススメです。
ペンシルベニア州ピッツバーグ市にある高層ビルの、とある重役室、窓からアレゲニー川が見えるそうです。ここで男女二人が会話しています。1952年から53年の出来事を振り返っているのです。男は当時中学生だったウインストン・カーマイケルのようです。その17年前に誘拐されて、死んだと思われていた彼の姉が家に帰って来たのが1952年だったそうです。1976年の24年前ですね。
さて、姉のキャロラインは本物なのでしょうか。読み進めるうちに、そんなことよりむしろ、会話している二人の、女のほうは誰なのかが気になりました。思った通りではありました。
ネタバレは控えて、気になったところを三つ書きます。
クリスマスにウインストンが妹にあげた本が、the Rubaiyat of Omar Khayyam とあります。ググったら、ウマル・ハイヤームのルバイヤートだそうです。ペルシャの詩人で、欧米では人気のようです。覚えておこうと思いました。
第10章に Forbidden Games という映画を見たことが出て来ます。「禁じられた遊び」ですね。泣けてきます。ポーレットとウインストンの妹とが重なります。
106ページに、盆栽の枝のようにゆがんだ人差し指という表現が出て来ます。日本の盆栽は、アメリカの少年少女の常識となっているのねと、感慨がありました。または、作者が盆栽を広めるために意図的に使っているのでしょうか。
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