だんゴリ

　彼女が僕の部屋に引越すと言うので、彼女の部屋の片付けを手伝った。捨てる物の中に年季の入ったゴリラのぬいぐるみが居た。

「これ捨てるの？」 

「もうボロボロだから『だんゴリ』は」

ん？だんごり？この子の名前か。おでこに段がついてるから『だんゴリ』小１の時おばあちゃんに買ってもらってからずっと一緒。

  彼女はとってもおばあちゃん子だった。初めて聞く話だ。思い出をずっと楽しそうに話してくれた。

「捨てずにうちに連れて行こうよ！」

うちの二人の子供はマイぬいぐるみを抱えてベッドで寝る。親子は似るもんだ。今、だんゴリはセーターまで着せてもらって寝室に居る。奥さんにとってだんゴリはおばあちゃんなんだね、よく話しかけて笑ってる。 

　僕は会えなかったけど、おばあちゃんに見守られている気がする。ありがとうございます。でもきっと、だんゴリも僕に感謝しているはずだ。あの時止めてくれてありがとうって。