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「普通じゃない」という罪名

日本で2年間近く働いている。

この2年間、「そろそろ普通になってほしい」と両親に言われ続け、圧がだんだんと強くなってきた。私は「普通」ではないので、両親は毎日気分が憂鬱で、私のことが心配で一晩中眠れないらしい。

「普通」ではない私という存在が親を不幸にしているようだ。そして私は親を苦しめていることで罪悪感を抱えている。親から「不安で夜が眠れない」「心配で気が重い」とメッセージが来る度、

「全部私のせいだ」

と思ってしまう。

しかし私は至って普通のつもりで生きてきた。真面目に勉強して、誰にも文句を言わせない大学を卒業し、さらに誰にも文句を言わせない大学院を修了した。社会人になってコロナ禍の中でも右肩上がりのITベンチャーで財務の仕事をしている。毎日ちゃんと三食食べてお風呂に入って八時間寝る。趣味は音楽鑑賞。友達はどちらかというと多いほう。

そんな私はどうやら、両親からみると「普通」ではないらしい。彼らがいう「普通」は、高すぎない学歴を持って、母国で時々サボれる仕事をして、ほどよいタイミングでほどよい男性と結婚すること。あえていえばほどよい男性と結婚さえできれば学歴も仕事もどうでもよい。

「まわりの人と同じような、普通の人生を歩んでほしい」。親にとっては祈りのような、私にとっては呪いのような言葉。自分の生き方を貫きたいが親を傷つけたくない。そう思っている中、そもそも自分の生き方って何?がまだはっきり分かっていない。仕事が辛くて母国に帰りたい、と思ってしまう瞬間ももちろんある。そんなジレンマから脱出する方法が分からず、相談できる人もいない。みんな慰めてくれるけど、「わかるわかる」と言える人がいない。

「それなら僕はいつだってここで悪目立ちしてよう」と言えるならカッコ良いオチになるだろう。しかし私は本当の意味で普通で、ただの弱い人。今できることは気を紛らすためにここで文章を書いて問いを投げるだけだ。それでも、良いだろうか。


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