量子力学は現実創造論を裏付けない その1

ひさ

占い師がいう話ではないんですが、現実創造論で必ずと言っていいほど引き合いに出されるのが量子力学。ただ、ほんのり概要を知っているだけのワタクシでもこれにはずっと違和感があったわけです。

量子力学って要は原子とその周りを回っている電子の動きを記述するための物理学的なお話であって、それがスピリチュアル寄りの話になる現実創造とどうつながるんだ、と。で、現実創造論を振り回す割と有名な人たち(本書いてる人やYouTuberなど)も「量子力学で証明されてる」とは言うものの、具体的にどう関係があって、だから現実創造って現実に起こるんだよ、とは誰も説明してないんですよね。

なんですが、これをどうおかしいのかを説明できなかったんです。全体像がわからなかったので。でも、この間ちょっとしたことで全体像が把握できたので、「なるほど、だから現実創造論の人たちは量子力学で証明されてると言ってるわけか」と理解できました。もちろん、全然裏付けになってないことも理解できたわけですが。

ということで、長くなるんですが、量子力学とはなんぞや、的な話と「だから現実創造と関係ないんだよ」の話をつらつら書いていこうと思います。

そもそも量子力学とはどんなもん?

では、さっそく量子力学とはいかなるものなのかを理解できた範囲で説明していこうと思います。

ざっくり言うと上に書いたように、地球上にあるあらゆるモノを構成している最小単位であるのが原子と呼ばれるもの(その原子もさらに分析すると陽子と中性子にわけられるんですが置いておきます)で、その原子の周りにはいくつかの電子が取り囲んで回転しているわけです。

ここからややこしい話になるんですが、この電子の回転っていうのは例えば日常見ている物理現象で見られるような「こういう感じにこのくらい回っている」というのが確定事項として存在しません。その上、理解しにくいところではあるんですが、電子って同時にいくつかの場所に存在する状態があるんです。原子Aの周りを回っている電子aっていうのが、場所Xと場所Yと場所Zに同時に存在し、自転している状態があり、それぞれ場所Xで右方向に自転している可能性が何%、場所Yで左方向に自転している可能性が何%、という具合に確率で示されます。

この状態を「状態の重ね合わせ」と呼びます。日常空間の話で例えれば、Cさんという人は東京にいると同時にサンフランシスコにもいるわけで、かつ片方は全力疾走していますが、片方は爆睡している、という状態が同時に起こっているという解釈になります。

そして、この電子の状態を導き出す方程式があります。それを「波動関数」と呼びます。ここで初めて現実創造によく出てくる「波動」という言葉が登場します。

で、さらにややこしい話なんですが、この確率で状態が示されるのは人間ないし観測可能な機器が電子の動きを「観測していない場合」に言われる話です。人間や観測機器が電子の動きを「観測した場合」は電子の位置というのは観測した時点の位置と振る舞いが確定します。これを「収縮」と言うらしいですが、要は見えないものはどうふるまっているかわからんけど、目にすれば何がどうなってるかわかるよね、という話ですね。

厳密に言うといろいろ問題があるらしいですが、シュレディンガーの猫の実験がこれをわかりやすくしてます。箱の中に猫を1匹入れて、放射性物質と放射性物質が崩壊したときに毒ガスを放出する機械を入れておきます。1時間あたりの放射性物質崩壊の確率が50%として、1時間以内に崩壊すれば当然猫は毒ガスを浴びて死ぬわけですが、同様に放射性物質が崩壊していない可能性も50%あるわけで、この場合猫は死にません。これは箱を開けない限り猫が死んでいる状況と猫が生きている状況が重なりあって存在しているわけです。ですが、箱を開けたその時点で猫の生死は確定します。

つまり箱を開けない限り、猫の生死は確定しないわけで、箱を開けて初めて猫の生死が確定=人間が観測した結果を認識する、ということになります。電子の振る舞いもこれと同じ事が言える、というお話なんです。

ここまでが量子力学の基本的かつ全体のごく一部を表すお話になります。これだけだと現実創造と何の関係もないじゃん、と想われると想いますが、その通り、ここだけ見ると関係ないんです。だからここを知っていたワタクシは現実創造で量子力学を引き合いに出すことに違和感があったわけです。

原子のもうひとつの性質

原子というのは上に書いたように、電子の振る舞いに関して不確定要素を持ちつつ、観測するとその時点で状態が確定するという日常意識されている物理現象とはまったく違う特徴を持っています。

もうひとつ、特徴的な性質があります。この部分が現実創造論に関わってくるお話になります。

原子というのは粒子として振る舞いつつ波動として振る舞うという性質を持っています。簡単に言えば原子というのは極小の粒であり、同時に動きとして波のような性質も持っているという話です。

電気を考えてみてください。もちろん目に見えるものではないですが、「電気が流れる」と言うくらいで、電流とは流体であると考えられていました。ですが、実験によって否定され電子と呼ばれる粒の流れであることが証明されます。ここから広く考えて物質を構成する原子とは極小の粒である粒子であると思われてきました。

ですが、一方で光を考えたとき、光の原子である光子は相互に干渉したり回折といった現象を起こすことから、波動であると考えられていました。この時点では原子とは2種類あると思われていたんですね。

が、光子も実験を重ねたり、理論で考えた場合粒子的な性質を持っていることが判明し、一方電子もまた粒子的な振る舞いをするだけでなく、波動的な振る舞いをすることがわかりました。つまり、原子とは粒子であり波であるということがわかったのです。

ここで有名な実験があります。二重スリット実験と呼ばれるもので、光(厳密には光を構成する原子)を照射する機械を設置し、定距離にスリットの開いた板を設置して、板の向こうにスクリーンを置きます。照射された光はスリットがひとつの場合、スクリーンにはスリットと同じ形状の光の帯ができます。

では、等間隔でもうひとつスリットを作った場合、そこに光を照射するとどうなるでしょうか。一般的に考えればスリット2つ分の光の帯がスクリーンに現れると思うでしょう。ですが、実際にやってみると濃淡のある縞模様が映し出されます。

スリットを水面と直角に触れるように設置し、スリットに水を通すとどうなるか、を想像してもらうとわかると思います。水はスリットを通ると波が発生して水面に波紋ができ、スクリーンには光と同じく濃淡のある縞模様が映し出されます。

これはどういうことかと言えば、水がスリットを通ると相互に干渉し合っているからです。同じように光も波の性質を持っているので、光子がスリットを通過するとお互いに干渉し合い、結果として濃淡のある縞模様が現れるのです。

では、照射機の光量を絞って、光子を1つずつ照射するようにするとどうなるでしょうか。普通に考えると、光子は1つずつ照射されているので、光子同士が干渉することはなく、スリットに沿って光の点が現れると思えます。ですが、これもやはりスクリーンには縞模様が現れるのです。

光子は照射されてからスクリーンに当たるまで、常に動いている状態であるはずです。人間なり機械なりが観測するのは「スクリーンに当たった光子」であり、スクリーンに当たるまでの光子の振る舞いは波動関数でしか表すことができません。1つの光子は1つの波動関数で表されるため、一見干渉し合っているように見えなくても、実は波動関数が干渉し合い、結果として縞模様が発生するのです。

それならば、ということで光子の軌跡を照射からスクリーンに当たるまで観測してみると、スクリーンには2つの光の帯が映し出されます。これは、光子の軌道を「観測」しているためで、その結果光子はひとつのある状態に収縮します。光子はスリットを通過する際にひとつの確定した状態になっているため、光子が持っている波動関数はお互いに干渉できなくなり、スクリーンには光の帯ができるのです。この観測を止めるとスクリーンには縞模様が映し出されます。

これによって原子には粒子性と波動性の2つの性質を持っていることが証明されたのです。

続く

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