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日帰りで行ける、完全な非日常

日常にちょっと疲れた。非日常に行きたい。
何か突破口が欲しい。目の前の問題から離れてリフレッシュしたい。

という時、ありますよね。でも、旅行を計画するにはある程度の気力と体力が必要です。そして「あー旅行いきたい、でも時間がない」と言っている間にまた疲労が溜まっていきます。

実は、そんな負のループを打破する、日帰りで行ける、非日常空間があります!それが美術館です。

○ 非日常空間はすぐそこにあった

そもそも「非日常」とは。

「非日常」とは、(中略)日常生活は一般的に繰り返されるルーチンや慣習に基づいていますが、非日常はこれらのルーチンからの脱却を意味し、新鮮さや刺激、冒険をもたらすことが多いです。

ChatGPT4 2023年12月時点の回答

そうそう、ルーチンからの脱却、新鮮さ、刺激。これです。
難しいのは、これらを得ようとすると、旅行に代表されるように、相応の気力体力が必要なことです。

そこで、提案したいのが美術館です。多くの美術館には、常設展に加えて、期間限定の企画展があります。企画展では、美術館がその時掲げるテーマに沿って、作品が展示されます。テーマ設定・展示する作品の選定・展示方法(カテゴライズや順路)に美術館のセンスやポリシーが色濃く出るのが企画展です。
つまり、企画展は「見たことのない世界・ストーリー」を毎回新しく編集し、提供してくれているのです。

○「理解」は不要。没入できるインスタレーション

なかでも私のおすすめは、西洋美術などの古典よりも現代アートです。

現代アートというと、「難解」「意味不明」「高尚すぎてついていけない」といった印象をお持ちのかたも多いのかなと思います。私自身がそうでした。が、少しずつ現代アートに触れるうちに、

意外とそうでもない!ごくフツーの人のためのものじゃないか

と思うようになりました。

現代のアーティストは、既成概念を打ち破り、新しい物事の味方や価値観を探究しています。
そして、私たちが非日常を求めるのは、慣れきってしまった日常にメスを入れて、何かを変えたいと願うからですよね。現代アートは、まさにそんな私たちにヒントをくれる存在なのです。

展覧会のホームページやパンフレットには、日常で使わないような取っ付きづらい単語が並んでいたりします。私はこれで現代アートを敬遠していました。でも、その難しい言葉の意味はいったん脇に置いて、まずは作品を見てみてください。自分の中に、小さくても必ず何か変化があると思います。

現代アートのなかでも、突出して非日常感を高めるのが「インスタレーション」です。「インスタレーション」とは、(屋内・屋外に関わらず)空間を使ったアートで、鑑賞者が入りこんだ「空間」そのものが作品です。壁や天井、床をめいっぱい使ってオブジェを置いたり、上からつるしたり、時には音や光や風も駆使して、独自の世界が表現されています。

12/25まで国立新美術館で開催されていた大巻伸嗣氏の個展にて。100mくらいの巨大なベールが暗闇の中で風に波打っている

11月某日、この不思議に揺れる布?を眺めて30分くらいぼーっとしていました。笑 空間に一歩踏み入れた瞬間にするっと別世界に放り込まれました。こまごまとした仕事や雑事から解放されて、心がすぅっとシンプルになっていきます。
写真の展覧会サイトの解説も引用しておきます。

大巻の空間に包み込まれた私たちは、この世界における我が身の存在に、新たな視点を投げかけることになります。空間に痕跡を残すことで自らの身体を実感し、また、闇に包まれたり、強烈な光に照らされたりすることで、身体だけでなく、意識や感覚に、内省的に向き合うことを促されるのです。

国立新美術館公式サイトより

○ さらに楽しむための準備

スマホで10〜30分、美術館までの移動中でも十分間に合います。それは、下調べ。事前に対象アーティストのインタビューや、キュレーター(展覧会の企画者)の解説記事を見たり読んだりすると、「おーこれがあれか」というアハ体験的な感覚が得られ、より楽しめます。

様々なアーティストのインタビューを見ていると、まず「伝えたいこと」「感じてほしいこと」があり、それをどうやったら効果的に表現できるかを模索し、伝える手段としてアートを選んでいるということがわかります。
ぶっとんだ表現で鑑賞者を驚かせるアーティストも、インタビューではごく平易な言葉で話している人が多いです。制作裏話(苦労したこと・作品テーマの理由など)や、日頃考えていることがアーティスト自身によって語られ、アートをより身近に感じる事ができます。

展覧会によっては、小学生でもわかるような丁寧な解説が示されている場合もあります。キュレーターの解説はまるで翻訳者のように、アーティストと鑑賞者を繋いでくれます。読むと、ぐっと作品が面白く、手触り感のあるものになります。

インタビューや解説記事へのアクセスは、だいたい以下がメジャーです。

・美術館の企画展サイトの「みどころ」を読む
・YouTubeで対象アーティストの解説動画を探す
・Eテレの日曜美術館(日曜 9:00~)で行きたい企画展の回を見る
・「美術手帖」のサイトで企画展の特集をチェック

※ちなみに日曜美術館で紹介された後の企画展はめっちゃ混みます。。

○ 展覧会情報をチェックしよう

美術館や企画展は(特に東京には)沢山あるので、選ぶのがちょっと大変かもしれません。私は、Xで関連アカウントのリストを作って時々眺め、ぱっと見で気になる展覧会に目星をつけています。

・近くの美術館の公式アカウント
・Tokyo Art Beat @TokyoArtBeeat_JP
・美術手帖 ウェブ版 @bijutsutecho_
・美術展ナビ @art_ex_japan

ぷらいまり。さんのnote記事も、開催中の展覧会が纏められていてとても参考になります。こちらのカレンダーめちゃめちゃ助かりました。。

○ 都内の現代美術館リスト

美術館ごとの特色を楽しむのもまた一興。私なりの印象をまとめます。

(1)初心者にフレンドリー!森美術館(六本木駅)

森タワーの最上層にあります。社会問題をテーマにした企画展が多く、それでいて(だからこそ)、アート初心者にもとてもフレンドリーな美術館です。作品ごとの解説文が充実していて、企画展ごとに初心者にとってもわかりやすい音声ガイドもあります(スマホでQRコードを読み取り、自分のイヤホンで聴くスタイル)。平日に行ったら、小学生の課外授業に遭遇したこともあります。

美術館には珍しく、休館日がすごく少ない(年末年始も開業)と思っていたら、それは、創設者の森氏の「来館者がいつでも楽しみ、刺激を受け、そして対話が生まれる場所でありたい」との想いからでした。素晴らしすぎる。。この言葉からも分かるように、様々な人に寄り添い、社会とアートをつなごうとする強い想いを感じる、そんな美術館です。

(2)子供にフレンドリー!東京都現代美術館(清澄白河駅ほか)
2019年にリニューアルオープンした美術館。1995年に設立され、5000点を超える豊富なコレクションをもとに、新たな切り口での企画展を次々と展開しています。

受付でベビーカーの無料貸出しをしていたり、離乳食もあるキッズウェルカム(しかもおしゃれ!)なレストラン「100本のスプーン」があったりと、ファミリーにもとてもフレンドリーです。娘はこのレストランのキッズプレートのスープが大好きで、グビグビ飲んでいます。笑
今年開催されたクリスチャン・ディオール展は大人気で、行くことは叶いませんでしたが、こちらのデイヴィッド・ホックニー展は娘と楽しむことができました!

お絵描き大好きな娘。茶目っ気たっぷりのホックニー氏の自画像を見て「このおじいちゃんが描いたの!」と興味津々
大きすぎてカメラに収まりきらない、iPadで描いた大作!

(3)新作が豊富!国立新美術館(千代田線 乃木坂駅直結)
東京都現代美術館とは対照的に、コレクションを持たないため、常設展・コレクション展がない=新作を含む企画展が充実!な美術館です。無料のベビーカー貸出、月に3回 託児サービスの実施もあり、ファミリーフレンドリーです。
とにかく広大な展示室があり、先に紹介した大巻伸嗣氏の特大ベールの個展もこちら(しかも無料、、)でした。
黒川紀章氏の設計の個性的な建物も大好きで、行くだけで癒されます。3階建ての各階にカフェ・レストランがあり、3Fには有名なフレンチ「ポール・ボスキューズ」があります。食事をしに行くだけでも楽しいです。

こんなところでフレンチ、なかなかない!


上記の美術館では企画展が複数あることも多く、お目当ての企画展じゃない方に惹かれた、ということもよくあります。そんな偶然の出会いもまた、日常に新たな刺激になっています。
一人でも、家族でも楽しめる美術館。週末に、有給に、ぜひ行ってみてください!


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