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大学生はすごい

 大学全入時代である。つまり、誰もが大学に行ける。金銭の問題を除くと、条件は二つ。
①高等学校を卒業、あるいはそれと同等の能力が認められた場合。
②学校と学部を選ばない場合。
実際は、高等学校を卒業した半数以上が、大学か短大に通う。

 大学に入学すると、一人暮らしを始める人が増える。そうでなくとも、寮生だと親元から離れる。実家生でも親の干渉が緩和されてくる。その上、我が子が何を学んでいるかさえよく知らないのに、多くの親が高額な学費を投資する。親の期待値が最も高く、大したプレッシャーもかけられることがない。学生は、人気銘柄である。学割という「優待」もつく。人生空前のモラトリアム期間は四年続く。いくら勉学に励んでいるからといって如何ほどのものか。人生の夏休みに他ならない。大学生はとても忙しく、何かしているようで、実は何もしていない。高等学校を卒業して就職している人の方がよっぽど何かしている。少なくとも仕事している。もちろん大学に入りすぐ研究成果を出す、学生起業をするなどはあるだろうが、明らかな少数派だ。


 在学の魅力は、周りの人に「何もしていないのに、何かしている」と勘違いしてもらえることだ。もしこれ実感できない学生がいるとすれば、退学してみるといい。在学中以上に外国語を勉強し、研究書を読み、思考を深め、真理を究明したところで、ご近所の評判はニートである。バイトを始めたとしても、フリーターといわれるようになるだけだ。挙句の果てに、「働け!」といわれるのは目に見えている。大学に通っているという事実は、周囲に何もしない時間を許される印籠になる。学生は、親公認のニートだ。勉強でも、起業でも、自分の好きなことをできるチャンスなのだ(多くは、遊びとバイトが好きだ)。


 大学生はすごい。

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