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987ケイマンS筑波分切りセッティングの話

こんにちは!ケイマニアのshokobayaです。
通称「ポルシェを買ったらレーサーになっちゃった男」ですw

お前、セッティングセッティング(主に足の)ってわかったようなことnoteに書いてるけど、
ちょこちょこサーキット走らせに行ってはド素人が何をしてるって言うんだよ!

というご意見が、
あったわけではないですがwそんな心の声が聞こえてきましたのでw
今日はその一部をご説明しておきましょう!

話の基にするのは、私の987.2ケイマンS、筑波サーキット "分切り" を達成している "唯一" のケイマンです。
GT4RS含め、ロードカーのケイマンでは唯一でしょう。
(クラブスポーツですがAttack本番ぶっつけ56秒すぐに出てしまったRSなら、ナンバー付きでも楽勝で分切れるはずなので、今にも"唯一"ではなく"最初の"になると思いますが。)

サスペンションはF12キロ・R15キロのバネに、JRZの1231という3wayダンパーを採用しています。
ちなみにこのバネレートはshokobayaの考えるSタイヤ向けのレートです。スリックだとF14・R17、ラジアルだとF10・R13とかでしょうか。
これをベースにセッティングを開始します!

まずは、皆さんもよく試されるダンパーの減衰つまみによる調整を、shokobayaはどんな時にどう弄るのかを、わかりやすく現象ごと、コーナリングにおけるステップごとにご紹介したいと思います。
最初はショップまたはメーカー推奨の基本数値からスタートしましょう。

【現象1・ブレーキング】

止まるには止まるのだがフルブレーキでノーズダイブがきつくリアがふらつくような恐さがある。

減衰つまみ:フロントの縮みハイスピードを遅く=締める=ハードに

縮みのハイスピードとはブレーキングや縁石や段差を跨いだ際などにガツンと早いスピードでバネが縮むときに作用するもの。したがって、それを遅くすることでダイブする早さを抑える効果があると考えました。

【現象2・コーナー進入から旋回前半】

コーナー進入で頭の入りが悪かったり旋回していった時にアンダー傾向だったりする。

減衰つまみ:フロントの伸びを遅く

伸びとは縮んだバネが戻ってくるときに作用するもの。したがって、それを遅くすることでブレーキリリース時にフロント荷重を長く残し続けられるようにする効果があると考えました。

【現象3・クリッピングポイント付近】

最後のひときり大舵を入れた時の鼻先の反応が遅い。

減衰つまみ:フロントの縮みハイスピードを早く=緩める=ソフトに

ブレーキ自体は完全に抜けているシチュエーションだが、大舵を切るということはその抵抗でグッとブレーキがかかるので、そのグッという時にフロント荷重が乗りやすくすることで反応をよくする効果があると考えました。

【現象4・立ち上がり前半】

コーナー脱出時のアクセルオンでケツが出そうだったり電子制御が介入してきたりでガツンと踏めない。

減衰つまみ:リアの縮みハイスピードを遅く

遅くすることでドカンと強くトラクションをかけた時の沈み込みを抑える効果があると考えました。

【現象5・立ち上がり後半】

コーナー脱出で徐々に膨らんでアンダーだ。

リアの縮みロースピードを遅く

縮みのロースピードとはコーナーでぐわーっと長くゆっくりしたスピードでバネが縮む時に作用するもの。したがって、それを遅くすることでリアの沈み過ぎを抑えてフロント荷重を長く残し続けれるようにする効果があると考えました。

以上です。
そして、これらの考えは全て「当たった!」という体感として記憶しているもので、タイムアップか少なくとも乗りやすさに繋がった内容です。

また、つまみを何クリック回すかも重要ですし、単純に逆に回すことで逆の現象の解決に至れる場合もあるでしょう。

ちなみに、ハードになったソフトになったと勘違いしてらっしゃる方がいますが、これら全てバネが伸び縮みするスピードを抑えているだけで、伸び縮み自体を抑えている訳ではないです。
本当に不要にバネが沈んでいる場合は、バネ自体を硬いものに。逆に沈ませれていない場合は、バネ自体を柔らかいものに変えましょうね!

あと!

スタビを調整式の社外品に替えている方であれば、こちらも超絶効果のデカいセッティングツールになります!

ダンパーの減衰調整なんてスタビと比べたら最終的な微調整みたいなものでしかないです。
ただ、私の987には私が探した中で最も調整がきいて信頼できる製品と思われるタレットの調整式スタビが入っているのですが、スタビというのは左右の取り付け穴の位置をどこにするかで調整する仕組みなんですけど、クラブスポーツなんかと比べるとその穴の間隔が広すぎると言いますか、1段階ごとの変化量が大きすぎてガバッとクルマが変わってしまうので残念ながら細かな場面のセッティングツールとしては活用出来ていません。。

スタビによる調整がもう少しできれば、モンキーレンチ片手に床下から手を伸ばせばその場で簡単に概ねサーキット毎のセッティング合わせ込みが出来るのですが、、

という訳で、穴ではなく、無段階に近い調整できるようなスタビの開発を考えておりますが、皆さんいかがですか?欲しいと思われますか?w僕は欲しいので、作ります!
(国内で市販車ポルシェチューニングを楽しまれてる方々の中で、レーシングポルシェの経験が無い方々は、何故か恐らくほとんど?スタビによるセッティング効果を体感されてない方が多い様子なので、まずは体感いただかないとこの問いは機能しないかもですね!)

その他にも、

角度調整が出来るウイングがついてる場合や、カナードやガーニーフラップの有り無しなど空力付加物の着け外しも、現場でできる調整のひとつではあります。

現場で出来ること以外で言うならば、当然ながら、車高・キャンバー・トーなどアライメントで実現できる内容は非常に多くあります。
何ならこれがクルマの基本中の基本なので、まずはここを適切に行っていただけるショップさんに行きましょう。
そして、最近調子悪いなと思ったら、頻繁にでもアライメントを取り直すようにすべきです。
人間の感覚は鋭いものですから、そうゆう時はだいたい何かがズレちゃってたりします。
そして街乗りもしている車は、意外にも簡単にすぐズレてしまったりするものです。

結論、

チューニングカーの世界はセッティング範囲や方法に関するルールが公式レースのようには存在しない完全自由な訳なので、答えを出すためのセッティング方法は多種多様に存在する。ということです。

大事なのは!

ドライバーがクルマに対して何を実現したいかというゴールに向かって、その時にできる道筋の中で、一つ一つ変化を試して答えを導いていくこと。

それが、私が語らせていただいている、セッティングです。

私が出場したGTワールドチャレンジアジア(車両は718ケイマンGT4RSクラブスポーツ)なんかだと、車高やキャンバーなどは許される限界値がレースで決められているので、
まずはフリー走行1でスタビで概ねのセットを出して、フリー走行2でダンパーの減衰つまみで微調整をする、大体そんなような流れで予選に向けてセッティングを決めていくイメージでした。

レース業界歴の長い凄腕エンジニアさんなんかは、その車がどうなのかを知り尽くしていて、プロドライバーの鋭いフィードバックも合わせて、机上の空論だけでピタッと90%以上正解のセッティングを出せると聞きます。
(そんななか、我がチェックショップケイマニアレーシングはエンジニア無しで、ドライバー兼チーム代表である大塚と私たちチーム全員で話し合ってセッティングを考えていました。これはGTワールドやS耐なんかでもほぼあり得ない、チューニングカー育ちの貧乏チームならでは、本当に前代未聞のアプローチでしたw)

F1のような世界となれば、7ポストリグなどを用いた物理シミュレーターで、サーキットで走らずとも工場で99%正解まで仕上げた状態で次なるサーキットに挑み始めることでしょう。

それでも、99%だとしても、それは完璧ではありません。最後は実際に走らせて、微々たる調整をしてこそ、100%の走りをドライバーもすることができる訳です。

素人が何をわかったようなことを言って!と馬鹿にされてしまうかもしれませんが、その人たちは勘違いをしています。
"素人"というところがポイントなんです!

まずもって、我々はプロドライバーと比べたら、
何のスキルも無い、理論も持ち合わせていない、感覚だけで走らせている赤ちゃんみたいなレベルのアマチュアドライバーに過ぎません。
だから、あくまで自分の感覚で、少しでも「恐い危ない」とか「これが限界」とかを感じてしまったら、自然と身体が拒否をして攻めれなくなってしまうものなんです。
プロは、例えばオーバー強いなアンダー強いなみたいな状況でも、その中で動きをイナしていくなり、強引に向きを変えるなりして、ベストでなくてもベターな方法でクルマの限界に近い性能を引き出してきます。これが彼らがプロである理由であり技術の引き出しです。
我々はそうではありません。

だからこそ!我々はアマチュアだからこそ、プロ以上に、自分の感覚に合ったクルマを時間と手間をかけてセッティングしないと、速く走るどころか、気持ちよく走らせることすらも出来ないということなんです。

たかがスポーツ走行程度だから、素人の遊びだから、セッティングなんてそんなそんな!そう考えてしまうのは全く違うというか、逆にそうゆう方にこそちゃんとセッティングされた(信頼できるショップさんドライバーさんに自分の運転を見てもらって頼むでも良いんです)クルマで走って、正しい楽しさを味わっていただきたい訳です。

ちなみに私の見てきた界隈で言いますと、毎年のように筑波アタックに身を捧げる人たちなんかは、ちゃんとセッティングがでている人が多いです。
1番大きいのが目標とするサーキットを限っていること、そして毎回良い状態に削ったコンディションの良いタイヤと同じ温度に温められるウォーマーを使って、例えばズミー走のような走行会に通ってはいつも近いような気温や気圧や路面コンディションの中でデータをとりつづけていること。たとえ適当な1wayダンパーに古風なカチカチバネを入れているだけの方だったとしても、サスペンションについて難しいことを考えてなくても自己の不満に対して例えばアンパネを自作してつけてみたり外したり、工作的なアプローチでセッティングを繰り返しているうちに答えに近づいているように見えます。
当然ながら先程話したレースエンジニアなんて帯同してません。アマチュアの独り者が、答えを出している、だから凄い!かっこいい!
私も彼らと一緒にいるともっと頑張らなければと、いつも恥ずかしくなります。。

しかしながら、最近の(というか私はまだクルマ遊びの経験が浅いので最近しか知らないのですがw)草レース界隈なんかでは、そうゆう部分が少々甘く感じます。
何ヶ月に一回の本番しかサーキットを走らない、何ヶ月も開けば気温も路面状況もまったく違うからデータがなかなか通用しない。だからいつだって出たとこ勝負。そんな感じがする方が多いなと。
遊びだから良いんだって、、?まぁそうなんですが、
ポルシェで草レースに参戦するには、エントリー費だけじゃないそこそこのお金がかかっているはずです。だいの大人が仕事を休んだり、家族を放って大切な時間を空けてまで遊びにいらっしゃってるんだと思います。

だったら!自分の持っているもの、出来ることの範囲で構わないので、その中で最良の結果を求めて少なくともレースが近づいてきたらそのサーキットで行われるスポーツ走行や走行会に一度くらいは足を運び、手持ちのロガーやビデオでデータをとりましょうよ。
そして、いつも贔屓にしているショップさんにそれを見せて、なんとなく感じたフィーリングを伝えて、あとはお任せでも良いから調整をしてもらいましょう。
それだけでも最低30〜50%くらいの仕上りの違いにはなるんじゃないでしょうか!

私から言わせると、セッティングという作業は面倒なんかではなく、
サーキット通いをする上で最も楽しい部分であり、
全くのサーキットどころかスポーツカーすら未経験者だった自分を、短期間でここまで成長させてくれた理由でもあると思っています。

是非皆さんも、まずはともかくサーキットに足を運んで、
練習って意味じゃないですよ?練習も良いんですけど、パークトレーニングみたいな練習は意外とみなさんやってらっしゃる気がするので、
(ちなみにshokobayaは一度もそうゆうのしたことありませんw定常円?とかたぶん出来ませんw)

セッティングテストしてたら勝手に練習になりますから!
とにかくデータをとって、
恐がらずにいろいろ弄って、
セッティング遊び!ぜひトライしてみて下さいね!

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