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受託開発やSESからスタートアップを考えている人へ

こんにちは、Ubie Discoveryでソフトウェアエンジニアをしている住友です。数年前まではソフトウェアエンジニア界隈のコミュニティにちょくちょく顔を出させて頂いていたのですが、コロナ禍もありメッキリとアウトプットが減っていますが元気でやらせて貰っています。最近、知人と受託開発やSESをしていたところからスタートアップに移った身として感じたこと話していたので、その辺りの話を綴りました。現在、受託開発やSESをしている方でスタートアップに興味がある方の参考になればと思います。

略歴

家庭環境の問題に起因して新卒の就活をしくじったため、やや遅れて就職しています。7年ほど3社を移りながら受託開発やSESのお仕事をしました。それから前職のWantedly, Inc.という当時20人くらいだったスタートアップに入社してAndroidアプリ開発を軸足に置きつつプロダクトの開発を5年弱ほど行った後、現在のUbie Discoveryへジョインしました。この辺りのお話は転職エントリで書きましたので、ご興味のある方は読んでいただければと思います。

受託開発とSES時代の葛藤

受託開発やSESで働いていたとき、僕にはいくつかの葛藤があり、それらが最終的にスタートアップに移ることに繋がりました。

1つめは自分への評価が顧客と自社で異なる点です。関わったお仕事に依存するので運のところ(案件ガチャと呼ばれたりします)もありますが、幸い僕が直接関わった案件で連日徹夜になるようなものはありませんでした(別のチームのが大炎上してヘルプしたのはあります)。それでも自分なりに実装能力を磨き、設計技法やマネージメント手法を学び、燃えないようにかつ、正しくプロジェクトが回るように立ち回ってきたつもりです。実際、顧客からも「プロジェクトが上手く回り、大きな収益を上げれた」ともいって頂けました。しかし自社にしてみると決められた時間で決められたことをやっただけという扱いでした。もちろん経営という側面で見れば、僕一人が上手く立ち回った程度で自社の収益が上がるわけではないので理解できます。もう少し見返りがあってもいいんじゃないのかと思いながら、理解はできるので虚無感を感じました。同業界の一部では敢えて炎上させたり不要な作業を増やし、素知らぬ顔で顧客に追加料金をお願いすることで収益を上げる手法があるとは聞きますが、僕にはそういう立ち回りはできませんでした。

2つめはいろんなプロダクトに関わるけれど、自分とプロダクトの距離は埋まらないことです。自分がいくらそのプロダクトを好きになったとしても、開発が終わったら終わりです。ユーザーグロースやマーケティングを学んで、そのプロダクトを世の中に広めるためいろんなことを考えたとしても、何もすることはできません。それは顧客のプロダクトだからです。仮にそれらを顧客に提案し、追加開発でプロダクトが大成功したとしても自社の収益は開発費用だけです。もちろん逆に大失敗してもリスクを追う必要はありません。これも受託開発やSESの契約を考えると当然ですし、それを超えて何の形で報酬を貰えたとしても、双方の組織のビジネスは歪なものになるでしょう。こういった環境で数年働いたとき、自分の中で「他人のプロダクトだから給料分でいいや」という思考もでてくるようになり、自分への嫌悪感と「エンジニアリングは好きだけど、何のために作るの?」という疑問がでてきました。

受託開発とSESだけで給与を上げることを考えると、プロジェクトマネージャーという単語がでてきました。実際、当時の自分は10人ほどのメンバーを数ヶ月マネージメントをすることもあったので、自分の心を凍結させればそういう道もあるのかなと考えました。しかし、そうしたとしても前述の受託開発やSESの契約のことを考えると自社の収益が上がるわけでなく、飽くまで自社内での労働集約としての自分の取り分が増えるところから大きく変わらないことに気づきます。また、その時期に巷の「一流のプログラマーができないプロジェクトマネージャーに昇格する」という例え話を聞いていて、おそらく自分がプロジェクトマネージャーになればそれを地で行くと思いました。

他にもいろいろ考えた結果、自分たちでプロダクトを持ち、自分たちで収益もリスクも踏まえて開発をしていく方向に身を振ることにしました。このときにスタートアップに行くか、既に事業のある組織に行くかは考えたのですが、当時の元同僚がスタートアップで「このプロダクトは俺達が作った!」感の記事を出していたのを羨ましいと感じたのもあり、そちらに舵を切りました。

スタートアップにジョインすることの懸念と杞憂

スタートアップにジョインするときに考えていた懸念と杞憂を紹介します。Ubie Discoveryに限らず前職も含めてお話します。

スタートアップにいるときに限らずではありますが、自分のエンジニアリングスキルが通用するかは懸念していました。幸いなことにこの懸念は杞憂でした。自分は過去の仕事でWindowsアプリ、Webアプリ、Androidアプリ、Linux周りのインフラなど比較的手広くやっていたのでそこで困ることはありませんでした。とはいえ同じ職能の人も他の職能の人も能力が高く、置いていかれない覚悟も自分の得意分野では自分が牽引する度胸も必要でした。ただ、この辺りは当時のチーフが1on1で何度も話してくれていて、そのマインドセットを持つことができましたが、はっきりと自覚をできたのは割と後の方になってからです。

事業会社ゆえに組織内にコンサル、広報、セールス、BizDev、カスタマーサポート、カスタマーサクセスという今まであまり関わらなかった職種の人と協力することになります。果たして巧くやっていけるかを懸念していました。ここに関しては受託開発やSESの経験が役に立ちました。受託開発やSESでは組織の壁がどうしてもあり、意図の掴めない要件がゴロゴロしています。こういった経験に自分の「何かズレてる?」の感度を鍛えられた実感があり、メンバーとのズレを感じたときに直接話して「本当に必要だったもの」にズレを修正する力に繋がっています。昔のお仕事で「なんでコンサルさんや広告会社さんの案件ってこんなにトラブルが起こるの?」と感じたことがあるのですが、今ではその対面の立場にいた人達と一緒にお仕事をしているので「わかる〜」という気持ちです。

次に一般論ですがスタートアップは潰れやすいという話です。実際、スタートアップは数年後に生き残っているのは1割くらいとか、そして成功するのは更に減るというのは事実だと思います。しかし仮に事業に失敗して組織が潰れてもそこにいる人達が死ぬわけではありません。前述の通りスタートアップには能力の高い人が多く、彼らは自分のWillと組織のWillがマッチしたところに渡っていきます。そして、新しい組織で昔のメンバーを呼んで次の成功に繋げて行きます。仮にスタートアップとして失敗したとしても、この一連のフローの中で一人の人としての失敗は「誰にも声を掛けて貰えない状態」だと思います。それは同じミッションを持っているメンバーに対して一人のプロフェッショナルとして接している限りは早々起こらないでしょう。実際、僕も元同僚に声を掛けて貰ったり、逆に自分から声を掛けることもあります。そういう話ができるのはお互いをプロフェッショナルとして認識しているからなので、本当にありがたいことだと思っています。もちろん稀にスタートアップのそういったエコシステムにフリーライドしようとする方は見かけますが、だいたいが感づかれているように感じます。

Will Can Must

Ubie Discoveryではどうありたいか(Will)、何ができるか(Can)、何をやらないといけないか(Must)の3つのWill Can Mustという考え方があります。労働という考え方だけで見れば自分のCanと企業側のMustが一致すれば良いでしょう。その上で企業側の自分に求めることと自分のWillが重なると、仕事が楽しいものになると考えます(ただし、Willが合っていれば報酬が安くても良いとかいうのは、やりがい搾取なので別の話です)。たまに当事者意識を持つことが当然のように語られているのを見かけますが、個人的にはWillが無い状態でそれは厳しいと思います。

スタートアップはビジョンに向かっています。例えばUbieでは「Hello, health world.」のビジョンに「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というミッションがあります。それらを達成するためにはevilにならない限り何でもやります。今のUbieにいるメンバーは各自の持つWillがそれに掛かっていると僕の目には映っていますし、だからこそ信頼できると思っています。もし、これからスタートアップに飛び込もうと考えている方には、自分のCanより、そのビジョンを自分のWillで形にしたいかを考えてみると良いかもしれません。今になって思えば前述の僕が受託開発やSESをやっているときに虚無感を感じたのはWillが一致していなかったのだと思います。

スタートアップに興味のある方へ

何かのWillがあり、そのWillが重なるスタートアップを見つけたなら、まず話を聞いてみるといいでしょう。そこで自分のWillが重なるかどうか、その上でCanとMustも重なるかを考えてみると、その先が見えてくるかもしれません。こんな記事を書いておいてなんですが、もちろんそこから先はご自分の責任になりますので、どうかご留意ください。僕が前述の受託開発やSESをしていたころのものと似た葛藤を感じる方の参考になればと思います。

最後に採用の宣伝です。現在僕が所属しているUbieは同じミッションに向かってプロダクトを一緒に開発できるメンバーを募集しています。もし、興味を持っていただけた方はまずは話を聞くところから始めて貰えればと思います。


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