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ぐるナイのコスプレ紅白歌合戦でサン(もののけ姫)のコスプレをしていたのがhitomiだったので真面目にthermo plasticをレビューするの巻 #ぐるナイ

どうも。実家帰省中のカツペソ(a.k.a.卯月絢華)です。
今年も1年終わりますね。そして、当然ながら1年の締めくくりと言えば紅白歌合戦です。しかし、今回取り上げるのは紅白歌合戦ではなく日テレのバラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』の『コスプレ紅白歌合戦』という企画です。
コスプレ企画というのは番組のメインである『グルメチキンレース ゴチになります!(以下ゴチ)』の次に人気の高い企画で、普段は「コスプレをしている芸能人が誰か」を当てるクイズ企画になっています。しかし今回は特別編ということで「コスプレをしている芸能人がカラオケをするので誰が歌っているのかを当てる」という企画になっています。ちなみに、本編はあくまでも『ゴチ』の最終戦なのでコスプレ企画は言わば「オマケ」のようなものです。しかし、私は予告の時点で気付いてしまいました。

「サン(もののけ姫の主人公)のコスプレをしているの、hitomiじゃね?」

というわけで、本編です。
今までhitomiのアルバムレビューはあんな記事やこんな記事を書いてきました。

『huma-rhythm』にしろ『LOVE LIFE』にしろいわゆる「渡辺善太郎期のhitomi」を語る上では重要なアルバムなんですが、そのきっかけになったアルバムを今までレビューしていませんでした。
タイトルは『thermo plastic』。直訳すると「熱を持ったプラスチック」といったところかもしれません。(ちなみにGoogle日本語翻訳だと「熱可塑性」と翻訳される)
では、早速レビューしていきましょう。

入手日:2021年8月26日
入手場所:メルカリ
入手価格:『huma-rhythm』とセットで550円。つまりだいたい275円。(ありがとう滋賀の元オーナーさん)

解説

1999年10月13日発売。12曲+α(初回盤のみ)で構成されています。
小室哲哉への置き土産こと『h』(ベストアルバム・サブスク未配信)をリリースした上でのhitomi「脱小室」第1弾アルバムとなります。(厳密に言えば脱小室第1弾は『空』なのだがこちらは『h』に収録されているので、実質的な「脱小室」は『君のとなり』以降)
全体的にダークな曲が多く、唯一と言ってもいい明るい曲の『UNDER THE SUN』(後述)ですらよく見ると歌詞が怖かったりするという不思議な1枚になっています。
タイトルの『thermo plastic』にはリードトラックである『体温』(後述)に対するメッセージも込められていたりする。というか『体温』が先行シングルにしてhitomi最後の8cmシングルだったりするのはここだけの話。(『LOVE 2000』以降は12cmシングル)

Spotify

01 L'utero

作曲:渡辺善太郎
編曲:渡辺善太郎
インスト曲(?)です。タイトルはイタリア語で「子宮」を意味します。hitomiのモノローグと男性の語りで構成されていて、まあバッサリ言っちゃえば「情事」といったところでしょうか。
さり気なくウッドベースのグルーヴが秀逸。

02 Gamble

※過去のレビューでも説明しましたが基本的に作詞はhitomi本人が行っているので一部を除き割愛させていただきます。
作曲:長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:渡辺善太郎
官能的な歌詞が目を引く1曲。イントロのピアノのバッキングがいい味を出している。
「Gamble」というタイトルが示すのは、愛なのか、それとも欲望なのか。それは君の耳で確かめて欲しい。

03 君のとなり

作曲:hitomi
編曲:吉俣良
タイアップ:アトラス『ペルソナ2 罪』エンディングテーマ
ペルソナ2の前編のテーマ曲でもおなじみの1曲。彼女を知ったきっかけがペルソナと言う人も多いのでは?
hitomi唯一のゲーム楽曲ということ、そして『ペルソナ』のテーマ曲という事もあって「仮面」が歌詞の根底にある。ゲームをやっていると、歌詞の意味はより深く感じられるかもしれない。彼女なりの「母性」が、この曲には詰まっているのだ。

04 Bird

作曲:渡辺善太郎
編曲:渡辺善太郎
鳥になりたい少女の曲。間違っても死にたい時に聴いてはいけない。(歌詞が飛び降り自殺を仄めかす内容のため)
渡辺善太郎さんのアレンジ力の真髄が輝く隠れた名曲でもある。

05 WISH

作曲:長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:渡辺善太郎
タイアップ:読売テレビ 月曜ドラマ『ロマンス』挿入歌
早すぎたBLドラマの挿入歌。現実と虚構の中で葛藤する人々を描いている。
「MVが怖い」との評判だが、『nine clips 2』(MV集)に収録されていたインタビューによると「位置を変えながら撮影していたのでめちゃくちゃ時間がかかった」とのこと。まさに人海戦術。
ペルソナの主題歌の両A面というのも相まって(?)ペルソナを意識した不思議なMVになっていたりする。

06 甘い涙

作詞:hitomi・新地佳代子
作曲:長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:hitomi・竹林一敏
ド直球なタイトルが示す通り失恋ソング。「ゆらゆら ゆらら」というフレーズが印象に残る。
新地佳代子と言えば後にDo As Infinityを支える上で重要な人物になるのだが、作曲が長尾大ということも相まって微かにDo Asの鱗片を感じさせられる。(ちなみに本作のリリースはDo Asがメジャーデビューしてから約1ヶ月後)

07 re-make

作曲:渡辺善太郎
編曲:渡辺善太郎
「気だるげな歌い出しのhitomiにハズレ無し(当社調べ)」の通り、気だるげなhitomiの声から始まる。ちなみにバックコーラスで参加しているのは渡辺善太郎である。(何気に彼の声がhitomiの楽曲で聴けるのはこれが唯一というレア曲)
悩みの中にも希望を見出すという彼女らしい歌詞が胸に刺さるのは間違いない。

08 MADE TO BE IN LOVE

作曲:hitomi・長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:渡辺善太郎
タイアップ:読売テレビ 月曜ドラマ『ロマンス』挿入歌
情熱的なメロディが印象的な楽曲。後のDo As Infinityにつながるメロディが多い。(この曲とDo Asの『Yesterday&Today』を聴き比べると分かりやすい)
ちなみに『君のとなり』と『WISH』とこの曲でトリプルA面という正気の沙汰ではないことを軽々とやってのけてしまっている。それも8cmCDで。

09 a little (I need everything)

作曲:守時タツミ
編曲:守時タツミ
「少し」と「すべて」という相容れぬ2つのワードが鍵になった曲。結構泣ける。
守時タツミといえばhitomiのライブツアーのバンマスとして小室哲哉プロデュース時代から支えている重要人物なのだが、そんな彼が「脱小室」をきっかけにhitomiにプレゼントしたのがこの楽曲である。
――君の欲しい物は、何?

10 there is…

作曲:長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:渡辺善太郎
タイアップ:関西テレビ・フジテレビ 火曜ドラマ『救急ハート治療室』主題歌
「君とだったらどんなやばい宇宙だって乗り越えていくかてになる」というサビの歌詞が印象的な楽曲。緊急治療室を題材にした医療ドラマの主題歌らしく、切ない曲となっている。
hitomiはこの歌詞を書いている時に恋人にフラれたらしい。その心境を綴ったところ、後世に残る名曲が誕生したと言っても過言ではない。
余談だが、この曲の仮歌を歌ったのはDo As Infinityとしてデビューする前の伴都美子だったりする。確かにDo Asが歌っても違和感はないが・・・。(ソースはボクらの時代)

11 UNDER THE SUN

作曲:長尾大(a.k.a D.A.I)
編曲:渡辺善太郎
タイアップ:カシオ計算機「スーパーピッキートーク プレッソ」 TVCMソング
暗い曲が多い本作において珍しく(?)明るいメロディが印象的。タイトルの通り太陽の下で聴きたくなる。
しかしサビの歌詞をよく見てみると「この太陽の下で 当たり前をよそおうのなら この夢壊して」と書いてある。怖い。
後にDo As Infinityも同タイトルの曲を発表することになるのだが、当然この曲との因果関係は何もなかったりする。(とはいえ長尾さんがこのフレーズを気に入っているという可能性もあったりするのだが)

12 体温

作曲:渡辺善太郎
編曲:渡辺善太郎
タイアップ:TBS『CDTV』 1999年10月度エンディングテーマ
本作のリードトラック。優しい鼓動のようなイントロのドラムから彼女のコーラスを使った幻想的なメロディラインへと展開されていく。気だるげなhitomiの声も印象的。
曰く「誰かの体温を感じたい」ということで歌詞を書いたとのこと。物悲しい秋の夕暮れに聴くとちょうどいい。
MVでキックボードに乗ったhitomiが印象的だが、『nine clips 2』のインタビューによるとこのキックボードはどうやら彼女の私物らしい。なお、キックボードが流行するちょっと前の話である。

そして、この曲の後にリリースされたのがあの『LOVE 2000』である。

Bonus Track 君のとなり(Acoustic Version)

初回盤のみに収録。『君のとなり』のアコースティックバージョンである。ちなみに元キーよりも一つ低い。
後にCCCDとというクソ規格で発売されたベスト盤『SELF PORTRAIT』にも『君のとなり(thermo plastic version)』として収録されることになる。

終わりに

というわけでツラツラと全12曲を解説していきました。
とにかく「脱小室後」のhitomiを語る上では重要な1枚なので、サブスクなり中古なりで聴けるうちに聴いとかないともったいない。特に体温は鬼リピート必至。
hitomiといえば『CANDY GIRL』や『LOVE 2000』といった元気いっぱいなイメージが強いかもしれないが、私のようなhitomiガチ勢からしてみればやっぱりこのアルバムが一番好きであることに変わりはない。そして、あとがきに代えて渡辺善太郎さんのご冥福をお祈りしたいところである。(2021年7月に逝去)

オマケ

実際にhitomiはぐるナイでもののけ姫のサンのコスプレをしていた訳なんですけど、ネタばらしと行きましょうか。
それにしても『huma-rhythm』のジャケ写といい今回のサンのコスプレといい、こういうの似合いますね・・・。

P.S. ゴチのクビは池田エライザと高杉真宙とノブでしたね・・・。正直エライザちゃんと真宙くんには残ってほしかった・・・。

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