チェコ産ロックのコンピを買った
先日中古CDで体制転換後ではあるもののチェコスロヴァキア(ただしほとんどチェコ側)のコンピを買った。
北米でリリースされたらしいこの"Czeching In"というアルバムは、あまり詳しくないので踏み込んだことは言えないが、90年代前半のビロード革命とスロヴァキア分離の間にヒットした曲が中心のようで、冷戦時代の締め付けから解放された各グループが演奏するポップな曲が多いみたい。
ここでは印象に残った曲をピックアップして紹介していこう。
2.Tichá Dohoda - Kotva A Kříž
チェコ版ブリットポップとでもいうべき名曲。
何を言っているか分からないと思うがこれは間違いなくチェコのローゼズでありオアシスである。体制転換直後のチェコでこのような曲が演奏されていたということに素直に驚かされた。
ただストーン・ローゼズに似ているというだけでなく、このグループ、つい数年前だがマンチェスターの諸先輩方へのトリビュートアルバムを出しているので本当にローゼズの音楽性を真正面から受け継いでいるのだ。
Joy DivisionやNew OrderをはじめとしてHappy Mondays、The Smithなどのカヴァーを披露しており、傾倒っぷりが伺える。もちろんStone RosesからもTightropeをカヴァー。マンチェスター音楽のファンとしては見逃せないグループとなってしまったが、果たして日本で入手できるだろうか。
また、チェコスロヴァキアとかかわりの深いヴェルヴェット・アンダーグラウンドのAll Tomorrow's Partiesもカヴァーしているようだ。
3.Zuby Nehty - Vodopády
ハイテンポのドラムが作り出すグルーヴが、際立つフルートの妖艶な音色のうねりを伴って展開する独特の世界観の一曲。タイトルの意味は「滝」。ひょっとしてローゼズのWaterfallへのオマージュ?
ちなみにこのグループは体制転換前から活動しているが、すべてのメンバーが女性とのこと。冷戦下の東欧で女性がロックを演奏するにはかなりの困難が伴ったはずだが、この分野はこれから研究が進んでいくことだろう。チェコスロヴァキア特有のアングラロックにもかなり興味がわいてきた。
10.YoYo Band - To Teda Ne
打って変わって陽気なラテンの空気漂う一曲。しかしチェコである。
チェコのレゲエ・ラテンを牽引したグループとして有名らしく、チェコ語のキモイ特有な発音がラテン音楽と新たなマリアージュを生み出している。
このコンピの一曲目も似た雰囲気のラテン・ジャズ風インストゥルメンタルだったので、当時はこういうのが流行っていたのかもしれない。
ということで、足早に三曲を紹介した。東欧ロックの魅力を伝えるにはなかなかいい曲が揃っているのではないかと思う。残念ながらこのコンピ自体はサブスクでは聞けないようなので、是非自力で調べて聞いてみて欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?