CatlogでFIP兆候を早期に発見。しょーちゃんとCatlogが見守った、子猫のジスFIP闘病記
はじめに
FIP(猫伝染性腹膜炎)という猫様の病気をご存知ですか? 猫の感染症で、つい数年前までは感染した猫のほぼ全てが亡くなってしまうと言われていた病気です。1歳未満の子猫に多く、初期に気づきにくいことが特徴です。
そんなFIPにかかってしまった子猫様と、それに早く気づき回復することができた飼い主さんがいました。それが「しょーちゃん」こと、弊社の機械学習エンジニャーである新田翔さんと、2022年4月生まれの「ジス」です。ジスは、生後6ヶ月で、FIPと診断されました。
このnoteでは、しょーちゃんとCatlogが見守った、ジスのFIP奮闘記をお届けします。
お迎え直後は、元気にスクスクと成長したジス
ーージスは、2022年4月1日生まれの男の子。2ヶ月齢になった6月4日からしょーちゃんの家族の一員となりました。
しょーちゃん
「今まで猫様と暮らした経験がなく、ジスが初めてお迎えした猫様です。
初めてブリーダーさん宅を訪問したときに猫様たちの動画を撮っていると、その中でカメラにぶつかってきた子がいました。その時、この猫様をお迎えしようと決めました。それが後のジスです。
ジスはお迎え直後から人見知りしない、人懐っこくて甘えん坊な男の子でした。動物病院の先生にも甘えるぐらいの人懐っこさです。初日から食欲も旺盛で、早速おもちゃで一緒に遊んでくれたのを覚えています。」
「ジスのお迎え初日の体重は1.2kg。そこからは毎日よく食べよく遊び、5ヶ月齢になるころには2.7kgまで大きくなりました。成長に伴って毛色が変わっていったり、よく甘えるようになったりしましたね。
僕は普段あまり写真を撮らないんですが、ジスをお迎えしてからは、カメラロールがすぐにジスでいっぱいになりました。今では、ほぼ毎日なにかしらジスの写真を撮ってます。」
ある日、体重グラフの成長が止まったことに「違和感」
ーそんな中、異変に気づいたのは9月末だったそうです。
「9月の終わり頃に、いつものようにCatlogの体重推移グラフを見ていたら、ふとジスの体重増加が止まっていることに気づきました。こう、右肩上がりだったはずのグラフが平坦になっていたんです。
「この時の体重は2.8kg。成猫と言えるまでにはもっと成長するはずですし、一番成長が著しいときは3日で100gのペースで体重が増えていたので、これは明らかにおかしいと感じました。」
「子猫なのに体重が増えていないことを動物病院の先生に電話で相談したところ、とりあえず様子見してみましょうとの診断でした。普段見ている分には元気そうだったのでそのまま1週間程度様子見をしていました。」
毎日、みるみる落ちていく体重。やがて元気や食欲も減り始めたジス
「しかし、体重が増えないどころか明らかに落ち始め、Catlogの『体重減少アラート』も毎日届くようになりました。これはただ事ではないと確信し、動物病院へ行きました。体重の停滞に気づいてから10日後のことでした。
ほかに異常が見つかったわけでもなく、診療では引き続き様子見をすることに。見た目も元気そうだったので、安心していたところでした。
でも…。
実はこの頃から首輪型の『Catlog』の利用も始め、ジスの食事回数も計測できるようになりました。また、自分で食事量も計測しており、次第に前食べていた最大量の半分程度しかご飯を食べてくれなくなっていくのに気づきました。
ご飯に飽きてしまったのかもしれないと思い、いろんなご飯を用意してみたものの、それでもなかなか食べてくれず…そこから1〜2週間は少しずつですが、元気もなくなっていきました。明らかに動くのが怠そうになったり、おもちゃで遊んでくれなくなり…体調悪化が目に見えて分かりました。その1週間後には大好きなおやつにも興味を示さなくなります。」
とうとう、1ヶ月で400gも体重が減少。
「とにかく獣医師さんと何度も相談しながらジスを見守り続けたのですが、日々不安は大きくなるばかりでした。とはいえなかなかジスのためにできることも多くなく、やるせない気持ちだったのを覚えています。
この頃はとにかくジスの体調変化を見守るために、何度もCatlogアプリを開いてジスの体調をチェックしていました。体重の減少速度は少しずつ大きくなっていき、おやつすら食べなくなった頃には、最大体重から400gも体重が落ちていました。ジスにとっては1ヶ月で体重が約15%も落ちたことになるので、一大事です。」
ーージスくらいの子猫にとって、400gの体重減少とは、人でいうと8-10kgも体重が落ちたことになります。獣医学では「1ヶ月で5%以上の体重減少は、重大な異変とみなす」とも言われており、かつ子猫でもあるので、いかに大きな異変だったかがわかります。
Catlogを使って、毎日ジスの体調をみまもり
「Catlogで計測していた食事回数や運動量も明らかに落ちて行きました。ジスは毎日ちょこちょこ食べたりして、なんだかんだ1日に10回くらい『食べる』という行動をしていたのですが、10月末には1日に2〜4回程度に減っています。1回あたりの食事量もみるみる減っていき、歩いていても少しふらつくようになっていました。
この時期は毎日Catlogからジスの体調悪化に関するアラートが届いている状態でした。」
「今あらためて振り返ると、Catlogで体重の停滞に気づいていなかったら、目に見える体調不良が現れたこの頃に初めて病院に行っていたと思います。気づいてすぐに躊躇せず病院に行って本当によかったです。」
診断は、末期のFIP。余命は数日から数週間と言われ・・・
ーー最終的に診断が下りたのは10/27のこと。異変に気づいてからはおよそ1ヶ月です。末期のFIP、処置なしであれば余命は数日から数週間と告げられました。
「FIPについては知っていたので、まさかうちの子が…と頭が真っ白になりました。それと同時に、今すぐ治療を始めないとジスが助からないという使命感もあり、すごく混乱したのを覚えています。」
ーーFIPは、つい数年前までは不治の病とされていましたが、効果があるとされる新薬が登場しています。しかし、まだ治療法として確立したものではないので、現時点では治療ができる病院も多くなく、とりあえずFIPの治療ができる動物病院に片っ端から電話をかけて翌日の朝イチで治療開始できるところを探したそうです。
治療効果が現れず、入院での処置へ。先生と一緒にCatlogデータを確認しながら治療する毎日
ーー無事に治療をしてくださる病院が見つかり、診断の翌日から治療を開始しました。
「多くの場合は、最初の数日で見違えるほど体調が回復するとのことでしたが、ジスの体重の回復は見られないどころか、毎日100gずつ体重が落ちる異常事態でした。
治療を開始したのにもかかわらず効果が出ていない、この時期が一番不安でいっぱいでした。ジスと一緒に過ごせるのはもう何日も無いかもしれないと思うと、いてもたってもいられなくなり、入院することを決めました。」
「治療開始後に効果が出ていないことも、すぐに気付けたのはよかったです。かかりつけの先生にも、Catlogのデータを用いて体重の変化などを説明していました。先生も、治療方針を判断するにあたり、毎日のデータが参考になっていたと思います。」
薬の効果が出た! ぐんぐん元気になるジス
「退院後は、みるみる回復していきました。Catlogで計測している体重も増加傾向に。ご飯の回数も徐々に増えました。」
「見るからに元気が戻ってきたのはもう少し後だったので、まずはCatlogで回復が確認できたことは安心に繋がりました。緊張の毎日が続いた中、まだまだ予断は許さないものの、少しだけ、肩の荷が降りるような気持ちでした。」
ーー実に、治療開始から2ヶ月。しょーちゃんは仕事をしながらも、ジスの治療に励んだ毎日でした。
治療が終わり、今では体重は4.2kgに。すっかり元気になりました
「体調回復に伴って体重が増えていくことはもちろん、ソファにジャンプができるようになったり、久しぶりにおもちゃで遊ぶ姿を見た時は泣くほどうれしかったです。
その後は年明けに治療が完了するまで、順調に回復していきました。2月頭の体重は4.2kg。スクスク成長が再開しています。
すっかり元通りに人懐っこく、おもちゃで遊ぶのが大好きで、うるさいくらいにおやつを要求してくるジスになりました。」
Catlogのデータから一連の出来事を振り返る
ここで一度、ジスのお迎えからFIPの発症、そして回復までを改めてCatlogのデータで見てみましょう。
こちらは、1日のうち各行動が占める時間を示した図です。
猫様は元気な状態でもよく眠るものの、11月初旬までは、睡眠時間が16時間ほど占めているのが分かります。それ以外の時間もほとんどくつろいでおり、走る、歩く、食べる、水を飲む、毛づくろいの行動はほとんど見られません。
11月中旬頃からは毛づくろいなどの行動も見られ、データからも元気になっている様子がよく分かります。
また、発症前、治療開始時、治療2ヶ月後のデータを比較してみると、当時いかにジスの身に異変が起きていたかより分かりやすいです。
体重の減少はもちろん、食事回数、元気指数も大幅な低下が見られます。毎日一緒にいても、猫様がご飯を何回食べているか、何時間寝ているかを把握するのは非常に難しく、特に緩やかに体調の変化が起きている場合は、気づくのが遅くなることがあるかもしれません。こういった数値で猫様の体調管理ができると、体調変化を見逃すことなく安心です。
「何よりも、毎日Catlog Boardでデータを取って確認していたからこそ、早くに異変に気づくことができました。
僕は動物と暮らしたことはなく、ジスが初めての猫様の家族です。体重増加が平坦になったことに気づかなければ、ジスの体調に異変が起きていると認識できたのはもっとずっと後になっていたと思います。
「FIPの闘病は、猫様はもちろんのこと、飼い主にとっても大変です。
そんな中、治療中もデータを見ることで薬の効果がちゃんと出ているのか、毎日手元で確認できるのは心の支えになりました。」
「子猫にとって、体重は超重要な体調の指標」 毎日体重を気にしていないと気づけないことがある
「ジスとの闘病を通して今後子猫様をお迎えするみなさんに伝えたいのは、子猫様にとって体重は本当に重要な健康指標であるということ。そして体重に異変があった場合にすぐに獣医師の方に診てもらっていただきたいということ。
猫様は自分自身で体調が悪いことを飼い主に伝えることが難しい生き物なので、日々体調の変化を飼い主が見守ることの大切さを改めて認識しました。」
ジスのFIPが発覚してから、私たち社員一同もジスとしょーちゃんの治療を見守ってきました。早くに体調の変化に気づけたこと、適切な治療を開始できたこと、そして何より無事に回復したこと。どれも本当に、心からよかったと感じています。
そして、ジスとしょーちゃんのように早くに体調変化に気づくことは、決して奇跡のような話ではありません。猫様は言葉で体調不良を教えてはくれませんが、日頃から猫様の行動や体重に関するデータを見ていれば、体調の変化に気づくことはできるのです。
「もっと早く気づきたかった」「もっと長く一緒にいたかった」、そんな後悔をしないために。猫様と暮らしているみにゃさま、猫様をお迎え予定のみにゃさまに、少しでも猫様の体調管理の大切さについてお届けできていれば何よりです。
ジスとしょーちゃんの物語が、子猫様とお暮らしの方、子猫様をお迎え予定の方の参考になれば幸いです。
すべては、猫様のために。