ドイツでお笑いライブを見た②即興コントライブ
ドイツに来て早1年。
最近ブレーメン(ドイツの人口11位、日本でいうと仙台のような街)に引っ越しました。
「コントライブを見てみたいけど、ドイツ語わかるかなぁ…」と二の足を踏んでいたのですが、今回ついに見てきました!
即興コメディ「小さなクイズショー」
観客から事前に募集した質問に、出演者が即興コントで答えるという内容。
インプロシアター・ブレーメンという役者10名、音楽家4名の演劇グループが主催しています。
前売料金は大人20ユーロ(約3200円)、学生13ユーロ(約2100円)でした。
オープニング
ピアニストが音楽を奏で出したら公演開始。(おしゃれ演出)
MCがやってきて、公演概要や今日出演する役者を紹介します。
「来たことあるよって人?」と観客に聞いたら8割くらいはリピーターで、初めて来た人は2割くらいでした。
客層はけっこう高めで40~60代が半分、20〜30代が半分くらい。
カップルやグループで来てる人が多いので、男女比も半々くらいでした。
前半(40分)
本日のチームはブレーメン出身の役者3名(女性1名、男性2名)、アメリカのカリフォルニア州出身の役者1名(女性)。
役者の演技に合わせてピアニストがBGMを生演奏します。
3人で一緒になって文をつくって回答
最初はドイツ人役者3人で単語を一つずつ繋げていき、文をつくるという形式。
「で」「そこは」「まだ」とか意味のない単語を言いがちなので、誰が意味のある単語を言ってオトすかの駆け引きが面白かったです。
複数人で1つの大きな動物を模す、というのはブレーメンの音楽隊を少し意識してるのかもしれません。
「SPD(ドイツ社会民主党、今の与党第1党)とCDU(ドイツキリスト教民主同盟、今の野党第1党)の違いは?」
という質問に「ほぼない」と答えて拍手笑いが起きてました。
ドイツの政治はこの2つの政党が政権を争っているのですが、
「結局どっちが政権とってても生活良くならねーじゃねーか!」
という市民の不満がたまってるのかもしれません。
M-1グランプリ2010でスリムクラブさんが
「なんとかならんかねぇ」
「…民主党ですか?」
といってバカウケしてたみたいなことなのかも?
アメリカ人女性役者が1人で回答
「ビキニはなぜビキニって言うの?」という質問に英語とドイツ語を織り交ぜた歌で回答。
ミュージカル調の仰々しい演技はまるでディズニー映画を見ているかのよう。
なんやかんやあった結果、執事に「服を着ていなければ着ていないほど美しい」とそそのかされて最終的にヌードになる、という裸の王様のようなオチに。
(実際に脱いだわけではない)
4人で即興コントで回答
・思考はどこからやってくるのか?
という哲学的な質問から、
・税金を払わずに済む方法は?
・Tinderで真実の愛は見つかるか?
・どうすれば面白くなれるの?
といった俗っぽい質問まで。
動物の鳴きマネをしたり、突然泣き出したり、舌ったらずでバカっぽい喋り方をしてみたり、回答自体が面白いというよりは演技や表情に迫力があって面白かったです。
質問はMCが事前に選んでおいて、
「これはダンスで回答してもらいましょう」
「これはこの2人に演じてもらいましょう」
と監督のように指示を出します。
休憩(15分)
開演から40分経ったところで15〜20分休憩。
カウンターでお酒やお菓子を買って、しばし歓談します。
後半(1時間10分)
いろんな演劇ジャンルで回答
「私たち、いつまた会える?」という質問に
・通常
・ホラー風
・社会派ドラマ風
の3種類で回答。
展開はだいたい同じだけどキャラクターの演技を変える、ということをやっていて役者さんのスキルの高さを感じました!
いろんな音楽ジャンルの歌で1人ずつ回答
「人生で1番恥ずかしい瞬間って?」という私が書いた質問に
・ロック風
・レクイエム風
・ソウル風
・カントリー調
と4種類の音楽ジャンルで1人ずつ挑戦することに。
観客からの音楽ジャンルのリクエストに即座に対応できるピアニストがすごい。
アメリカ出身の女性役者さんが
「Sie(敬語)使わなきゃいけない場面でDu(タメ語)使ってた」
というドイツ語を話す外国人あるあるを歌っていて共感しました。
スピード回答(30秒以内の即興劇で回答)
たくさんの質問を全部終わらせるために、1人ずつ30秒以内の即興コントで回答していくことに。
オチててもオチてなくてもどんどん進んでいくので、かなり企画のコーナー感が強かったです。
「卵とニワトリ、どっちが先?」
「空はなぜ青いの?」
といった「質問あるある」が万国共通なのが感慨深い。
「じゃがいもが食べられなくなったらどうする?」
→自殺する
とかさすがにドイツすぎる。
アンコール
観客からの盛大な拍手の中、最後にもう一つだけ
「クリスマス前におじいちゃんが倒れたらどうする?」
という質問に回答。
「クリスマスツリーのてっぺんに星をつける係を104歳の祖父と53歳の息子で取り合う」というコントで、「祖父を殺してしまった(?)けど星をつける伝統は家族で受け継ぐ」というちょいブラックな終わり方。
クリスマスガチ勢のドイツらしさを感じました。
ドイツの即興コントライブを見た感想
インプロは照明が大事
今回ドイツの即興劇のライブを見て、以前K-PROさんでやっていた「ワラインプロ」という即興コントのライブを思い出しました。
即興コントは性質上、ずっとやってるとオチが見つからないので登場人物がどんどん死んでく、みたいなことになりがちです。
いいところで照明が暗転してくれると、ダラダラ続けずにウケたところですっきり終われます。
ワラインプロも中心人物であるかもめんたる槙尾さんが照明係として参加していた回があって、その回はとても盛り上がっていました!
今回はMCの人がリモコンで照明を操作していて、「今もう終わっていいな」というタイミングでサッと暗転させるので気持ちよかったです。
2020年を最後にワラインプロはもう開催されてませんが、また見たいですね!
固有名詞は少なめ
・ダンブルドア(ハリー・ポッター)はなぜいつもマントの下に隠れているの?
・Beamen(スター・トレックに出てくるテレポーテーションの技術)が見つかるのはいつ?
・友達に自分がアンドレア・バーグ(ドイツの有名女性歌手)だと信じてもらうには?
みたいな質問もありましたが、全体としては固有名詞は少なめ。
即興劇なので、誰でもわかるシチュエーションの面白さが多くて助かりました!
ドイツ文化が知りたくて「ドイツで有名なテレビ番組ってあるの?」と友達に聞いても大体「テレビ見ないからわからん、Tik TokかYouTubeかNetflixしか見てない」というZ世代すぎる答えが返ってくるので未だにドイツ文化よくわかってません…。
「欽ちゃんの仮装大賞で子供が出てきて惜しい点数のときは「(点数)あげてあげてよ〜」ってなって最終的に合格する」
みたいな細かいあるあるがドイツにもきっとあるはずなんですが、まだ調査中です!
お客さん参加型
紙に質問を書くだけでなく、即興コントにもお客さんが参加します。
「あれ?あそこから蜂の音がするわ」と役者が言ったら
観客が「ジジジジ…」と答えたり、
「この登場人物の名前は?」と聞かれたら
誰かが「オラフ」と名付けたり。
客席に話しかけられたときの照れは一切なくて、一緒に楽しんでいる感じです。
まとめ
ドイツ語のインプロライブは初めて見ましたが、とてもレベルが高くて面白かったです!
また別の形態のコントライブもあればぜひ見てみたいですね。
ただ、ドイツはあまりコントが人気でないのかほとんど公演が見つからず…。
元ゾフィー上田さんがロサンゼルスでコントライブを見てレポされてましたが、ロサンゼルスはコントのライブが多くてうらやましい!
(アメリカで言うとニューヨークが東京、ロサンゼルスが大阪的なお笑い2大都市らしい)
円安による値上げが厳しいのでばかばか行けるわけではないですが、また良さそうな公演があったら行ってみたいと思います!
ほかのお笑いライブのレポはこちら ↓
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