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保険をかける少女


かけれるものなら時をかけたい。
しかし老いに対して時間は言い訳にならない。
時間だけは皆平等にあったのだから。
そこでかけ出したのが保険。
25歳を超えた頃からは言い訳してる暇もないのだからと
せめて自分が傷つかないように
ことあるごとに自分の人生に対して必死に保険をかけはじめた。

例えば、というか1番は結婚。
周りの結婚が続く中、結婚できなかったらどうする、というプランを立て始めた。
保険のつもりだったが、現実味を帯びてきていることに焦りよりも諦めを感じる。

結婚がしたいわけではない。ただ、仕事で「若手」から「中堅」のポジションに移るときにやはり家庭があるかないか、子供は?そんな架空の未来が土台だとキャリアプランも立てづらい。
じゃあ結婚しないことを選択すれば?と思ったこともあったが、いざ結婚を考えられる人と出会った時キャリアプランをロールバックすることはしたくない。
(あとは恥ずかしながらまだ好きな人のお嫁さんになりたいという女の子の夢を捨て切れていない)

そうこうして結婚した場合のプランを立て、保険として結婚できなかった場合のプランを付記し始めた。

人生の大きなプランに保険をかけ始めたものだから、細かなプランにも全て保険をかける癖がついてしまった。

昇格が一年遅れたら、次の受注が取れなかったら…

並べてみると全て悪い方向の状況に対する保険になっていることに気がついた。
良い面としては、失敗してもリスクを最小限に抑えられること。心のダメージが少ないこと。
悪い面としては、失敗した時のイメージが完璧すぎて、「絶対に失敗できない」という気概が無意識のうちに抜けてしまうこと。
最悪うまくいかなくてもまあどうにかなりそう、と思ってしまうこと。

あぁ、また自分に呪いをかけてしまった。

そうは思うものの、歳が歳だから昔のように失敗を恐れず突っ走れ!なんて言うわけにもいかない。歳をとるほどに突っ走って崖から落っこちたら取り返しがつかない事項が増える一方であることに気付いてしまったから。

だから保険をかけ続ける。(気持ちは少女でいたい。)
けれど1人では呪縛になっていないことに気付けない。定期的な他人の監査が必要かもしれない。

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