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中国のe-スポーツが中国で再び不動産バブルを起こすかもしれない

 ラノベのようなタイトルから失礼します。
 中国でe-sports含めてゲーム大会やゲームのことを「電子ヘロイン」と呼ばれていた時期がありました。中国は麻薬に対してものすごい拒否反応を示す国です。そんな中で使われる「電子ヘロイン」というパワーワード。
日本人が思うよりも強烈です。
 ゲームで遊ぶ若者たちは色々な面で中国社会から迫害を受けていたという話もよく聞きます。そんなe-sportsが何故不動産バブルの話になるのか?という部分を説明したいと思います。


e-sports盛り上がりのきっかけと「愛国心」

中国のe-sports業界は今でこそ世界一と呼ばれていますが、少し前まではそこまで重要視されていませんでした。
きっかけは「世界大会での優勝」です。

2005年にeスポーツの世界大会「ワールドサイバーゲームズ」で中国選手が優勝しました。

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その後、他にもStar CraftやWar Claftの世界大会で欧米と韓国の強者たちを退け、中国の赤い国旗を掲げた姿に「愛国心」をくすぐられて盛り上がってきたと言えます。

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BiliBiliで、多くのe-sportsの様子は見られますが、日本人が客観的に盛り上がりがわかる映像のリンクを貼っておきます。

 今や一大エンターテイメントになっていますが、日本のサッカーや野球の盛り上がりと近いものがあります。

中国のe-sportsの賞金

 中国がソフト文化に注力しはじめたのが2007年。
そしてe-sportsが中国の国家体育総局のスポーツ項目に正式に追加されたのが20008年。中国ではスポーツとしての地位を確立してきているのです。
賞金に関しては大きなスタジアム規模で開催される大規模大会をメインとした「スポーツ賞金」にカテゴライズされるものの他にも、アニメイベント会場で開催される小規模大会の「イベント賞金」があります。

公式大会の賞金総額は2300万~2400万ドル、日本円に換算すると約24億円。
トーナメント戦で勝ち抜き数によって手にする賞金も変わります。
イベント賞金はイベントによって、100元(約1600円)~50万元(約840万円)と幅が広く、イベント内での観客席からの挑戦も受け付けており、参加者による一攫千金が狙えるシステムになっていることもあります。

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 大会運営方法やターゲット層も大規模と小規模では異なりますし、色々論点が変わってくるので今回は言及を避けます。

オンライン配信がe-sportsに特区を誕生させた

 e-sportsが中国で盛り上がっている要因の一つが、オンライン配信業とのコラボです。

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 プロチームや選手がオンライン配信の各プラットフォームと契約し、独占配信はもちろんオリジナル生配信等で視聴者数を拡大してきました。
中国の配信プラットフォームの一つBiliBiliは120億円で2020~2022年の中国内での世界大会の独占配信権を獲得しています。
中国はチームが人気になるまでは大変ですが、一度人気が出てしまえば商圏を広げるのが簡単な国です。

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 さて。話は中国の「特区」という制度に及びます。
上海の「経済特区」は有名ですが、同じような特区で昨今注目されているのが「スポーツ特区」です。
2017年あたりで特区ブームにわき、色々な特区が誕生しました。
 杭州はeスポーツ特区にeスポーツ専用スタジアムを建設して、ホテルやeスポーツ教育施設などの企業を誘致しています。
 海南省ではテンセントのeスポーツ事業部と共同で「海南グローバルeスポーツ・ハーバー」を建設を発表。

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「海南生態軟件園(Hainan Resort Software Community)」がeスポーツ企業の成長を後押しすべく10億元(約156億円)のeスポーツ産業特別基金の設立を計画しています。他にも優秀なeスポーツ選手やハイレベル人材を招致するための海南eスポーツ人材「千人計画」が始動しています。

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 中国でのe-sportsと不動産の蜜月に関しては、中国の商業不動産関連のビジネスだけでなく中国の地方の産業改革にも好影響を与えていると言えます。これは、政府の支援で様々な産業によるeスポーツ市場への参入障壁が緩和された要因の一つです。
eスポーツ特区に関連した不動産価値が上昇することで、土地取引に伴う政府の収入が増えました。
 今後もスポーツ特区での動きが活発になることで、電子ヘロインという悪名を返上し、e-sports不動産が中国経済を更に動かしていくことになるかもしれません。

中国でアニメイベントが1000以上も開催されるようになり、その市場を大きくさせていったように、e-sportsも大中小入り混じって発展するのはこれからなのでしょう。

電子ヘロインと蔑まれた中国のゲーム業界はe-sportsという神輿になり、参加者の多くがその祭に熱狂しています。
e-sportsの祭はしばらく続くようです。

ちょっと、ワクワクするような、コワイような。

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