佐藤(仮名)

読書記録をつける習慣がなかった。 ところで、よく人様にお勧めの本情報を強請っている。 …

佐藤(仮名)

読書記録をつける習慣がなかった。 ところで、よく人様にお勧めの本情報を強請っている。 読了後、教えて下さった方宛てに感謝を込め、感想文noteURLの送り付けテロを始めました。 送り付けられた方に反応の義務はありません。 信仰上の理由により、あらすじやネタバレは書きません。

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『雨天炎天』村上春樹

一冊の中で一番好きだった一節・おそろしくぼろぼろのラーソを着て、それこそ腰を荒縄で縛って、ずた袋みたいなのをかついだ、ダイハードな、いわば武闘派の僧侶もいる。これは僧侶というよりは、はっきりと言って乞食に近いように見える。そうかと思うと、隣には皴ひとつない、クリーニングから今朝返ってきたばかりみたいなラーソをピシッと着込んで、アタッシェ・ケースをさげ、サングラスをかけたトレンディーなヤッピー型の僧侶もいる。そしてその両者を両極端として、間に様々な格好をした僧侶がグラデーション

    • 『漂流老人ホームレス社会』 森川すいめい

      一番残った一文 ・ しかし、身体が悪い人が、腹がぱんぱんに膨れ上がった女性が、ぼろぼろになった高齢者が、「福祉事務所に行ってもね、追い返されるだけだから」と言って、死んだ。 Mさん激推しの精神科医の方が書かれた本、ということでオススメして頂いて…。 とても整った文章を書く方だな、というのが第一印象です。小説でいう美文とも違う整い方、数式的な? 簡潔で清潔で、端的に事実を述べる文章、その中に著者の隠れ熱血気質が見え隠れする。(Mさんがこの著者の方を激推ししているの、とても理由

      • 『ババヤガの夜』大谷晶

        『ババヤガの夜』大谷晶 ・一番好きだった一節『同じ年頃の子供がごちゃごちゃと寄せ集められたあの空間は、年頃しか同じではない異物をゲロのように吐き出そうとする。自分はゲロだ、と思いながらひよこのように弱い個体に囲まれて過ごしたあの時間が何だったのか、今もってよくわからない。』 読みやすかったです!! 目が滑ることもなく、何のストレスもなくササッとサラっと読めた…驚きました、こんなに読みやすく小説が作れるものなんですね…。宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』も似た系統の読みやすさが

        • 『バナナ魚日和』サリンジャー(沼澤洽治)

          「雰囲気が全然違うから絶対沼澤翻訳版で読んだ方がいい」とご紹介いただいて、絶版の方のこちらで読みました。新しい翻訳では『バナナフィッシュにうってつけの日』という題名らしく、それだけでも全然空気感が違う…。 バナナ魚、というどことなく牧歌的でトロピカルな、色の対比が目に見えるようなネーミング、良いですよね…。 ・一番好きだった一文『父母は僕たちを愛すると同じに、僕たちを愛する理由を愛してる。いや、理由の方を愛している時がほとんどだ。』 一話目、表題作が凄まじい、しかし静か

        『雨天炎天』村上春樹

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        • 読書感想文
          4本

        記事

          『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』飲茶

          ・一冊の中で一番好きだった一文 『物事というのは、『ガンダムでたとえる』以外にも理解の仕方があるということだね、それはつまり、ガンダムでたとえると……ーーということだよね』 ・一番笑った文 『なぜ禅の師匠たちは、「喝」と大きな声で叫ぶのだろうか。』 感想 → この著者と一緒に酒を飲んだら楽しそう。 何の前提知識もない初心者向けの本、ということで一冊目に上げて頂いた本でした。「高校生くらい向け」とのお言葉の通り、難解な内容を平易な言葉で面白く読ませてくれました、著者の言語

          『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』飲茶