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Weekly Pick UP! 2021/8/4

⒈ FDAが埋込型Brain Computer Interface "Stentrode"の臨床試験を許可

米国の食品医薬品局FDAはSynchron Inc.が開発したステント型の埋込型Brain Computer Interface "Stentrode"の人を対象とした臨床試験を許可しました。

Stentrodeは、ALSなど重度の麻痺に冒されている人々を対象とした低侵襲のBrain Computer Interfaceであり、脳の思考によってコンピュータを操作してメッセージや買い物、銀行取引などの日常業務を再開できるようにするデバイスです。豪州ではすでに臨床試験を開始しており、効果を確認しています。

脳動脈瘤の治療などに用いられる”ステント”を応用して設計されたデバイスであり、頭蓋骨を開く手術と比較して患者への肉体的な負担が小さいという特徴があります。
同デバイスは3〜5年で医療現場で使用できるよう開発を進めていく予定とのこと。
※詳細は以下の動画を参照のこと
 ①Stentrodeの紹介、治験参加者の動画
 ②CEO Tom Oxley氏のTED talk

出典:
TechCrunch:米FDAが脳血管内手術で利用されるステントを応用した脳コンピューター接続デバイス「Stentrode」の臨床試験を許可
bussiness wire:Patients with Severe Paralysis Use Stentrode Brain-Computer Interface to Text, Email, Shop, Bank Online, First-in-human Study Reports


2. 中国平安保険と塩野義製薬の合弁会社が開業

2020年3月に発表された「中国平安保険集団」と「塩野義製薬」の資本提携に伴い、設立が決まった合弁会社”平安塩野義”が2021年7月29日に上海市で開業しました。

この合弁会社の事業方向性としては、既存のアセットを活用した①オンライン診療などと組み合わせた医薬品販売②新薬の中国での開発・販売のほか、ヘルスケアの未来創造として③リアルワールドデータを活用したデータドリブンなR&Dの加速を挙げています。

平安保険の子会社である平安健康が提供しているオンライン医療プラットフォーム”Ping An Good Doctor (平安好医生)”を活用した代謝性疾患患者のモニタリングを開始することも発表されており、塩野義製薬の目指すHaaS(Healthcare as a Service)企業に向けてどのような取組/成果が得られるか注目です。

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塩野義製薬と平安グループとの合弁会社設立および合弁会社の事業計画 より

出典:
36Kr:中国平安保険と塩野義製薬、合弁会社が開業
塩野義製薬と平安グループとの合弁会社設立および合弁会社の事業計画
ミクスOnline:塩野義製薬 平安塩野義が代謝性疾患のRWD収集・解析研究で平安健康と提携 IT活用の研究基盤確立


3. Pear TherapeuticsのreSET-Oはオピオイド使用障害の治療コストを下げる可能性がある

オピオイド使用障害の治療アプリ(Digital Therapeutics)であるPear Therapeuticsのre SET-Oを使用した患者は、6ヶ月で患者1人あたり$2,385の医療費が削減されることがHospitalPracticeの遡及的分析により報告されました。

米国ではCOVID-19のパンデミック以降、薬物の過剰摂取による死亡が急増しています。その多くがオピオイドに起因すると考えられており、パンデミックに伴い患者が医療にアクセスし辛い点も深刻化している一因かもしれません。治療アプリは24時間年中無休でアクセス可能であり、治療費の削減にも繋がることからこの問題を改善するきっかけになるかもしれません。

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mobihealthnews より

出典:
mobihealthnews:Study finds Pear’s reSET-O could lower costs of treating opioid use disorder
bussiness wire:Pear Therapeutics Announces Publication of Healthcare Resource Utilization Data Analysis Showing Real-World Cost Impact of reSET-O® in Treating Opioid Use Disorder

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