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Column: 学び直しSDGs vol.1

こんにちは。
今回から数回にわたってSDGsの基本的な内容やビジネスに生かすうえでのポイントをまとめていきたいと思います。

世界中でキャンペーンが行われ、多くの企業が取り組み、ニュースやテレビでも取り上げられない日はないくらいに広まったSDGs。
恥ずかしながら筆者自身は、ニュースで見聞きするくらいでSDGsについて体系的に学んだことことがありませんでした。今回はそんな筆者が改めて調べた内容をまとめてみようと思います。

筆者と同じようにまだあまり知らない方はもちろん、すでにご存じの方も再確認のつもりで読んでいただけると嬉しいです。

では、初めていきましょう。

SDGsの概要

今回は、基本的な内容を確認します。

SDGsは、”Sustainable Development Goals”の頭文字を取ったもので、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。

このSDGsは、2015年の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書に書かれています。

このアジェンダは主に、持続可能な開発を考えるための基本的な要素である「5つのP」と2030年までに達成すべき17の目標、それらの目標に付随する具体的な169
の行動指針で構成されています。

以下の図は、人間、地球、豊かさ、平和、パートナーシップという5つの要素(「5つのP」)が互いに密接に関わっていること、国連が目指す「持続可能な開発」がこれらのどの要素も犠牲にしないという野心的な目標であることを示しています。

出典:国連広報センター「SDGsを広めたい・教えたい方のための「虎の巻」」

この「5つのP」を軸に考えられた具体的に達成すべき17の目標がSDGsなのです。


SDGsの目的

このアジェンダ及びSDGsが目指しているのは、人間の活動によって生じた課題を解決し、さらなる発展を目指すということです。

20世紀後半になって、産業革命以降に急速に発展してきた人類の活動の負の側面が次第に明らかになってきました。
例えばそれは、市場経済によって生じる格差の問題や大量消費社会によって生じる環境破壊や温暖化の問題などです。

ここ150年の間に、先進国含め多くの国の経済発展により絶対的な貧困は減り、感染症などで亡くなる人の数は激減しました。
しかし、今もなお7億人以上の人々が絶対的な貧困状態にあり、性別や人種等による差別や紛争はなくならず、環境の吸収能力は人間の活動に耐えられなくなることが予想されています。
こうした問題の多くは、国や企業、個人による経済的な利益を偏重した個別最適な活動に原因があります。そのままのやり方を続けていては、十分なスピードでこれらの課題は解決されないどころか、悪化させる可能性が高いのです。

このような状況を打開し、安心・安全かつ平和な世界を実現するためには、世界共通の目標を立ててベクトルを合わせることが必要であり、そのベクトルの先がSDGsというわけです。

これまでの活動で明らかになった課題を解消しつつ、人類の繁栄や平和(「5つのP」)という目標を達成するためにやり方を修正するという意味で、SDGsは人類の活動におけるPDCAのActionやPlanに当たるものと考えることもできるのではないかと思います。


SDGsの特徴

SDGsの特徴を理解するためには、2000年の国連ミレニアムサミットで採択されたミレニアム開発目標(MDGs)と比較するのがわかりやすいかもしれません。

MDGsが採択された時点で、温暖化による気候変動の問題は顕在化していましたが、途上国の多くは先進国のこれまでの活動によって生じた環境問題への対策によって経済発展が遅れることを強く懸念していました。
そうした背景もあり、国連は貧困や飢餓の撲滅、初等教育の普及などのいくつかの課題について2015年までに達成すべき目標を設定しました。

しかし、MDGs達成のために積極的に活動を行った企業などは限られており、2015年の段階で未達成の課題も残っていました。

SDGsでは、MDGsの課題に継続的に取り組みつつ、より緊急性の高まった気候変動問題などの目標を加えるとともに、MDGsの反省を踏まえて先進国だけでなく途上国も含むあらゆる主体(国、企業、個人)が参加することを期待しています。

そのため、MDGsと比べると①気候変動問題の解決が目標に含まれている、②先進国だけでなく途上国も取り組むべき目標である、③宣伝活動が活発であるという特徴があります。


SDGsのキーワード

SDGsのキーワードの一つである「持続可能な開発」とはどういうことなのでしょうか。

「持続可能な開発」という言葉は、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」の報告書”Our Common Future”の中で初めて使われました。そこでは、この言葉を

「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発」

出典:持続可能な開発(Sustainable Development), 外務省 

と定義しています。


つまり、生まれていない世代も含めた将来世代にとって不利益にならないように節度を持って経済発展を実現しようということです。当時は、環境と経済発展のバランスに特に注目していまいたが、SDGsではそれらに加えて人権や貧困、格差などへの影響についてもバランスすることが求められています。

例えば、自然エネルギー割合増加のために風車を導入することを考えてみます。
この例では、風車を導入することでCO2排出量の削減が期待されます。一方で、地域の景観を損ねることによる地域住民への不利益や、バードストライクや土地開発のような地域の動植物への悪影響、サプライチェーン(下請けの部品工場など)での労働問題が発生したとすると、この事業は部分最適な課題解決で終わってしまうでしょう。

このように持続可能な開発を実現するためには、様々なステークホルダーの立場に立って、大きな視野で取り組みを眺めてみる必要があります。

また、持続可能性を考える上で非常に重要な点は、声を上げづらい立場の人に耳を傾けるということです。小さい子供やまだ生まれていない将来世代、大気、水、土壌、森林、生き物などの自然環境は声を上げることができないので特に注意が必要です。


今回は以上です。次回はSDGsの個別のゴールについて確認していきます。


参考

[1] 『SDGs入門』, 村上芽・渡辺珠子 著, 日本経済新聞出版社.

[2] 『SDGsが生み出す未来のビジネス』, 水野雅弘・原裕 著, 株式会社インプレス.



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